「さまざまな「道」へ踏み出す者に」かくかくしかじか ihatakaeightさんの映画レビュー(感想・評価)
さまざまな「道」へ踏み出す者に
人気漫画家東村アキコの自伝的作品「かくかくしかじか」の実写映像化。漫画家志望の主人公明子が、美大受験の為に入った絵画教室の教師日高との9年間を描いた青春ドラマ。
題名が秀逸、「かくかくしかじか」。人気漫画家の「描く」にまつわり、この題名で泣き笑いがありそうなら、つい見てみたくなる。若者からの成功の秘訣の問いに、ちゃんと話そうとすると「かくかくしかじか」を話すことになるだろう。
明子演じる永野芽郁がチャーミングだ。「道」に入る前の漠然としたヤル気や修練を強制される嫌々感への葛藤を等身大に演じている。
さまざまな「道」へ踏み出す者に、師となる存在は必要だろう。世に出るレベルとなるには、長期的・定期的・定量的に安定した力量の習熟が必要で、習熟までのやる気維持には心の拠り所が必要だ。その努力習慣は経験者にしか見えないことが多く、本質的な指導は難しい。そこが師弟の想いのすれ違いを生み出す。本作は、すれ違いも含めた、師・日高の「庇の下」が、明子の人生の贅沢な時間であったことを描いている。
さて、エンドロールにて斉藤由貴が出演しているとの事、よくよくお探しください。私は見つけられなかったっす。
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おつろくさんのコメント
2025年5月18日
私のレビューに共感頂きありがとうございます。
自分も美術学校出身なので、この作品は二重の意味で心に刺さりました。絵を描くことが大好きでも、技術を向上させるために描き続ける必要が出てくると苦痛に変わって来るので、明子の心の乱れに同調していました。
斉藤由貴の役柄は、明子が受験のために宿泊していた民宿の仲居だと思います。凄い老けメイクをしていたので笑ってしまいました。
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