配信開始日 2025年2月27日

「どういう温度感で見るべき作品か」Demon City 鬼ゴロシ ゆーしさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5どういう温度感で見るべき作品か

2025年3月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

単純

興奮

表題の通り、温度感がこの鑑賞する側の重要なポイントに思えます。

生田斗真の演技の幅を見るという温度感。
布袋寅泰の音楽とバイオレンスアクションの融合を見るという温度感。
原作漫画の実写化という難しい課題をどうクリアにするのかを見る温度感。

どれも不正解で、期待外れになりますね。

我々は約2時間弱の尺をこの映画に捧げることを考えるならば、楽しめなければなりません。

この映画で望むべき温度感は、
「主人公の坂田という存在が、いかにして狂気の復讐劇の中で、人間性を失っていく(鬼になる)のかを楽しむ」
です。

その温度感の中でせっかくなら、坂田の闘いながらの感情を追っかけてみましょう、という体勢になるわけです。
そこで、坂田を演じる生田斗真の演技や脇を固める名役者たちが生きてくる、布袋寅泰の各楽曲の演出が光る、こういうわけです。冒頭の期待する温度感っていうのは、添え物であって本質ではないんですよ、つまるところ。

原作の解釈と違う部分もあるでしょう。原作ファンは微妙だという評価も納得です。
私は原作未読ですから、この温度感に比較的早めにすぐなれたので楽しめた部分もあります。

でも、そんなことは割と些細なことなんです。
原作を無視してる訳では無いですし、漫画を実写化するということは、何かしらの破綻が起きるのです。
それを忠実にしろお前は原作を読んでないのか、というのは暴論で、どだい無理な話なんですよね。
気持ちはめちゃくちゃわかるんですけど、原作のイラスト見たら、筋骨隆々すぎて再現無理だし、どう考えてもアナボリックステロイドでも打ってんのかみたいなデザインですんでね。キャスティングの時点で無理が生じてます。他のバイオレンス要素もリアリティに則するならば、破綻が起きてしまうんです。

この映画は、制作陣が見せたい部分が、実はバイオレンスアクションではないんじゃないかな、って思っちゃうくらいキャラクターたちの感情の動き方や演技が秀逸なんですね。名役者たちが凄いから、そりゃそうですけど。それにしては、カメラの動かし方が妙に役者演じるキャラクターたちにねっとりと絡みつくんでね。

「主人公の坂田という存在が、いかにして狂気の復讐劇の中で、人間性を失っていく(鬼になる)のかを楽しむ」
この温度感が大事ですよ。

有り体にいえば悪趣味。でも、エンタメとしては正しい。

それを受け入れるかどうか、価値があるかどうかは、また別の話です。

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ゆーし