「アカデミー賞の喧騒を離れて、アラスカくんだりでセスナ機を飛ばす映画ってどうなの」フライト・リスク ノーキッキングさんの映画レビュー(感想・評価)
アカデミー賞の喧騒を離れて、アラスカくんだりでセスナ機を飛ばす映画ってどうなの
投票母体が俳優であるアカデミー会員は、受賞者が白人ばかりだと批判された翌年には、忖度して黒人を選ぶというような暗黙の了解が存在する。偶然だろうが、今年は「我の強いアメリカ人がロシア人につれなくされる」という政局を象徴するような話が作品賞を取ったが……
さて、オスカーなんぞとは無関係、埒外の本作。俳優は3人で、無線、携帯でやりとりする向こう側のドラマは映像省略、観客に想像、補完させ、物損はセスナ機だけで済ませるという、制作的に非常にコスパが良い。そして、けっこう楽しませる。
なにより会話の妙で、生き死にの切迫した状況でも皮肉や冗談を言い合うのはアメリカならでは。上空、眼下の単調な景色に飽きると「文明が恋しい」なんて台詞があったり、拘束されたウォルバーグがチビリそうになると「パンツにポロック作品ができる」や皮肉たっぷりに「操縦士をお探しか?」など、サイコ調でまくし立てる。
出演を即決したというウォルバーグ。高額なギャラだとしても、ハゲヅラで憤死する悪役をよく引き受けたものだと感心するが、そこはメル•ギブソン監督との関係性があるのだろうか。
大型旅客機の航空パニックものに及ばないものの、ショボいセスナ機内の話だけで充分迫力はあったし面白く観たが、スケール的にはどうだろう、けっこう来年あたり、テレ東の昼のロードショーでやってたりして……
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