劇場公開日 2025年6月20日

「「1作目よりフレッシュなシリーズ3作目」に拍手!」28年後... 不敗の魔術師さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「1作目よりフレッシュなシリーズ3作目」に拍手!

2025年6月21日
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鑑賞方法:映画館

これも一応広義の「ゾンビ映画」にはなろうかと思うので、まずはジャンルへのスタンスを記載。
ロメロ三部作+1(ぎりぎりランドまで)超好き。(というか実際一番好きなのはサビーニ師匠の死霊創世記だったり...)
リメイクドーンも好きだし、リターンオブザリビングデッドことバタリアンもド名作だよね。え?あれはコメディ映画でホラーじゃないって?正気?笑って見てたらいつの間にか凍り付いて笑いしか出なくなるホラーの傑作だろうが!って感じ。「モット...オウエンヲヨコシテクダサイ...」からの脳味噌ビュッフェとか本当にタチが悪すぎて怖面白い(笑)

で、本題ですが本シリーズ、1作目リアルタイム鑑賞した時から好きでしたね。誰もいないロンドンの風景も、無修正キリアンも衝撃。
大体「レイジウィルスで病気に罹って狂ってしまった人達」に襲われるのが、最早定番の「モンスター」化してしまって、ともすればバンパイアやミイラ男と同列化されかねない「ゾンビ」とは一味違うイヤさがありますよね。食う訳じゃなく、粘膜や傷口からの感染による自己増殖しか興味が無いという、下等なウィルスに操られた感じが堪らない。

それこそ先行作品としてはロメロの「クレイジーズ」というストレートすぎるタイトルの作品もあるけど、あれはリメイク版含め結局は封じ込める側の怖さを描いた作品だからなぁ。全幅の信頼を置いていた、拠って立つものから非情に切り捨てられる恐怖というか。

ただ、やっぱ中盤以降は中弛み感が拭えなかったかな。たしかに極限状況下における人間ドラマを描いてこそ名作ゾンビ映画(便宜上やむなし!)たり得るというのは分かるけど、ちょっと比重を誤った感じかなと。軍人の手前勝手な言い分に対する怒りがメインになっちゃうというか。女性陣が酷い目に遭わないかのハラハラが勝つというか。それもうホラーちゃうのよ。
2作目も序盤のカッ飛ばし具合はいいけど、ちょいちょいブレーキが...特に不味いのが登場人物の自業自得感。特にあのクズ親父。それホラーと相性悪いんだぁ...。
結局、大概は恐怖(fear)より怒り(rage)の方が感情として強くて、上書きされちゃうからさ。

そういう訳で、1作目のコンビが帰ってくる!たって、喜んでいいやら微妙には受け取ってたけど、今回は大当たりだったね!シリーズで一番好きよ。
28ヶ月後...はなんか企画ポシャっちゃったんでワザとスルーしたんじゃないそうだけど、28年という思い切った期間を置いた世界を描く事で、レイジウィルスに侵された病人に襲われるというイヤさの核は保ちつつ、良い感じにプチリセットできたというか。今となってはある程度陳腐化してしまったポストアポカリプスゾンビのテンプレに近い1作目よりむしろフレッシュなのでは。もう近未来SF映画でもあるよね、これ。

徐々に自然と同化しつつある感染者、進化するウィルス(丘に並ぶ感染者達のシルエットの中に1つだけ明らかにおかしなサイズの人影が混ざるあの絵面はゾワっとした。ホラー史に残るような象徴的イメージではなかろうか)、そして一定期間を置いて部分的に都合の良い箇所だけ限定的に組み直される人間社会や文化。
「これもう無理ちゃうか...?」というような閉塞感こそゾンビ映画の醍醐味だと思うので堪りませんでした。イヤ〜堪能した。(大陸の方は収束してるっぽいのがイマイチ息苦しさに穴を開けちゃっててMOTTAINAI気はする)

因みにヨード塗れの全身真っ赤なサバイバルサイコハゲドクター、どっかで見た事あるよなぁとずっと引っ掛かってたらなんと主席枢機卿じゃないですか!赤い衣装はこの前と同じですね!って感じでエンドロールでひっくり返った(笑)
とりあえず、はよ次くれやボイルちゃんよぉ!あんまり待たせんなや!?とだけは強く言いたい。

不敗の魔術師
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