シネマ歌舞伎　源氏物語　六条御息所の巻のレビュー・感想・評価

源氏物語について詳しくないですが、初めに坂東玉三郎さんが大まかなストーリーを話してくださってから本編スタートなので、初心者でも楽しめます。

本編が始まると、貴族の美しくたおやかな絵巻物の世界の中に入りこんでしまったような感覚になります。ゆったりと時が流れ、その中で貴族の恋愛事情が展開します。光源氏へ抱く老女の激しい情念や、光源氏に生まれた新しい子供の命の輝きを感じたり、、今も昔も変わらない人間の姿を、時を超えて描いています。
本当に美しい！

役者さんが全員男性だと思うと不思議ですが、そこは宝塚と同じというか、本当に美しい日本の伝統的美を心ゆくまで堪能させてくれます。
何度でも映画館に足を運びたくなる、そんな作品でした。

光源氏が自分の子を見て湧き上がる喜びに包まれる様子は恋に身をやつす姿に勝る美しさで驚いた。
後の秋好中宮の愛らしさはひとしおで、そんな愛らしさでも六条御息所の苦しみはなくせないことに光源氏の罪深さを感じた。

たまたま源氏物語のガイド的なモノを読んでいたので、話もよく分かり、面白かったです。坂東玉三郎さんは女形の中でも、一段と妖艶ですね。