劇場公開日 2025年5月16日

「合う合わないが極端に分かれる映画。事前にチェックがおススメか。」かくかくしかじか yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5合う合わないが極端に分かれる映画。事前にチェックがおススメか。

2025年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年131本目(合計1,672本目/今月(2025年5月度)16本目)。

 自伝的な内容もある映画で、その意味(限り)においてドキュメンタリー映画的な要素も否定はできません。元ネタは小説ほかにあるようなのであまり書かないほうが良いかな…。

 この映画の「最大の難関」というか「最大のポイント」は、「宮崎方言が聞き取りづらい」という点で、「イエスかノーか」という部分すら聞き取るのに苦労することがあります(かつ、映画の大半のパートは宮崎。ほか、東京や「北陸のある都道府県」(ネタバレ回避)は出てくるが、そこの方言は余り気にならない)。思い返せば宮崎方言がテーマというか話題になったのが、「ベイビーわるきゅーれ3」(ナイスデイズ/宮崎に行くお話。登場人物の高石あかりさんが宮崎出身であることによる。なお、これに伴って1,2も多少方言は出てくるが聞き取れないほどではない)がありましょうが、とにかく聞き取りにすら苦労するので、その意味で原作を知っているのが前提なのかな…という気がします。

 映画の評価のポイントも大半はこの部分に来ますので(日本映画で、かつ映像をある程度見ていても、まったく日本語の聞き取りを要さない映画というのは少ない)、この意味では好き嫌いは分かれそうです(ほか、体罰が過ぎる「先生」役の賛否もありましょうが、この作品は自伝的内容で、多少の変更はあっても当該人物に実質相当する方はいらっしゃることを考えれば、あまりに攻撃的な批判はしにくい(単なる批判・批評と誹謗中傷は違います)という部分は確かにあります。ただここもやはり「やりすぎかな」という部分はまま感じました。

 採点に関しては以下まで考慮しています。

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 (減点0.3/映画の理解としてかなりの方言の知識を要する)

 実質的に「宮崎県専門枠では?」と思えるほど方言関係の聞き取りに苦労するので(日本では、北海道や沖縄等を扱う映画でも、当事者が減ったことから、あえて標準日本語に合わせる、あるいは実話に即しても必要に応じて補助字幕を入れるなどが多い)、ここがやはりある程度減点要素が来るかなという印象です。

 (減点0.2/占有離脱物横領罪・即時取得に関する配慮が足りない)

 序盤の、ゴミ捨て場から漫画を勝手に取って自分のものにする行為ですが、民法上は即時取得の成立の余地がなく(有効な取引関係がないため)、条例や町内会規則等で「ゴミ捨て場に捨てたら所有権や占有権は市町村や町内会等にあるものとみなします」等の決まりがあることが普通なので(これは、例えば時々報じられる、例えば1,000万円といった極端な大金が突然捨てられていたり、あるいは不法な武器拳銃等を捨てる等の対応)、この関係で単純横領罪、占有離脱物横領罪の成立を指摘されても仕方がなく(ただ、実態問題として、日本ではこのことは、例えば価値のある空き缶(リサイクル可能、あるいは業者に売れる)等を「取り合う」形態を想定して地方自治体等が警告・注意しているだけであって、特に占有離脱物横領罪での検挙例自体、数えるほどしかない)、ここは何らかの注意書きが欲しかったです。

 (※) 行政書士の資格持ちは、外国人取扱い関係をある程度メインにすることがありますが、出身地に関係なくおよそどの国でも「ゴミ捨て」という概念はあるし、そこで「価値のあるもの」を拾うこと自体は国によって罰せられたり、しなかったりと別々ですが、本件は特に外国人の(旧制度でいうところの)技能実習生等が、テレビ等「ある程度価値があると思えるもの」を勝手に拾う行為が、微罪とみなされて滞在に支障をきたす(まぁ、微罪なので実態問題上、警察も放置状態ではありますが)といった、外国人取扱い関係で、特に単純横領や業務上横領とは別に、占有離脱物横領罪に関してはある程度関心を持っている方はいます(どの国でも、それを拾うこと自体が刑罰に定まっていても微罪であったり、事実上放置する国のほうが多いが、日本ではいわゆる積極的な排斥行為において、この微罪を特段に「極端に」問題視する方がいるため)。

 (※) なお、いくら「ゴミ捨て場」といっても、明確に誰の目にも価値があると客観的に言えるもの(例えば、それこそ上記の1000万円の例など)は、ゴミ捨ての行為自体に錯誤(動機・要素の錯誤)(95条)があったと考えられますので、それを発見した方との関係では、誤ってゴミ捨て場に捨てた人(本人)と発見した方(管理者)とでは、事務管理(697条)の関係があり、事務管理は「本人の意思がわかるか推知できる場合」管理者はそれに従う必要がありますから(そしてそのような極端な大金を見つけた場合に遺失物として届け出て報酬がもらえる制度(遺失物法)は、報酬を請求できない事務管理の特殊な例外)、事務管理の観点でも微妙です(事務管理、不当利得、不法行為は、条件を満たすと勝手に発動する法定債権と呼ばれるものです)。

 (※) 映画で描かれるのは、描写でも示されるように、民法大改正(2020年)以前のお話で、当時は「錯誤は無効」の扱いでしたが、「取消的無効」と解されており(判例。民法大改正で取消しに変わった)、錯誤に関する描写(新旧95条)も解釈も怪しいです。

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yukispica
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