「混沌世界のロードムービー」28年後... HGPomeraさんの映画レビュー(感想・評価)
混沌世界のロードムービー
個人的には、物足りない作品でした。
開演後、小一時間後にウトウト眠りに襲われました。
公開から時間は経過してるので、前作、前々作を視聴することもできました。
このシリーズは、オムニバス形式の映画だなと思いました。
毎回登場人物がほぼ全入れ替えなので、「続編」となるのは世界観だけで他は繋がりがほぼ皆無。バイオハザードやその他の続編ホラーはある程度シリーズ通して登場人物の続投や伏線の設定、回収行為が描写されていますが、このシリーズはほぼ無いと感じた。
それはある意味、途中から観ても困らない作風で観やすいかもしれません。
ですが、残念なのは物語の構成が、あまりにもご都合過ぎる展開が多かった。
①スパイクの初陣の上陸スパンと装備
②父親の不倫行為の目撃
③隔離地域内での妙に静かな現場描写のシーン
④感染者の出産
⑤ケルソン博士の「聖地」
⑥カルト集団の幕引き
以上、追って感想を記載いたします。
①上陸後の行動範囲や危機管理の甘さ、軽装過ぎる装備に違和感。あまりに、無謀だし楽観的過ぎるのに、門番の長老格は真面目で厳格。矛盾を感じざるを得なかった。
②父親が不倫をおっぱじめる場所まで、会場からかなり離れた感じが見て取れたのに、無理やりお酒飲んで酩酊したスパイクが、いともたやすく現場にたどり着き、まさに行為が始まる直前だったのが、強引さを感じた。
③母親とスパイクが上陸した後、平和で物静かな時間の見せ方に「現実感」が無かった。
普通に焚火で一夜明かすなんて考えられないし、また感染者が居ない平原は有るかもしれないが、あまりに無防備すぎる。
100歩譲って、スパイクはまだ無知な子供。母親は病上の意識混濁。……だとしても、大量の感染者に仲間を惨殺された兵士の危機意識が薄すぎる描写に違和感(結果として警戒するべき状況、感染妊婦者の絶叫と自分の発砲後に、周囲に対する警戒感が0になった。それはそれで新兵扱いで処理できるが、それはあまりにご都合的でB級ホラー)。
④出産は良いとして、出産まで大人しすぎる感染者母親(痛みや感情はすでに無いのでは。また、その妊婦には人間味が残っていたとしても、その描写の説明などが無いので違和感を感じるしかない。)、出産中の叫び声でアルファが来たのかもしれないが、アルファ以外の感染者出現が無さ過ぎた違和感。
⑤ケルソン博士は、あの場所(聖地と表現)で長期間生き延び、大量のモニュメントを造ったと思われたのに、アルファのいともたやすい襲撃。そんな簡単に襲撃受ける状況場所で、あのモニュメントは長期間保てないのでは。
⑥幕引き、アルファや大量の感染者の襲撃を経験したはずのスパイクが、弓矢程度で現地に留まり、堂々と魚を焼いているシーンにも、雰囲気のみの無理矢理感を感じ、そこからの「生き残っていた現地民」の描写がカルト過ぎる。
しかもそのリーダーが冒頭の神父の息子と思われるため、神聖感や復讐感は吹っ飛ばし、ただただ欲と怠惰に落ちたカルト集団の長に落ちた描写に唖然としました。
冒頭の神父とその息子の描写に何の意味も無かったのか、もしくは人間の愚かさを最後の最後に表したかったのか。
または、ただ続編を匂わせたかっただけなのか。
本作において、個人的に良かったのは、ありがちな新興宗教やカルト集団の物語にならなかった点。
ホラーほどのグロい表現やアクションも少なく、「出会いや旅立ち」を感じたので「ロードムービー」との見解をしました。
……続編を考えてるなら、配信ドラマでいいような……、カルト集団組織が物語の根幹を担うのは、安直な物語や宗教的表現が多くなりそうで、映画としては私はちょっと。
あと、28年後の後は、280年後か28世紀後とか、もうとんでもない世界移行になるような。
ウォーキング・デッドのようなドラマでなら許容範囲のお話かもしれません。