ミゼリコルディアのレビュー・感想・評価
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Murder He Wrote
Director Alain Guiraudie once again masterfully captures the understated tension among his characters in Misericordia. While his films explore homosexual themes and insecurities with more depth and earnestness than many mainstream works, Guiraudie's distinctive style ensures that his storytelling remains accessible to a wide audience.
The inclusion of a Catholic priest adds a timely dimension to the narrative, particularly when compared to Conclave, this year's Best Picture nominee. However, Misericordia is undoubtedly the bolder and more audacious of the two.
レビューに関係ないが、御嶽海が出てきてビックリ。
中盤辺りまでは、観たのを後悔するくらいの「何でだよ」展開。主人公に全然感情移入できないし、何か自分で望んでもないのに、勝手に共犯者にさせられた気分で、モヤモヤしっぱなし。そんなこと今までしたことないけど、途中退席しようかと思ったくらい。
でも、しなくてよかった。
配信だったら、観るのをやめてたが、映画館だったことが功を奏した。
中盤のとあるシーンから、途端に映画が動き出す。
登場人物たちの見え方も変わるが、何よりも、観ている自分自身に見事に問いが突き刺さるので、今まで確かだったと思ったことが、途端にあやしくなって、いろんなことがわからなくなってくる。
ラストも、ある意味衝撃的ですらある。フランス映画にそれほど詳しい訳ではないけれど、フランス映画っぽいなと思ってしまった。
鑑賞後、観た人はきっと、私と同じようにタイトルの意味をあれこれ考えたことだろうと思う。
面白かった。
非常識で不思議な世界を楽しめる快作
一度目の鑑賞で消化不良だったので、二度目にリベンジチャレンジしました。
その際心掛けたのが、常識のフィルターを外して観ること。結果 これがめちゃくちゃ面白かったです。
ロングドライブの後辿り着いた村。石畳の道路と森の紅葉、冷気を帯び澄んだ空気。ツインピークスのような複雑な人間関係が垣間みえる。そして葬儀。舞台としては最高です。
でもこの後、通常の道徳観、倫理観は出てきません。登場人物は皆、「変」。この不条理にいかに理屈抜きに浸れるかが、この作品を楽しめるカギかなと思います。
午前4時に来るのが分かってるから、少し前に起きて待ち伏せする、「3匹の子豚」のような戦術とか、さすがにあのキノコ料理は気が進まないから、ワインで流し込んで無理喰いするところ、尋問で婦人警官が上司と徹底して話を合わさないところなど、笑えるシーンもあります。
最高なのは逆告解のシーン。犯人に「知ってるよ」と仄めかすと同時に、愛の告白もしてしまう。一方で「食事と散歩が出来たらいいの」と控えめな乙女ごころも示します。
アラン・ギロディ監督が意図的に廃したとコメントしてますが、本作は監督お得意の激しい性描写が一切出てこないのも気に入りました。
今までにない感覚のダークミステリー。出色の作品です。
なんかよく分からないけど好き
クルマ使えよ。
欲情しますか、またコレが。と言うか、どいつもこいつもケダモノ過ぎるw
と言うか、主人公。クルマあるのに、徒歩が好きやなぁ。歩かないと、この事件が成立せんからですか?
ギロディらしいです。ホモでオチ作りますもん。って、読めますもん。で、ドキドキしませんもん。
唯一。
教会の告解シーンには、魅せられました。神父の表情と画が良かったです。そこくらいですかね....
警察に行動が非現実的なんが致命的で、ノワール感が出ず、よく分からない物語びなってる、って思いました。エグい割に真に迫るものがなく。
つまらなかった。
割と。
70点ぐらい。終盤に衝撃
アラン・ギロディ監督特集、にて鑑賞。
『湖の見知らぬ男』→『ノーバディーズ・ヒーロー』→本作『ミゼリコルディア』の順で、最後に観た。
前情報はアラン・ギロディ監督の作品ってことだけで、どんな話か分からず観てたら、
同性愛が話に絡んできて、またか…と思ってたら、ある事件が起きて…
そこそこ面白い感じが続くけど眠くなってウトウトしながら観てたら、終盤に衝撃ですよ。
心に刺さるセリフのラッシュ、心をエグられた。
そして、まさかの展開。
終盤、面白かった!!
この終盤で、この映画の評価も変わった。
観てほしいな。
“現代フランスを代表する異才”と評される監督みたいだけど、特集上映の3作を観て分かった気がした。
PS.終盤にテレビで日本の相撲を観てるシーンがあってビックリしたんだけど、調べてみたら、いろいろ面白いことが分かった(笑)
よかったら“フランス 相撲”で検索してみて下さい。
神の代理人まで味方につける ナチュラル•ボーン人たらしジェレミーの表情も行動もまったく読めない
物語は秋の田舎道を走る自動車のシーンから始まります。やがて、画面はその車を運転する主人公ジェレミーの視線にかわります。田舎道はくねくねと曲がりながら石造りの家が立ち並ぶ村へと導きます。ジェレミーは村のパン屋の前で車を停めます。彼はかつて世話になった(あるいはゲイの恋愛関係にあった?)パン屋の店主の葬式のために何年ぶりかにこの村に帰ってきたのでした。
この主人公のパン職人のジェレミーというのが一見普通の人のように見えて常識では計測不能の変な人なんです。まあ村の人たちも大なり、小なり、みんな変なんですけどね。店長の未亡人も、店長の息子のヴァンサンも、ジェレミーの旧友のワルターも、そして村の教会の神父も。ついでに村の警察も。ジェレミーの何が変かというと、合理的な判断に基づいて行動しているわけではなく、常に本能というか、持って生まれた本質、性質からくる直感みたいなものに従って行動してるからだと思います。旧友のワルターの家を訪ねたジェレミーはワルターの下着に着替えてワルターの胸をまさぐり始めます。ゲイではないワルターは怒り心頭で銃まで持ち出して彼を叩き出すのですが、ジェレミーにしてみれば、相手がゲイだろうが、なかろうが関係ない、ただ本能に従って愛の行為をしたかっただけだということなんでしょう。
そして、その本能に従ったある行動でジェレミーは大きなあやまちを犯して大ピンチとなるのですが、天性の人たらしぶりを発揮します。不思議と周囲が彼を救ってくれるんですね。人たらしというのは自分が人をたらし込んでるのに自覚的な人が多いと思うのですが、彼の場合は無自覚でも本能からの言動が結果的に人を惹きつけて助けてもらえます…… と、ここまで書いて、実は彼は戦略的にそうしてるのではないかとも思えてきたりもしますが、彼の表情からは何も読み取れません。人間の摩訶不思議さを体現しているような感じです。そしてまあ、いろいろあって最後のシーンに着地するのですが、なるほどそう来たかと納得できるような、できないような不思議な幕引きがされます(褒めてます)。
今回の特集の3作のうちでは、この作品が割とプロットがしっかりしていていちばん完成度が高いのではないかと感じました。あと役者さんたちの佇まいが主人公を始めとして皆、人間の摩訶不思議さを体現しているような感じで、とても良かったです。
現代のテオレマか?
ジェレミー(フェリックス・キシル)は殺人を犯しながら表情も崩さず、しかも村のさまざまな人々に愛される。かと思えば、警察の執拗な追及に動揺し、かつて世話になった元パン屋の夫人や、彼に偏執的関心を示す神父に助けられながら、多様な愛を示しながらなんとも言えない結末に至る…という物語。
個人的にはパゾリーニやブニュエルに似た映画的感興を久しぶりに味わった作品だが、観た当初は、その性的有り様に驚きを覚え、共に鑑賞したパートナーほど素直に受け入れがたい抵抗感すら感じてしまった。
しかし時間が経つにつれ、前述した映画的感興が味わい深く心に残り、忘れ難い映画となった。千葉雅也氏の小説にも通じる感覚かもしれない。
ジャック・ドゥヴェレー演じる主人公に偏執的関心を示す神父とジェレミーによる告悔のシーンは本作の白眉と言える。告白するもの聞くものの立場が逆転したこのシークエンスで、ジェレミーは初めて神父の本質的な愛を知り、彼の救いに身を委ねることになる。
物語のはじまりから、何を考えているかよくわからず(その意味では殺されるヴァンサンの方がはるかに人間的だ)ある種、人間性を欠いたまま村の人々への説明不可能な愛の交歓を成すジェレミー。彼の撒く謎の愛の種子は、美しい森(撮影の勝利か!?)で象徴的に描かれるキノコのように村に拡がり、最終的には自らが神父や夫人、その他の人々からの愛に絡め取られていく。
不思議な愛の軌跡を映すこの作品のおかげで、他のギロティ映画も観たくなった。
これからキノコ食べるのちょっと躊躇う
慈悲なの?
欲望に忠実で悪いわけがなかろう
教訓噺
横浜シネマリン、アラン・ギロディ監督特集にて。
(横浜で観られるなんて、横浜シネマリン様、感謝です。
もうすぐ値上げしますが仕方ありませんね。)
この幕切れ。
暗示はあるので理解はできるが、
えええええ、コレで終わる?と、
そのあざやかなエンディングに腰が椅子からあがった。
(ああ、コレだから映画って愉快だね。この快感。
正直また観たいとは思わないが、この幕切れの奇妙さにはやられました。)
主人公ジェレミーは人ったらし。なんだろうな。
ゲイなのか、バイセクシャルなのか分からないし
どうでもいいが、まぁ悪意も策略もあるのかないのか分からず相手の懐に入るのが絶妙というか。
世の中、短気な問題児よりソフトな可愛げのある人の方が好かれるということ。
可愛げ。
性別や年齢問わず、可愛げ、大切である。
人は可愛げである。
ぶりっ子ではない。腹黒い笑みではない、可愛げ。
素直な可愛げである。
そんな教訓噺。
未亡人オカンが色っぽい💋
オススメされて観に行ったギロディ作品。
助言として事前に聞いていたのは『湖の見知らぬ男』を最初に観るのだけはやめておいてー、ってこと。(←結果的にめちゃんこ有益なアドバイスだったとわかるww)
冒頭、葬儀のある村まで車でのロングロングドライブ。
景色が美しくて目を見張る。
あ!この間観たテレンス・マリック監督の『天国の日々』のような映像美を楽しむ系なのか⁉️と一瞬思ったけど、それにしてもドライブ長い……
映画の前半は何をするにも尺使うめちゃんこシャクトリムシw
あまりにのどか過ぎてこのまま何も起こらずに終わるとかもあるのかなーとすら思えてきたところて事件勃発!
そこからはテンポが速い!
登場人物がみんなどこかちょっとずつ可笑しいんよね
だから全体的に滑稽な空気出してて笑える
初めて観るギロディ作品としてはちょうどいいバランスだった(とあとで知る。)
例えようのない面白さ
初アランギロディ。タイトル覚えらんないし意味もわからない。でも面白かった。こんな作風の人がいるのね。おそらくこの人の考える普通はネジが外れてるようでもあり、でも見終わるころにはちょっとこちらの常識が広がる。
普通のドラマでは起きない個人的な動機(欲情)で非常識行動が起る、にも関わらず普通に話が進むので「え?」と突っ込みながら見る事になるので、そこで起きる殺人事件よりもそっちのほうがサスペンス。油断できない。主人公もヤバいが真っ先に真犯人を見破る神父もヤバい。考えてみるとこんなに狭い村なのにほとんど全員ヤバい。警察はその上をゆくヤバさ。そんな人々の中で淡々と殺人事件が過ぎてゆく。そんな映画。
タイトルなし(ネタバレ)
アラン・ギロディ監督の作品を観るのは、本作がはじめて。
かつて師事していたパン屋主人の葬儀に参加するため帰郷したジェレミー(フェリックス・キシル)。
パン屋主人の未亡人マルティーヌ(カトリーヌ・フロ)のもとに滞在することになったが、マルティーヌの息子ヴァンサン(ジャン=バティスト・デュラ)は気に食わない。
ジェレミーとヴァンサンは旧友同士なのだが・・・
ふたりに共通の友人や神父などと交流するうち、ジェレミーとヴァンサンは争い、ジェレミーがヴァンサンを殺してしまい、ことはヴァンサン失踪事件として捜査されることになる・・・
といった物語で、一応は田舎が舞台のサスペンスなのだが、一筋縄ではいかない感じ。
ジャンル映画に収まらない映画で、「握った掌から妙に滑り落ちていく」というか、そんな手応え。
一般受けはしなさそうだが、嫌いじゃないタイプの映画。
この、どのジャンルにも収まらない(予想どおりには進んでいかない)ところは、マイケル・ウィンターボトムに似ている感じがなくもない。
まぁちょっと気になったのは、皆から愛される主人公のジェレミーだけど、そんなに愛されるタイプかなぁ。
師匠であるパン屋主人の息子夫婦には胡散臭いヤツと思われているが、そこいらあたりが妥当のようにも思える。
なお「ミゼリコルディア」の意味としては
・哀れみ、 憐憫、同情
・[間投詞として] 許してくれ! 何てことだ!
本作では「何という出来事(または、憐れみの有無について)」という感じかしらん。
神秘的で、ユーモアとウィット満載
妙な目配せで、これもまた流行りのあの手のやつか!?とちょっと引いた目線で眺めていたのですが、まさかあんな展開になるなんて!でも最後の最後は多少感じていたりしたけどまさかああなるとはねぇ─とまぁ内容的に多くは語ることはできませんが、予想に反しおもろかったです。
まさかの展開とはいえ、しっかりと複線めいたものはまかれていて、それゆえに心地よくて清々しい笑いがこみ上げてきました。
映像は相当しっかりとしたもので、あまりに内容が優れていただけにさらりと流れてしまうのですが、何で気にもとまらなかったというと、シンボリックなアイテムをうまい具合に用いて映し出すことによって位置関係や展開を分かりやすく描ききっているために見ている事柄がちゃんと内容に直結してくれるためで、一生懸命何か集中しなくても楽な気持ちで作品を楽しむことができたからなのでしょう。でも、少しでも眠気を覚えるとアウトかも─色々と起こるとはいえ静寂に包まれた作風なので─。
神父さんはひょっとして仔羊を救うために自らを犠牲に自らの嗜好をも偽って・・・などと深読みすらしてしまったのですが、それは思い過ごしで、それはそれでかなり笑えましたし─。なかなか笑いにしにくいところを付いていて、ちょっと他にはない作品かもしれません。楽しめるかどうかにはかなり個人差はあると感じますが・・・
Panis
いや〜変態な作品でした。
キノコと欲が作品のほとんどを占めているような感じの手応えで、色々な愛が交錯するのが特徴的な作品で、ガッツリ笑いましたし、時々頭の中で"?"マークが出まくったりと未知なる映画でした。
亡くなったパン屋店主の葬式に行ったジェレミーが長い事その家にいる事から始まる違和感が徐々に大きくなっていく作品で、ジェレミー以外の面々が不安がったり怒ったりするのはさも当然なんですが、当のジェレミーが何を考えているのかが表情や言動からではさっぱり分からないというのもどの方向に進んでいくのかというワクワク感があってずっと楽しめました。
成人男性の取っ組み合いの様子が喧嘩慣れしていない感じなのが良い味を醸し出していましたし、その後何度も突撃してはジェレミーを問い詰めるのにあの手この手で潜り抜けるジェレミーが憎たらしくもあり、可笑しくもあり。
ヌルッと登場した神父が今作を掌握していく流れもとても面白かったです。
キノコ狩りからの後半のシーンでの堂々たる様は圧巻で、この人だけは何を考えているかがまだ表情や身体に出ていたのでより覚えやすい登場人物になっていたなと思いました。
神父の愛がなす結末はハッピーとも取れるし、バッドとも取れる、自由な解釈のできる姿だったのも良かったです。
ラストシーンで有言実行をかますのも良いですし、くっつこうとしたのを妥協して手を握るに抑えたとはいえ成人男性よ…となったのも後味が不思議でしたが良かったです。
師匠の奥さんに母性を重ねるならまだしも、性の対象として見るってジェレミーさん守備範囲広いな〜とぼんやりフフッとなりました。
R18+というのを最大限利用して男性のお○んぽをドーンとお見せするので、その絵面にワッハッハと笑ってしまいましたが、他人のおち○ぽをこう大スクリーンで眺めることなんてそうそう無いので良い体験ができたなと思いました。
徹底的に性行為のシーンはカットしているのも印象的ですが、誘惑するシーンなんかはしっかりエロティックでした。
監督の他の作品も見てみたいんですが、間隔空けないと情緒がちょっぴり不安定になりそうなので日を開けてまた観たいなと思いました。
鑑賞日 3/24
鑑賞時間 11:00〜12:55
座席 H-1
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