「あの頃の彼ならば」平場の月 ようかんニコさんの映画レビュー(感想・評価)
あの頃の彼ならば
数ヶ月前映画館で広告を観て鑑賞。
原作未読。
主人公と同年代です。
初めて異性を意識し始める「あの頃」、誰もが思い出に抱えている経験が時を経て甘切ない思い出に変わる。
その思い出は心の中に小さな種となる。
どこにでもあるような日常。
幼なじみや、職場の人との交流。
心を揺さぶられる事件もなく、日々が過ぎてゆく。
青砥とハコは、時を経て心の中の種が芽を出し花を咲かそうとしていた。ハコの病魔に負けることなく、確実に育っていたその花は、ちょっとしたハコの変化に躊躇した青砥の判断に、花開く事無く終わりを告げることとなる。
彼女を1年待つ、と言う大人の判断が大きな後悔となる。
母親のようになるまいと思いつつも、母親のように生きて来たハコ。
真面目に生きていこうとしているが、息子は若い頃の自分そのものである青砥。
そんな自分を許せないハコ。
許す許さないでは無く、その自分を受け入れるんだと言う青砥。
想いはすれ違い、大人になった自分が邪魔をする。
あの頃、ハコの両親の大喧嘩を目の当たりにした青砥は、咄嗟に逃げ出したハコをどこまでも追いかける。
諦めることを知らずにずっとどこまでも。
そして、ハコの本心を聞き出した。
あの頃の青砥ならば、あの頃の様に自分の想いのままを行動できていたなら、結果は変わっていたのだろうか。
「太い」と周りから思われているハコ。
最後まで会いたい気持ちを抑え、12月20日をひたすら待っていた彼女は、「太い」女性なのだろうか。
僕にはすがる思いで日々生きながらえようとしていた「か弱い」女性が本当の彼女なのだろうと思う。会いたいと素直に言い出せない、臆病なハコ。
愛ってよくわからないけど傷つく感じが素敵。
笑っちゃう涙の止め方も知らない。
20年も生きて来たのにね。
その倍以上生きても、相変わらず止め方はわからない大人は多い。
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