劇場公開日 2025年6月20日

「頭と心臓を射抜く怪作に、"メメント・モリ"...人類皆レイジ・ウイルスに感染したような現代社会(=暴力に満ちた外の世界)で、少年が生命の円環に触れる旅路」28年後... とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0頭と心臓を射抜く怪作に、"メメント・モリ"...人類皆レイジ・ウイルスに感染したような現代社会(=暴力に満ちた外の世界)で、少年が生命の円環に触れる旅路

2025年6月20日
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ダニー・ボイル監督✕アレックス・ガーランド脚本=最強タッグ再び!!おまけにヤング・ファーザーズ音楽✕キリアン・マーフィ製作総指揮=クセしかない俺得最強布陣から、やはり一筋縄では行かない作品が届いた!実際観てみると、紛れもなくこの鬼才2人が脚本・監督を務めていることが、すぐに分かるキッレキレな演出(ハンディ全開、弓矢的中したとき)と、テーマ性が独特な空気を帯びる脚本。1作目からテーマ性が際立った作品ではあったが、一切媚びない・一切疑うことなく一本道を進む作りは重厚・荘厳ですらある。牧歌的な村から始まるという点においても。
「死」を否定しない(で受け入れる)生命の円環。そうしたテーマを前面に押し出した作りは、ジャンルファン(ホラー/ゾンビ)など一部の観客を遠ざけてしまうきらいもあるが、思い出して欲しい『28日後...』からそうであったこと。それ以降、ゾンビものはサブジャンルから大人気ジャンルとして当初ロメロが込めたような本来の道を見失っていったが、時が経っても本作・本シリーズだけは変わらないことが嬉しい。つまり、レイジウイルスに感染した人類。ブーツ、ブーツ…戦争・軍隊など昔のフッテージがインサートされることで、この現代社会における不安感や人間の凶暴さを投影する。武器も弓矢。いや、むしろそこで"生死"(ゾンビすらも!!)と向き合うという新鮮さ。
アルファに追われるシーンやばすぎ!新三部作の始まりと言われている本作で、アーロン・テイラー=ジョンソン、ジョディ・カマー、レイフ・ファインズは、それぞれマスキュリンな父(死を蔑ろにする存在?)、病床に伏す母、死者を埋葬しながら一人暮らす変人医者を見事に演じているが、本作の本当の主人公(視点人物)は他の誰でもなく息子のスパイクだ。決して安易な方向に舵を切ることなく、難解で時に観客を困惑させるかもしれないが、時が経っても全くブレないどころか、むしろより研ぎ澄まされて尖りまくっているクセがすごい才気煥発で、只者じゃない強烈なインパクトと気になりすぎるクリフハンガーを残す。一番いい場所に。そして、少年は大人になっていく…。

P.S. だから映画ファンを長年悩ませ続けてきた問い「『28ヶ月後...』は何故無いのか」など、もう気にしなくていいのだ!

死を想え "Remember. We must die."

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