かくかくしかじかのレビュー・感想・評価
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スパルタだけではない「深い情」こそが描くべきポイントなのではないか?
今の時代では絶対に認められないようなパワハラ教師の話だが、まったくと言っていいほど不快感を覚えないのは、大泉洋のキャラクターと、それを活かしたコミカルな味付けのせいだろう。
特に、ダウジング試験対策とノストラダムスの大予言のくだりでは、思わず吹き出してしまった。
ただし、主人公だけでなく、思いのほか多くの生徒が絵画教室に通っているのは、先生が、単に厳しいだけではなく、「深い情」の持ち主でもあるからだろう。
そうした、先生の情の深さは、腹痛のふりをした主人公をバス停まで背負って運んだり、受験前にさりげなく御守りを渡したり、炎天下を原付きで1時間掛けて絵画の指導に駆けつけたりといったエピソードで、分かりやすく描かれている。
その一方で、終盤になると、先生が、ひたすら「かけ!」と言っているだけの人物のように描かれていて、余り「情」が感じられないのは、残念としか言いようない。
確かに、理不尽な圧力が、精神的な強さを養うということはあるのだろうが、これだと、昭和のスパルタ教育を懐かしんでいるだけになりかねないし、先生に期待されながら、絵画教室を継ぐことも、2人で個展を開くこともできなかった主人公の「悔恨の念」も伝わって来ない。
例えば、ラストで、「先生は、主人公の漫画が掲載されている本を買い揃えていて、漫画家としての主人公の成功を喜んでいた」みたいなことが明らかになったならば、最後まで生徒のことを思いやっていた先生の「情」が感じられて、もっと感動できたのではないかと思えるのである。
鈴木おさむさんも言ってますが、観ないともったいない!!
きせかえユカちゃんからの東村さんファンです。自分自身ほぼ同年代で海月姫の映画のときはエキストラで参加させていただいたものです。
最近自身の生活が多忙で東村作品から少し離れてしまっていましたが、この作品も、東村さんも大好きな作品なので、映画化のニュース、そして永野芽郁さん・大泉洋さんというメインキャストも、東村さんが全面的に関わるということも非常に嬉しく楽しみにしてました!!
ただ自分自身、よく知っている作品の映画化もいくつも見てきましたが、どうしても話を知っているのであまり新鮮な気持ちで観れなかったり、原作との相違点にツッコミ入れたくなったりで、正直100%☆5って言える作品には今まで出会えていなかったのであまり課題な期待もせず、ネタバレ的なことにも触れないようにして本日観に行ったわけですが・・・ホント、観てよかったです!!あまり映画とか観て泣かない方ですが、もう、作中の登場人物が涙する前に涙してました・・・何度も!!
大泉さんも芽郁ちゃんも、撮影時、東村さんに答え合わせしながら演じれたとおっしゃってましたが、本当に、アキコと日高先生、漫画の世界を実体化して観れたことがずっとファンだった自分としては非常に嬉しかったし、今回ハマれば号泣するってわかってたから敢えて一人で観に行きましたが、美大卒の娘や芝居をやっている息子にもぜひ観せたいと思い、またリピしたいです。
知ってる作品を描いているシーンが見れたのも嬉しかったし、アキコの椅子の座り方がなんともリアルで・・・ツボでした。そうだよなーと思いながらあまり映像で観たことなかったもので。細かいところまでリアルでした。
さらに作品に出てくる「絵」たちにも注目しました。全部本物なのかな??本物もあるとは聞いていたけど・・・敢えて情報を入れないで観たので、また新たに色々情報を入れたあとでまた観に行きたい。そんな作品です。
また、キャストも皆素晴らしかったです。東村作品によく出てくる父健一と母のイメージもピッタリで・・・あとは、高校の美術教師もいい味でした。
また、自分自身作品のファンとして非常に楽しめたのですが、きっと東村さんと同世代の方や美術や漫画を志した方はもちろん、色々自分の思うようにならず、期待を裏切りつつ後ろめたい気持ちを持ったことがある方とか(ほとんどの方がそういう経験があるのでは?と思います)皆に刺さる作品と思います。
フジテレビとか文春とか色々言われてますけど、そういうのを理由に観ようと思ってるけどやめてる人がいたら、考え直してほしいです。素晴らしい作品です!!
さまざまな「道」へ踏み出す者に
人気漫画家東村アキコの自伝的作品「かくかくしかじか」の実写映像化。漫画家志望の主人公明子が、美大受験の為に入った絵画教室の教師日高との9年間を描いた青春ドラマ。
題名が秀逸、「かくかくしかじか」。人気漫画家の「描く」にまつわり、この題名で泣き笑いがありそうなら、つい見てみたくなる。若者からの成功の秘訣の問いに、ちゃんと話そうとすると「かくかくしかじか」を話すことになるだろう。
明子演じる永野芽郁がチャーミングだ。「道」に入る前の漠然としたヤル気や修練を強制される嫌々感への葛藤を等身大に演じている。
さまざまな「道」へ踏み出す者に、師となる存在は必要だろう。世に出るレベルとなるには、長期的・定期的・定量的に安定した力量の習熟が必要で、習熟までのやる気維持には心の拠り所が必要だ。その努力習慣は経験者にしか見えないことが多く、本質的な指導は難しい。そこが師弟の想いのすれ違いを生み出す。本作は、すれ違いも含めた、師・日高の「庇の下」が、明子の人生の贅沢な時間であったことを描いている。
さて、エンドロールにて斉藤由貴が出演しているとの事、よくよくお探しください。私は見つけられなかったっす。
永野、演じろ〜
好きこそものの上手なれ
師弟愛のドラマとして適役のお二人が楽しく演じている。先生はひたすらに絵が好きで教えるのも好きなのであろう。東村さんは本来の目的でないのによくついていったと思うが憎めない先生だったのだろう。しかし、進学後、絵は勿論、漫画にもなかなか取り組まない、なので着手したときもまともな道具も持っていないのは驚いた。ひとそれぞれで色々な極め方があるのだなと思った。
漫画ほどで無いが演技が光る
漫画をWEB(アプリ)で読んでハマったので映画を観に行きました。と言っても漫画は4巻の最後の方(全5巻)までしか無料で見れなかったので、その状態で映画を観た感想です。ネタバレ無しで。思い入れもあるため長文になってます。
映画の評価としては星3.5ですが、多くの人に作品を観て欲しくて星4にしてます。
結末は最初のシーンで予想でき、作中(漫画も映画も)に散りばめられていることで、最後まで観なくても分かる流れです。ここら辺は原作リスペクトで先に結論を匂わせ、伏線回収していく方法をとっているのかと。(文系では無いのでなんという手法かわかって無いですが。)
原作のように頻繁に回想を織り混ぜる方法なら、伏線(答え)を回収していく方法が味を出してくれるが、今回のように一連の流れにすると…
私が感じたように原作を知ってる人には物足りない作品として目に映るのだと思います。
映画なので、話が進むにつれて全景が見えるようにした方が、一般受けしたのかもしれません。そうすると叩かれるのは目に見えてますが、違った作品感がでたかと。私は漫画と映画は作りが違っても、その伝え方が見えてくるのが好きなので。
原作のネタバレになるので詳しくは言いませんが、映画に絞るため(2時間くらいの作品にするため)、漫画であったシーンが幾つか無くなり、改変されてたのも気になりました。(他の方は少し踏み込んでコメントされてたのですが、映画では無く漫画のネタバレになるので…)
ドラマとかが好きな方はこのパターンで良いのでしょうが、ちょっと浅くなってます。
なのでこれから漫画を買って読みますw
(ちなみに1〜3巻、5巻は入手出来ましたが4巻は入手出来ず、まだ漫画では続きが読めず、やきもきしてます。
→6月2日現在、ネットでは売り切れ、入荷予定なしのため定価を諦めていたが、TSUTAYAアプリで地元の書店で売ってることが判明。やっと入手して4巻、5巻を一気読みできました。
やっぱ映画と流れが変わってましたが、こう見るとちゃんと2時間に収めるために改変しつつも絞ったのだろうと。
全部原作通りに制作すると2部作3.5〜4時間は必要ですね。そうすると映画的には正直厳しいので、ちゃんと映画向けに練られていると思います。)
個人的に原作より面白さは3、4割減(それぐらいカットされたシーンは、個人的に心に残るシーン)でしたが、最終着地点は感動できる面白い作品にはなってました。
映画ならではの映像美を感じるところもあり、そこはよかったです。
また、逆の意味で期待を裏切られた(?)のは、大泉洋さんの演技の旨さ。正直、映画を観る前は、なぜ大泉洋?ちゃうやろって思ってたのですが、演技が上手かった。役者さんてすごいと思いました。
特にキャスティングを気にしないで映画を観る人間(最近の朝ドラがオーディションじゃなくて有名俳優を起用するのに納得いかないタイプ)なので、漫画の日高先生のイメージと、普段見る大泉洋さんのイメージが離れていて…
人気俳優使って金取りにくるいつものフジ映画だって思ってた(ただ漫画が映画になってどんな感じか気になって観に行った)分、逆に演技に感動しました。
大泉洋さんの真面目な性格(仕事、役に対しての姿勢)はテレビとかで見えてた面はありましたが、どうしても笑いに繋がるイメージが…
原作者の東村さんの見る目に感服しました。(さすが人間観察が得意なだけある。それともファンだったとか?)
全てのキャスティングで完全オーディションで純粋に演技と映像で楽しみたい感じでいましたが、大泉洋さんは大正解だったと思います。(手のひら返しw)
永野さんの役も普通にキャラ的に違和感無かったです。
見上愛さんもマッチしてました。(ドラマとか見ないので名前すら知らなかった)
編集担当者はいい声してると思ったら声優さんだったのですね…これもいい感じかと。もちろんカッコイイ方ですが、電話越しで聞く声、声で役を演じる配役って大切ですね。
個人的に一部配役があってない?や映画特有の笑いをとらなきゃってところは、仕方無いかと思ってます。結局は興行収入が得られないといけないので。
作品としては漫画の方が面白いですが、映画としてもちゃんと纏められてましたので、もっと多くの人の目に触れてほしかった。
田舎ではCMが流れ無いのが残念です。(5/22修正。フジで流れてました。自分がフジを見なくなったので気づかなかったです)
ちなみにここまで漫画推しで書いてますが、映画を観て、大泉洋さんのセリフで泣きそうになってました(涙目にはなってました)。
ツレと観に行ったのですが、ツレはちょっと泣きそうにはなったかなとの感想でした。(泣きそうになったでは無く、「は」が入ってました)
漫画原作と知らなかったので、おそらくそっちの方が映画としての評価は先入観なく正しいのかと思います。
原作を知っていると映画に描かれていない背景を補完しながら観てしまうので、感情も入りやすいし、逆に原作愛が強すぎるとつまらなく感じるのだと思います。
(追記)
ちなみに父母との掛け合いが増えてた(漫画ではそこまでコマ数が無かったはず?)のは謎でしたが、先ほど(5/18、15:00ごろ)、原作者の東村アキコさんのXを見たら『まるさんかくしかく』の一コマがあって納得。ご両親も多分なエピソードがある感じですねw
宣伝を兼ねてたりするのだろうか(スピンオフ的なことを狙ってたとかw)
絵を描くために生まれてきた人間
漫画の方が良かった
不義理を誠実に生きる
⭐︎3.4 / 5.0
ほっこりした空気に包まれてました。
原作者である東村アキコさんの漫画が基であるが故なのか、首を掴まれ引っ張られる姿や、地面に突っ伏して倒れ込む姿など漫画みたいな演出が頻出する作品になっておりましたが、原作者の実話がベースになっている分、映画としてのリアルをきちんと保っているという不思議な作品でした。
原作者自ら出演をオファーしてようやく口説き落としたという大泉洋さんの存在も漫画みたいな演出になりすぎない事に一役買っていた様に思われます。
怒鳴り散らす彼の姿を見ていて「本物の先生」をマジで拝みたくなりました。
劇場では絶えず笑いが起こり、ほんわかした空気が辺りを包み込んでいましたが、物語が進むに連れてあちこちから鼻を啜る音が聞こえてきました。
間違いなくハンカチも必要になる映画になってました。
鑑賞後、原作者の漫画を片っ端に読みたい気持ちにさせられてしまいました。
それだけ「絵」というものが、「画家」と「漫画家」という師弟関係が、魅力的に描かれている作品だったと感じました。
しみじみと良き作品
永野芽郁の演技が圧倒的に素晴らしい👍
宮崎県も全面的に協力&プロモーションしており、
宮崎での集客は良いと思われます。
本日私が鑑賞した回は7割ほどの埋まり具合。
これは宮崎のシネコンでは驚異的な状況です。
東村アキコの作品は「まるさんかくしかく」しか読んで
いませんが、テイストは映画の本作と実に近しいので、
東村アキコのギャグとしては良く表現できていると
思います。特にお父さんによる「アッコ選手」など。
それも本人を演じた永野芽郁はじめ
ご両親の大森南朋&MEGUMIもあっているし、
日高先生の大泉洋も素晴らしい宮崎弁でした。
宮崎ロケはシーガイアのホテルが映り込んでいたり、
青島の海などうれしい反面、
そういう立地じゃないんだけどなー的な地元民しか
わからないようなツッコミどころはあれど、
それはそれで宮崎県民の観客は喜んでいましたので、
良しとしましょう。県民性のくだりも含め(笑)
本作の脚本を東村アキコ本人が書いているだけあって
映画という限られた時間の中で実にうまくまとめていると
感じますし、加えて、俳優陣の演技が素晴らしいので、
最後まで飽きることなく鑑賞でき、
ラスト近くでは劇場内がすすり泣き状態で、
久しぶりに観客と一体感があった作品に巡り会えました。
永野芽郁はいろいろと騒がれていますが、
俳優としては素晴らしい実力のと魅力の持ち主だと思います。
今後も応援していますし、活躍に期待しています。
頑張れ!永野芽郁
【”私に、画を描く力を与えてくれた厳しくも優しき人。”今作は漫画家になりたい若き女性と型破りな画の先生との長き師弟関係の変遷を描いた作品である。大泉洋さん、ヤッパリ良い俳優だな!】
■漫画家志望の女性高生、林明子(永野芽郁)は美大を目指し、同級生(見上愛)から日髙先生(大泉洋)が始動する絵画教室に入る。
軽ーい、気持ちで入った絵画教室だったが、日髙先生の指導がマア、凄かったのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・前半は、コミカルなタッチで描かれて行く。特に林明子の、能天気な両親(大森南朋&MEGUMI)が常に娘の絵を褒める姿が良いし、明子もその言葉に乗って図に乗って行くが、その鼻っ柱を日髙先生に打ち砕かれるのである。クスクス。
・日髙先生が竹刀を片手に指導するシーンもコミカルに描かれている。人によっては嫌悪感を持つ方もいるかもしれないな、とも思ったが先生は体罰は加えない。ちょっと、口が悪すぎるけどね。けれども、林明子のお腹が痛いという嘘を信じて、遠くのバス停までおんぶして送ってあげる姿や、昼食の度にお茶を上げている姿を見ると、私は気にならなかったな。
・明子は、目出度く金沢の美大に合格するが、入学後はキャンパスライフを楽しみ、ダラダラ過ごし画をキチンと描こうとしない。すると掛かって来る日髙先生からの電話。可笑しい。日髙先生が、明子に目を掛けている事と、怠け癖がある事に、気付いているんだろうな。
・日髙先生は”二人展をやろう”と言いながら、宮崎から遥々と金沢まで来て明子の家に泊まったりする。”皆で呑もう!”と”百年の孤独”を持って来るも、結局ボトルはそのままだったり、明子は自分を気遣う恩師への想いと後悔が、少しづつ溜まって行くのである。
・そして、明子はずっと言えなかった”漫画家になりたい!”と言う思いを末期がんに罹った先生に思い切って言うシーン。先生は背中を向け絵を描きながら”そうか、頑張れよ。”と言うのである。先生、何となく分かっていたのではないかな。明子の下宿には多数の少女漫画があったしね。
・明子は、見事に少女漫画雑誌の懸賞に入選し、徐々に漫画家として名を上げていく中、先生の存在を忘れかけた頃に掛かって来た一本の電話。そして、先生の絵画教室で生徒達が集まって先生の事を話すシーンはちょっと沁みたな。
特に、病が進んで声が出ない先生が、絵画教室の元ヤンキーでその後若手画家になった少年の展覧会に行った時に、少年が観衆の前で絵を描く事になった時に先生が手招きして掠れた声で言った言葉“描け・・。”の言葉のお陰で画が掛けたと話すシーンかな。
<明子が、漫画家として成功した背景には、日髙先生の”描け。何度でも、何枚でも描け!”と言う教えにより、知らず知らずのうちにデッサン力が磨かれて行ったのではないかな、とも思ったな。
今作は、漫画家になりたい女性と型破りな画の先生との長き師弟関係の変遷を描いたチョイと沁みる作品なのである。>
東村アキコさん、実写版おめでとう㊗️
「描け〜」が何人の心に残っているんだろう。
恩師への感謝と後悔
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