「『28年後…』レビュー|経営者として考える“再生”と“変化への適応”」28年後... 林文臣さんの映画レビュー(感想・評価)
『28年後…』レビュー|経営者として考える“再生”と“変化への適応”
映画『28年後…』(原題:28 Years Later)は、社会の崩壊から再建までの長い時間を経て、人類がどのように生き直すのかを描いた作品だ。前作『28日後…』『28週後…』から受け継がれた絶望的な世界観の中に、人間の本質、組織、信頼、進化といった深いテーマが内包されている。
経営者としてこの映画を観たときにまず感じたのは、「変化に取り残される者の末路」だ。感染症によって社会が崩壊したあと、価値観もシステムも一新される。旧来の“常識”や“ルール”は通用しない。これはまさに、現代のビジネスにも通じる。特にIT業界では、数年どころか数ヶ月で常識が変わるスピード感がある。だからこそ、ITスクールなどを通じて、常に学び直す姿勢が必要なのだと痛感する。
本作に登場する人物たちは、過去の栄光やルールにすがっても生き残れない。むしろ、“何を捨てるか”“新しい武器をどう手に入れるか”を選択した者が次の社会でリーダーシップを握る。これは経営の現場でもまったく同じ構図だ。新卒時代のスキルや人脈だけでは、継続的に組織を成長させることはできない。常に時代に応じてスキルをアップデートし、再定義しなければならない。
また、『28年後…』では人と人の「信頼」が最終的な生存の鍵になる。この点も経営に通じる。テクノロジーが発展しても、人が動くのは“信頼する人”の言葉であり、その土台がない組織は脆い。
28年という歳月の中で、人類は何度も絶望と再出発を繰り返す。本作はただの終末SFではない。“壊れた世界”からいかに価値を創造し直すか、そして次の世代に何を遺すのか。経営者としてこの問いに真摯に向き合うきっかけをくれる作品だ。ITスクールなどで学ぶ技術も、結局は「人の未来」を創るためにあるのだと再認識させられる。