かくかくしかじかのレビュー・感想・評価
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予備知識なく
かなり人気ある漫画家さんなのね?
何も知らない状態で見た。
良かった。
先生の絵に対する情熱みたいなもの、
と同時に、教え子を人間的にも
育てようとする姿勢みたいなものも、
とてもとても良い人柄だったのだと。
ただ、ケッコー大入りで。
上映回数とか減って集中したのか、
ケッコー大入り。
んで、
原作ファンとおぼしき女性客たちが、
クライマックス来る遥か前から、
内容先読みする感じで、
グッスンぐずぐず鼻すすりながら
泣いてるのよ。あっちでもこっちでも。
クライマックス来たら、さらに盛大になって、
グッスンぐずぐず鼻すすりの大合唱。
クライマックス後のラストシーンなっても
グッスンぐずぐずが聞こえる。
その周りの雰囲気に、
すっかり冷めちゃった。
僕は、不人気作品の夜遅い回を、
ガラガラ状態のスクリーンで見るのが好きなので、
ガラガラ状態でこの作品が見られたら、
感情移入して、うるうる出来たと思うけど、
大入りスクリーンで、
原作ファンの内容先読みの、
先行グッスンぐずぐず鼻すすりにゃ、
ネタバレされるのと同じくらいに
冷めちゃう状態だった。
ちゅうちょなく公開決断した事に感謝!
裏切りと後悔の青春
上映後のスクリーン出口で小学生連れ父子が「良かったね」「良かったな」と言葉を交わしていました。
私も同感です。
原作マンガは何年も前に読んでますが再読して映画を観ました。
漫画家東村アキコとアシスタントの会話と回想シーンから物語が始まります。このプロローグは原作とは異なりますが、完成度としては映画版が良です。製作・脚本には東村も協力しています。ロケハンにも同行したそうです。連載作ゆえに「この場面はもっとこうしておけば」という気持ちもあったろうと思われます。そんな東村の存念も活かし、原作のエッセンスを再構築することで高次元にまとまった作品だと感じました。
物語は高校3年生・林明子の視点で進みます。原作ではエピソードごとに若気の至りを諌め先生を慈しむ東村のモノローグが紡がれますが、映像では説教臭くなるので要所を除き省略されています。その代わり全体を通じて慈愛に満ちた丁寧な演出がなされていたと感じます。鑑賞者がこの作品に共感するのは、誰もが齢を重ねて気づく若さゆえの残酷さやみっともなさを恥じているからだと思います。東村は若き自身を叱ると同時に作品を通じた励ましのエールで我々を包んでくれていると感ずるのです。
クライマックス・シーンの演出はVFXですがすごく良かったですね。あれだけの量ですとマンガ的にも思えますが映像としても大変効果的でした(最後の一枚がペラっとめくれてシーン転換するところも)。エピローグも冒頭の伏線回収となっており収まりが良かったです。
どこかちぐはぐな人気漫画家の自伝的な作品
永野芽郁さんや見上愛さん、畑芽育さん、鈴木仁さんといった俳優陣は魅力的でした。しかし、観終わった後には残念ながら「ピンボケ」な印象が拭えません。
原作者の意向が強く反映された結果でしょうか。人気漫画家へのサクセスストーリーは、そこに不可欠な葛藤や努力の描写が希薄で「スムース」に過ぎ、リアリティに欠けると感じました。そのため脚本全体も「メリハリのなさ」が目立ちます。また、師匠の「描け、描け」という教えも、漫画家デビューへの過程でどう活かされたのか描かれず、終盤のモノローグによる説明に頼ってしまっては、映画的表現とは言えません。
構成面では、美大進学後の「金沢パート」が、主人公が絵を描かなくなったという事実を伝える以上に物語への貢献が薄く、冗長に感じられました。加えて、多すぎるモノローグや、”やりすぎ”とも思える両親に代表されるコメディ演出は、映画全体のトーンから浮いて雰囲気を損ねており、結果として一本の話としての「統一感」を大きく欠いていました。
重要なエピソードもどこか「サラッと」流れてしまい、物語としての「強いフック」が見当たりません。原作者が脚本・制作にも名を連ね、「この映画を作りたい人が作りたいように作った」結果、作品全体の焦点が定まらず、ちぐはぐな作品になったという印象です。俳優陣の魅力は光るものの、エンタメ作品としての吸引力には物足りなさが残りました。
永野芽郁ちゃんの演技をみんなに見て欲しい
真っ直ぐにひたむきに取り組むことの大切さ
日高の指導法は、現代的には完全にアウトである一方で、何とかの一つ覚えのような「描け〜、とにかく描け〜」と叫び続ける中で、久しぶりに「真っ直ぐにひたむき」という言葉を思い出した。
入り口は「楽しく、面白く」でもいいのだが、絵画であれ、まったく別の分野であれ、あるレベルを超えた技能を身につけようと思ったら、文字通り寝食を忘れて一心不乱に真摯に取り組むフェーズは避けては通れない。
脚本段階でもう少しだけ精査できたらより良くなったかも。大学受験や漫画家デビューのあたりの部分はもう少し突っ込んで厳しさを強調した方が、おちゃらけた部分とのメリハリがついて良かったかも知れないし、デッサン力と漫画の画力も別物扱いのままにせずに、関係ないと思っていたのにこんなところで活きてきた的な話があると日高への感謝の気持ちもより強く描写できたのではないか?とも思う。
主役の二人の演技は安定で何ら危なげはない。余計なノイズは排除して、純粋に作品を鑑賞すべき。また、脇役で登場した見上愛が良い味を出していた。でも、エンドロールで斉藤由貴の名前を見て「どこに出ていた?」と不思議だったのだが、後で調べたら仲居さんの役だった!
良い青春譚
厳しくも愛情深い先生
絵を描かない私には………
「てげー」面白くてためになる映画だ。
先生と生徒の微妙な師弟関係が面白い。タイトルの「かくかくしかじか」とは、こんな風ないきさつがあって漫画家になりました、という意味だと思うが、「描(か)くしかない」と云う先生の教えを胸に秘めた言葉でもある。日高先生は真剣に洋画を教えようとしているが、明子は漫画家になりたいのであって、油絵を描きたいわけではない。竹刀で脅し、怒鳴りつけて絵を描かせる絵画教室が本当にあるとも思えないが、傍から見れば実にコミカルで魅力的な場所である。その姿には、日高先生のあまりに真っすぐな思いが象徴されている。日高先生はいつでも芸術に、生徒に真剣である。それに対して明子はぐうたらで、先生の期待に応えないだけでなく、本来の漫画の修行もしようとしない。要するに芸術に一身を捧げる「覚悟」がまったくなかったのだ。そんなすれ違いのちぐはぐさと心苦しさのような感じがずっと続く。
しかし東村アキコは立派な漫画家になった。「かくかくしかじか」は何とか夢をかなえることができたから描けた作品である。日高先生からどれだけ多くをもらったかという感謝と、そしていかに何もお返ししていないかという悔いの詰まったコメディである。先生が明子を気に掛けるのは、純粋に芸術の為であり、本人の為である。その打算のない心根は、今になって本当に尊いものであったことが分かる。「描けー」という叱咤に込められた厳しくも温かい先生の心を、映画の最後になって理解できて涙することとなる。
永野芽郁と大泉洋の演技が素晴らしいのは言うまでもないが、大森南朋の父ケンイチ役が面白かった。作者の少女時代を描いた、ビッグコミックオリジナル連載中の「まるさんかくしかく」に出てくる無軌道破天荒男そのままである。そして宮崎弁が面白くて、方言はずっと後世まで伝えていかなければいけないなと気づかされる。本当に色々ためになる作品でした。
描け
作品とは一切無関係とは言え、最悪のタイミングでの公開。
渦中の主演女優の事ばかりSNS上で炎上しているが(“相手”はほとんど叩かれていない男尊女卑のような謎、何の圧力かワイドショーで一切報じられていない謎)、一番気の毒なのは原作者だと思う。
ファンの間でも名作と誉れ高い原作者・東村アキコの自伝的コミック。
思い入れあって、映像化のオファーは断ってきたほど。
が、お気に入りの女優が演じてくれる事で、承諾。
プロデュースや脚本も兼ね、入魂のほどが窺える。絶対に失敗は出来ない。
その矢先…。
作品とスキャンダルは別。感動した! キャストの演技が良かった! など絶賛の声の一方…
不倫女優の映画なんて見たくない! 最低! 中に作品もろとも誹謗中傷の声も…。
本人たちもコメントを出さず、双方の事務所も否定しているが、何も無かった訳はあるまい。身の振り方、対応の仕方、浅はかだったと思わざるを得ない。
しかし、この作品が“あの不倫スキャンダル中の…”と記憶されるのだけは余りに惜しい。
原作コミック未読だが、私の耳にも心にも、先生のあの言葉が忘れられない。
描け!
宮崎に住む林明子は、小学生の頃に漫画に一目惚れ。
将来の夢は決まった。漫画家!
絵を描けば親や学校の先生は褒めに褒める。天才だ! 宮崎のゴッホだ!ピカソだ!手塚治虫だ!
もう漫画家になるしかないじゃん。
一応美大に通っとこう。さすがにそう簡単には受からない。塾みたいに絵画教室にでも通っとくか。
同じく美大を目指すひねくれ同級生・北見の紹介で、海辺にあるという絵画教室へ。月謝は5000円。安ッ!
何枚かデッサンを描いて、意気揚々と。
そんなに褒めないで。
…ところが!
「ハイ、下手でーす!」
初めて言われた酷評。
私にそれを言い放ったのは、この絵画教室の講師、日高先生だった…!
絵画教室と言えば、小綺麗なアトリエ風で、生徒たちが優雅に絵を描く。先生は勿論物静かで穏やか。
…何、ここ?
木造のボロ教室。生徒たちは何かに取り憑かれたように一心不乱に絵を描き続ける。
最たるは、講師の日高先生。ジャージ姿で常に竹刀を持つ。
下手くそ! 何描いてんだ!? よく見ろ!
竹刀と共に飛んで来るのは、罵詈雑言、暴言の数々。
二言目…いや、一言目から言うのは…
描け。描け描け描けェーーーぃ!
何なの、ここ~ッ!?
今なら完全コンプラ的にアウトのスパルタ。
生徒たちはビクビク。明子も初日からうんざり。
だけど、有名な先生ではあるらしい。美大には通わなかった異端児。
確かに絵は上手い。お手本で描いたデッサンにぐうの音も出ないほど。
いつもいつも、怒鳴ってばかり。怒ってばかり。
だけど、笑う時は大声で笑う。
珍しく褒める時はストレートに褒める。
真っ直ぐ。熱い。
そして面倒見が良くて、根は優しい。
腹痛仮病を装い、母親が迎えに来てくれると嘘まで付いて早退した明子。ところが教室に、迎えが遅くなると母親から本当の連絡。
日高先生が凄い形相で追い掛けて来る。
バレた! 殺される…!
しかし先生は、迎え遅くなるって言うのに、どうやって帰るんだ?
バス停までおんぶ。バスは行ってしまい、次のバスが来るまで一緒に居てくれる。
バスが来て帰り際、一日で治して明日必ず来いよ。そして描け。
このシーン辺りからかな。日高先生の事が好きになり始めたのは。
日高先生は見る目も確か。
当初は貶した明子の絵に才を見出だし、指導はさらに厳しく。
描け描け描け。
その甲斐あって、明子の絵は上達。本当に美大を目指せるまでに。
目指すは東京の美大か金沢の美大。
まずは東京の美大の受験。手応えあり。受かったんじゃない?
しかし、結果は…。しかもそれを、苦戦の金沢美大受験中に知ってしまう。
普段は楽観的な明子だが、メンタル弱い点も。すっかり自信を失ってしまう。
日高先生からは鬼電。お前、絶対受かれよ! 落ちたら承知しねぇぞ!
プレッシャー掛けないでよ…。でも、それが刺激に。
結果、自信無かった金沢美大に見事合格!
これで私も晴れて美大生。しっかりとした絵の勉強が出来るキャンパスライフを…。
地元・宮崎を離れて…いや、もっとよく言うと日高先生から解放されて、絵を描かなくなり…。
新しく出来た友達と遊び呆けて、イケメン同級生と色ボケして…。
ちゃんと描いてるか? 時折掛かってくる日高先生の電話にもうやむやに…。
せっかく上達した絵も才気を失い、教授からは厳しいお言葉…。
学校だから課題が出る。夏休み中に大型キャンバスに自由課題で絵を。
帰郷して絵に向かうが…、絵が描けない。
怖くなって、私は何を描きたいの…? 塞ぎ込んでしまう…。
心配した両親が日高先生に連絡。駆け付けた日高先生だが、当然優しい言葉を掛けてくれる訳がない。
何しとんじゃ!
描けないんよ! 描きたくないんよ!
だったら死ぬ気で描け! 描くしかないんじゃ!
文字通りぶつかり合って、明子は絵に向かう。
今の自分の自画像。完成して提出したら、教授から褒められた。
不思議と日高先生から叱咤激励を受けると絵を描ける。
しかし、ひと度離れると…。またまた怠惰なキャンパスライフに逆戻り…。
今は漫画家として成功。だけどあの頃は、ダメダメ愚かでバカな私。
そんな私に先生が教え、叩き込んでくれた事。
今思い出すととっても大切な経験や日々。そして後悔…。
明子のナレーション。先生、あの時はゴメンね。とっても後悔してるよ。先生と居酒屋に行ったのはあの時一回だけだったね。タイムマシンがあったら…。
などの台詞から、何となく予想は付く。
それがまたしんみりさせる。
登場人物たちもダメ人間が多い。明子は然り。明子の両親も親バカでバカ親。娘思いだけど。
日高先生も頑固で、人によっちゃあ嫌いなタイプ。教室の女の子をチンパンジー呼ばわりするのはさすがに…。和田アキ子と同レベル。
人は必ずダメダメな部分がある。それも踏まえて、触れ合い育んでいく様が堪らなく愛おしい。
美大卒業後を悩んでいた明子。
日高先生の強引な口利きで美術を教える仕事に。
…かと思ったらそれがダメになって。
せっかく戻ってきたのに。仕方なく、教室で教える事に。ほとんど無給。
そしたら、高い金出して美大行ったのに帰って来てろくに仕事をしない娘を、バカ親が珍しくお怒り。父親の会社のコールセンターに就職。
うんざりする仕事、嫌な先輩。
ここから脱け出すには…
漫画。色々回り道したけど、漫画家になりたかったんだ、私は。
漫画に打ち込む。仕事、教室、漫画の三足のわらじはキツい。疲労で倒れる事も…。
現状を変える為に。かの集英社の新人賞に応募。
結果は…。入選。賞金も。が、この時規定に反していた為デビューとはならなかったが、担当者からは期待を寄せられる。
明子は漫画を描き続け、絵も上達。才能を開花。
そして遂に、漫画家としてデビュー。
ヤッター! 夢にまで見た漫画家! 会社辞められる~!
ちとここら辺、とんとん拍子過ぎてご都合主義のようでもあるが、実際も概ねそうなのだから文句は言えない。
元々才能はあり、美大にも受かり、漫画家デビューも果たした。ミラクルガール!
だけど、一つ問題が…。
漫画家が夢だった事を日高先生に打ち明けていなかった…。
きっと日高先生は、私が画家を目指している前提で、目を掛け厳しく指導してくれていた。
それが漫画家を目指していると知ったら…。
漫画だァ!? そんな下らんものは辞めろ! 画家になれ! 俺の跡を継げ! 描け!
…って言うに違いない。
いつまでも隠し通せるものではなく、恐る恐る漫画家デビューした事を打ち明ける。すると…
これ、お前が描いたんか? 凄いな!
こういう人なのだ。人が一生懸命やってる事や夢は絶対否定しないし、褒める時は褒める。
しかもお金も稼げる。どんどん描け!
その上で、二人展。日高先生がずっと言い続けている事。
二人で絵を描き溜め、展示会を開く。先生の夢。
いや、違うんよ、先生。私は二人展をやりたい訳でもないし、画家になりたい訳でもない。漫画家としてやっていきたいんよ。
だけど、日高先生はやはり言う。それでも描け。とにかく描け。
日高先生が二人展をやりたかったのは本当だろう。その為に絵も描いていた。
日高先生が言う“描け”とは、漫画家であっても画家であっても、描くという事を怠るな。
どんなに描いたっていい。それが無駄になる事は決してない。
日々描く。それは絶対に自分の身となり、為になる。
スポーツ選手が基礎トレーニングを怠らないのと同じ。大谷だって特別な練習をしてる訳じゃなく、何度も何度も、今も、バットを降り続けている。
基礎が最も大事。
だから、描け。
漫画家デビューして世間的には“立派な人”になった明子だが、描くという事、その意味…いつしか忘れていた。
漫画は描き続けていたけど、締め切りに追われて。
上京してお洒落な東京生活にもエンジョイ。
だからまた後悔している。
ある時日高先生から電話。また“描いてるか?”とか二人展の事かと思いきや…、
癌になってしもうた。後4ヶ月だと。
…えっ?
忙しい中、帰郷。先生は入院せず、絵を描いていた。
二人展を諦めていない。時間が無い。自分にも、描け。
そんな事より入院して! 自分の身体を労って。
そう念を押して東京に戻ったけど…
現実逃避するかのように、仕事に没頭。
また同じ後悔。向き合う事が出来なかった。
ある時、電話。もう察しは付いた。
あまりにも早く、日高先生は逝ってしまった。
300年は生きると思ってのに…。
葬儀。教え子たちが集う。
在りし日が蘇り、笑い、泣く。
散々怒鳴られた事も、厳しくされた事も。
時々褒められた事も。
今となっては全てが良き思い出。
失って気付く。その存在。
居なくなって気付く。その言葉。
描け。
日高先生、ゴメンね。私はちゃんと描けているのかな…?
スキャンダルは残念だけど、永野芽郁の女優としての才に一点の曇りナシ!
キュートさ、抜群のコメディセンス、喜怒哀楽メリハリ、芝居の間やテンポ…。
原作者の太鼓判に間違いは無かった。
今は苦境かもしれないが、このまま永野芽郁という才能がフェードアウトしてしまうのは惜しい。いずれ…。
今年も続く大泉洋無双。今何をやっても絶好調男に、またまた。
大泉洋本人はこんなにおっかなくて厳しい人物ではないのはバラエティーやワイドショーなんかで見るユーモア&ナチュラルな人物像から分かるが、びっくりするくらいピタリとハマる。
熱くて、優しくて、面倒見がいい所、周囲を虜にする所は本人にも通じる。
特に良かったシーン。明子の後輩で不良から画家になった今ちゃん。個展でライブ・ペインティングを披露。が、いつぞやの明子と同じく描けない。そこに、日高先生が。もう車椅子で身体は弱り、絞り出すような声で、いつもの一言。
描け。
この時の“描け”がかっけぇ~! 私の身体にも電気が走った。
主演二人の好演、二度目の共演となる絶妙な掛け合い。
大森南朋とMEGUMIの憎めないバカ親っぷり、出番は少ないが注目株・見上愛のクールな佇まい。
ベタな演出や展開も見られるが、日本映画の良心とでも言うべき良作。
東村アキコから日高先生への、これ以上ないラブレター。
原作コミックも読んでみたくなった。
ラスト。海辺での明子と今は亡き日高先生の対話シーンが良かった。
もう二度と会えないけど、もう一度会いたい人とこんな風に再会出来たら…。
後悔を謝り、話したい事、伝えたい事、いっぱいいっぱいの感謝を。
あの時厳しくしてくれて、叩き込んでくれて、教えてくれて、今の私を描いてくれて。
なら、もう大丈夫だな。
別れは寂しいけど、私の事を見てくれて、一人一人を見てくれて、いつも真っ直ぐで、誰よりも真人間だった。
描け。
耳にタコだったあの言葉を、今はそう思わない。
描け。描き続けろ。
先生、私は描いてるよ。
それは先生からのエールでもある。
生きろ。自分の人生を、しっかり生き続けろ。
誰の心にも響く金言。
描け。
🥺
永野芽郁と見上愛目当てで映画館に足を運んだので作品自体は期待していなかったのですが、予想以上に良い作品でしたね。
スポ根ドラマに出てくるような熱血教師との長年にわたる交流が素晴らしいです。
原作が漫画ということもあって、漫画チックでコメディタッチの展開なのですが、後半はウルウルきてしまうように盛り上げてくれました。
教師の絵画に対する一途な愛情に心打たれました。
ただ、共演の見上愛は去年の大河ドラマ「光る君へ」で藤原道長の娘、藤原彰子役を演じてからファンになりましたが、この映画では出番が少なくて残念でした。
原作のファンです
素晴らしい映画
芽郁ちゃんがハマり役
失った人の気持ちに後で気づき後悔するところにもっていかれた
芽郁ちゃんの部屋と着ているものが
オシャレでかわいい
観ていた周りの人たちそれぞれ違うところで
笑ったり泣いたりしていた
老若男女に勧めたくなるし後味もすごくよい
タラレバ
前向きな気持ちになった
トリュフォー的な小さな良作。
原作は読んでいないが、とてもいい映画でした。
ただ自分の場合、美大出身であり、東村アキコとは違ってデザイン科ではあるものの、受験予備校の厳しい指導や、その温かさには共鳴してしまうところはあり、甘めのスコアになっているのは否めない。
レビューの幾つかで指摘のある様に、脚本はやや冗長で、ともすれば展開の変化もなく茫洋と進む気もするし、大泉洋と永野芽郁以外の出演者は深みがなく背景として流されてる嫌いはある。
しかしながらPV出身とはいえ、関和亮監督のアップの表情を捉える的確さと、最近の大バジェットの邦画と異なる抑制された間合いと笑いの演出は巧みで、コメディらしさを備えながらも主演二人の微妙な距離感と、にも関わらず強い絆で結ばれた師弟関係を美しく描いている。
また東村アキコがこだわったと思しき、デッサンや画力の成長を示す、映画内デッサンや絵画の変化もリアルさを裏付けている。
ややベタな印象から、正直バラエティ以外では少し苦手だった大泉洋も、「室町無頼」より遥かに魅力的な演技で驚いた。
そしてなんと言っても主役の永野芽郁の美しさとコケティッシュな魅力、観客を魅了する演技巧者ぶりは圧倒的で、何故か評価の高い「はたらく細胞」よりか遥かに映画的感興を誘っていた。
こうしたある種の小品が、テレビ局提供の国内映画で公開されるのは稀有な例だと思う。これからもこうした丁寧な作品が公開されるといいと思う。
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