「次はしばらく先か・・・」かくかくしかじか 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
次はしばらく先か・・・
漫画家の東村アキコ先生の自伝的漫画を原作とした作品でした。主演の永野芽郁の”不倫問題”が喧しい中で封切りとなった訳ですが、作品と”問題”は別問題なので、"問題”は脇において作品の感想を述べたいと思います。
後に東村先生となる林明子(永野芽郁)と、彼女が高校時代に出会った絵画教室の先生である日高健三(大泉洋)の師弟関係について描いたお話でした。予告編で日高が竹刀を振り回して、明子がギリギリのところでこれを避けるシーンがあったり、明子の襟首を掴んで引き摺り回すシーンがあったりと、コメディタッチでマイルドな描写になってはいたものの、どうしても日高のパワハラぶりに注目せざるを得なかったのですが、これは本編でも同様でした。物語の舞台は今から30年以上前であり、先生から生徒に対するパワハラというか、もっと率直に言えば暴力に対する世間の評価は、現在に比べると当時は寛容な部分があったのも事実だと思います。ただ、個人的にこの場面が実話だとしても、これを美談調に描くのはちょっと受け入れがたいものがありましたし、逆に敢えてフィクションとして描いているのであれば、なおさら受け入れられないと感じました。まあ東村先生個人が、日高先生に対して好意的な感情をお持ちであるのは確かなのでしょうが、同様のケースで苦しむ人も大勢存在することを考えると、どうも合点がいかないところでした。
そうした部分はあるものの、役者の演技は素晴らしく、特に永野芽郁の感情表現から動きに至るまで、流石と思えるものでした。大泉洋に関しては、いつもの大泉洋でしたが、結果的に彼がこの役を引き受けていたからこそ、本作に無限の安定性を与えていたように思えました。
ただ、映像面や音響面では、特筆すべきところは少ないように感じられ、是が非でも映画館で観なければならない作品とまでは言えないように感じられました。
いずれにしても、”問題”のせいで次に永野芽郁をスクリーンでお目に掛かるのがちょっと先になってしまうかも知れないことが残念に思えるほどに、彼女の活躍ぶりが強調された作品でした。
そんな訳で、本作の評価は★3.6とします。
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