フロントラインのレビュー・感想・評価
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なんて熱くて頼もしい人たち!
忘れてはいけない、日本でのコロナの始まり。
ジャパンプレミアで鑑賞しました。
テンポも良く、結城(小栗旬さん)、仙道(窪塚洋介さん)、立松(松坂桃李さん)の言葉が頼もしかったです。日本は保身に走るイメージがありましたが、こんな熱い人達が実在するのであれば日本も捨てたもんじゃないなと思わせてくれました。
(実話を元に描かれた作品ですし、ジャパンプレミア舞台挨拶では松坂桃李さんが「官僚についてたくさん学んだ(というようなことを仰っていたかと)。官僚って悪く書かれやすいけど実際はそうじゃなく熱い思いを持っている方もたくさんいる」と仰っていました。)
船内や下船後の話は知らなかったですし、当時携わってくださった関係者皆さまの視点から映画を観られたという点からも鑑賞して良かったと思います。感染だけではなく、誹謗中傷や報道とも戦わなければならない多重苦の中、関係者の皆さまにはただただ感謝です。
検知も広がると思うので、是非観ていただきたい作品です。
(但し、実話を基に作成したが脚色もされているとの注意書きがエンドロールにありますので、100%の実話というよりあくまでも作品として、話の一端として、鑑賞されることをお勧めします。ドキュメンタリーではありません。)
「面倒なことじゃないとお前に頼まないだろ。」
最後の台詞。2人の培った信頼関係が表されていてとても嬉しくなれるいい言葉に思えました。鑑賞後もずっと心にあって噛み締めています。
* * *
実は本作品を2024年9月にも試写会で鑑賞しました。
2024年中に公開の筈だったのに随分と延期されました。9月試写会時の感想としては、途中からコロナよりもメディアの偏った報道の在り方が主軸のようになり、本作に、ではなく、報道を不快に感じる時間が長かったので、鑑賞後はあまり良い気分ではありませんでした。ただパンデミック及び偏向報道の記録としては残しておくべきだとも思っていました。
ですが、時の経過と共に私の感じ方が変わったのかもしれませんが、今回は全体の善と悪のバランスがもう少し良く、救いどころがある良い作品に更になったように感じました。いいですね。
あの時何が起こっていたのか
その後皆が経験した混乱とはいえ、あの日はまだ他人事だった。
突然現れた未知のウイルスに対して、船の中でどんな闘いが繰り広げられていたかなんて想像もせず、ただ不安になっただけの日々を思い出す。
あの時何が起こっていたのか、を事実を元に作られた作品。
自らも命の危険と隣り合わせの中、誰かの命の為に仕事に真摯に従事して下さった方々に、心からの感謝と尊敬を教えてくれる作品だった。
未知なるウイルスに生命の危機を感じた人々が、何が正解かわからないまま、憶測やデマも含めていつもより誰かの言葉を信じ易く、他人への配慮より自分の心配を優先しがちな時期だったと思う。
主要キャストは報道記者以外は、モデルになった方がいらっしゃるとの事でした。
池松壮亮さんの常に穏やかで冷静で優しい先生にやられました。理想のお医者様のイメージ。
立松の最初の感じの悪さを一瞬で払拭する有能っぷりはかなりカッコよかったけど、あれは松坂桃李様マジックもあったんだろか。
人道的にどうか、という言葉があったと記憶してるのだけど、緊急事態下で何を基準に仕事を進めていくかをその場を仕切る人が決めで動かないといけないので、その判断をする結城先生と仙道先生の熱い討論のシーンが凄かったわ。
仕事と自分の気持ちの間で迷える上野記者も良かったし、森七菜ちゃんのナチュラルな英語も素敵でした。
家族の生活を守る為にも、報道に配慮が必要な事も学んだ。
みんなが体験したあの日々を忘れない為にも観て良かった。
最前線での最善と葛藤!
「やれることは全部やる…でしょ!DMATは!」
▼感想
ジャパンプレミアで鑑賞!
小栗旬、窪塚洋介、松坂桃李、池松壮亮…キャスト陣がとにかく豪華で絶対見たいと思ってた!
舞台は2020年のダイヤモンドプリンセス号…2020年の出来事をもう映画にできているのがすごい!自分はこのニュースをぼんやりと見ているだけだったので、この作品を通して当時の混乱を改めて知ることができた。
ストーリーは序盤、中盤はコロナ感染のようにテンポが早く、緊迫した状況が続く。DMATやクルーの人達が一人でも多くの命を救うために最善を尽くす姿に心が打たれた。
特に印象的だったのは松坂桃李が演じた立松。役人だが、映画によく出てくる融通の効かない役人とかではなく、対応が柔軟でDMATとの連携も早くてノンストレスだった!クールな瞳の奥に光る役人としての熱意もかっこよかった!
今回はマスコミが悪く描かれるシーンが多い。意地悪なことを言うと、この映画も切り取られたもので全てが真実かは分からない。だから100%信じるのも危険だなと思った。ただもし日本でまた未曾有の事態が起きた時、自分はニュースを見るだけでなく最前線で何が起きてるか考えるだろう。それだけでもこの映画を観た価値は大きい。
▼お気に入りのシーン
小栗旬演じる結城が免疫官を説得するシーン!
感情論だけでなく、論理もセットで説得するところも良い!
ほんの、まさにほんの一片の方の見方。
私も当時、2020年2月の横浜着岸から除染作業等を全て終えて、プリンセス号が再出港するまであの現場におりましたが、映像や演出から伝わってくるような勇ましさ、愛、使命感等々が漂う現場ではなかったですね。お粗末、いい加減、隠蔽、人任せ…とにかく映画を見てなんだか腸が煮えくり返りました。虚しかった。
我々は現着してすぐに「この現場で見たことの一切は公表しない」旨が書いてあったであろう書類に読む暇なんて全く無く、とにかく流れでサインさせられ防護服なども着ずにすぐに作業でした。毎日マスク一枚だけをもらいましたね。あの書類にサインをした以上、我々のような下っ端の現場作業員の意見や体験、見てきた事は今後も世の中の表には一切出てこないか揉み消されるのでしょうが、あの場の全てや本来がこの映画でしっかり描かれているわけではないと知ってほしい。役人でも医療関係者でもなんでもないのに、あの時あの場に職を求め集わざるを得なかった人々の数だけ視点があり意見があり、現実があったという当たり前の事をわかってほしい。これは意図や演出のあるドラマであり映画であり、現実の現場では絶対にない。
制作様も演者様も誰も悪くないと思います。皆様は誠心誠意をつくしてお作りになられた渾身の作品だとは思います。でも、埋もれる側の人間としてはひたすらに悲しくて、そして悔しいですね。あの2ヶ月弱の日々を「フロントライン」などという言葉で片付けてほしくなかった。
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