「このままでいい」映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ セッキーかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
このままでいい
春日部市とインドのムシバイが姉妹都市になったことを記念して、ムシバイでダンス大会が開催されることになった。そこで、春日部市代表としてしんちゃん一行が選出され、インドへ招待された。旅先でしんちゃんはある雑貨屋にあった不思議なリュックを購入する。そのリュックには2つの紙が入っており、それを鼻に詰めると強大な力を得て暴君になってしまうという代物であった。偶然その紙がボーちゃんの鼻に入ってしまい、ボーちゃんは暴君と化してしまう。しんちゃん一行は暴君と化した彼を救うことができるのか…。
しんちゃんの映画を久しぶりに鑑賞した。最後に観た記憶が曖昧だが、10年ぶりくらいだと思う。そんな状況で、本作を鑑賞した第一の感想としては、昔と変わっていなくて安心した、である。
オトナ帝国やアッパレ戦国など多く名作が存在する本シリーズ。残念ながら、それらと比較すると本作の完成度は低い。しかし、昔ながらのしんちゃんの良さはふんだんに盛り込まれていた。
例えば、友人を救うことを最後まで諦めないしんちゃんの友情、カスカベ防衛隊のボケとツッコミのバランスの良さ、裏切りに心揺れるおにぎりなど挙げればキリがない。
その中で、本作で突出すべきシーンは、ピンチの場面でイケメン作画になるヒロシである。これを挙げたのは、私がトップガンのファンであることに起因するが、トップガンをよく知らない人でもこのシーンには笑ってしまうだろう。ヒロシが運転したことのない飛行機を操縦するシーンなのだが、あの有名なテーマを意味不明な歌詞で歌いながらドヤ顔で飛び立つのである。そして、なぜかこのイケメンヒロシの操縦がかなりイケてるのである。トップガンマーヴェリックで崖を左右に避けるシーンがあるが、これがそのまま採用され、ヒロシはこれをリズムよくかわしてしまうのである。これには参ってしまった。これはウケるシーンでもあるが、こういう大人もバカになって、本気で敵に立ち向かうのが本シリーズの醍醐味だったなと昔の気持ちを思い出した。
本作の高評価が少ない理由としては、インド映画特有のダンス&歌唱シーンが多く、ストーリーに関係のないシーンが多い、ボーちゃんを救うのがメインテーマであるが、案外簡単に紙をとりだせてしまう、肝心のラスボスが意味不明なチャパティかよ、など様々あると思う。
しかし、これも引っくるめてクレヨンしんちゃんシリーズなのだと思う。姿勢を変えずにフルスイングしているから、大ハズレも大アタリもあるのである。
国民的アニメは毎年1本新作映画を上映しているが、コナンしかりドラえもんしかりそれぞれの色が出ていていいと思う。本作を観た人が、しんちゃんは迷走していると言うかもしれない。心配ない。クレヨンしんちゃんは最初から決まった一本道など進んでいない。私は、本シリーズには、この姿勢のままできるだけ長いこと走り続けてほしいのである。
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