劇場公開日 2025年6月13日

「2020年のダイヤモンドプリンセス号のことを描いた映画。 予想通り...」フロントライン ちえべさんの映画レビュー(感想・評価)

3.02020年のダイヤモンドプリンセス号のことを描いた映画。 予想通り...

2025年6月15日
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鑑賞方法:映画館

難しい

驚く

2020年のダイヤモンドプリンセス号のことを描いた映画。
予想通り、観客の年齢層は高かった。
もう5年前、まだ5年前。そんなことを思いつつ、意外と忘れているなぁって思いながら見てました。
コロナ感染による誹謗中傷、ネットの中だけでなく、実際に看護師を辞めちゃう人や看護医療に携わっている人やその過程に対しての偏見差別。
マスコミの「今日の感染者数」なんていう煽りも影響してたし、ワクチン問題もあった。
2020年に小学校や中学高校に上がった子なんて、入学式後の休校騒ぎもあった。
「コロナ入社組」なんていう言葉も流れた。
映画の中では、それほど大きく扱われていなかったけれど、寄港反対とか受入れ反対、逆に船の乗客からの垂れ幕メッセージや、ホテルに移送後にホテルに隔離されている人たちに向けての応援メッセージもあった。
映画内では六合教授(吹越満)という名になっていたけれど、岩田健太郎教授の感染対策指摘の問題もあった。
この映画で、いろいろと思い出される。

捉え方にもよるけれど、自分にはコロナ対策の現場の3人の男の信頼と友情がメインに見えた。DMATの結城(小栗旬)と仙道(窪塚洋介)、そして厚労省の立松(松坂桃李)の3人。
もちろん、あの状況、あの現場で頑張った医療従事者、船内スタッフにもスポットは当てられているけれど、メインは、この3人のやり取りの様な気がした。
それはそれで、3人の関係は見ていて気持ちのいいものだった。
仙道の正論は、役者・窪塚洋介らしく、感情のこもらない口調で淡々と結城に叩きつけられていた。
結城は、仙道の言葉を救いに、なんとか医療の道を踏み外さないよう、そして、立松を利用し利用される中で友情というか信頼をお互いに持つようになる。
立松は、本当に立松の様な役人が多くいれば、今の行政にはならないだろうなぁと思えるほどだった。

さて「フロントライン」に限ったことではないけれど、映画をはじめドラマの製作は、どうしてマスコミをマスゴミらしく扱うのだろう。
災害・事件を 興味本位の面白さで、それも視聴者読者のせいにして、ことを切り取りニュースにするマスゴミ。
ある意味、テンプレな描写だ。
「フロントライン」でも例にもれず、物語の途中でマスコミ・上野(櫻井ユキ)がジャーナリズムの良心に目覚めたような描写はあるものの、それらは大きい意味での自慰行為なのかといつも思う。 上野の上司・轟(光石研)は、はじめからヘラヘラと上野を煽り、その反響に上機嫌にふるまい、良心に目覚めた上野に「マスコミってのはなぁ」と叱咤する。
別にマスコミの描き方を変えろというのではないけれど、あまりにもワンパターンで、その部分で興ざめをする。「はいはい、でました、出てきました」と思えてしまう。
「フロントライン」の本筋部分ではないにしろ、あるいは当時のマスコミ体制やネット騒ぎを描き入れたかったのだろうけれど、そこは逆に観客の知る範囲、当時の視聴者レベルでの話だけでよくなかったかなと思う。その時マスコミはこう動いてました、っていう裏話を入れる目的は何だろう、と思った。

ちえべ
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