「タイトルなし(ネタバレ)」マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
20世紀初頭、パリの歌姫リリ・ダレンジ(レイラ・ベクティ)には、発達障がいの娘ティナ(ラファエル・ソンヌヴィル=キャビー)がいた。
シングルマザーでもある彼女は、ティナの存在を隠そうと、イタリア・ローマに障がい児教育施設に預けようと試みた。
施設長は男性医師のジュゼッペ・モンテソーナ(ラファエレ・エスポジト)であったが、教育全般を受け持っているのは女性医師マリア・モンテッソーリ(ジャスミン・トリンカ)だった。
マリアの教育を通じて、ティナの本質を知るリリであったが、実はマリアにもジュゼッペとの間にひとり息子がおり、その子もまた障がい児なのだった・・・
といった物語。
20世紀初頭、障がい児教育に新たな道を開いた女性の物語で、ポスターデザインや予告編からその教育方法についての映画かと思っていた。
しかし、原題「La nouvelle femme(新しい女性)」のとおり、隷属からの解放を描いた映画であった。
当時の教育方法は、教育を受ける側を隷属させることからはじまり、特に障がい児教育はその側面が強かった。
それをマリアは、隷属させるのではなく、愛情を持って接するという方針に変えるわけだ。
本作では、教育を受ける障がい児たちと男性たちに隷属を強いられる女性を同じレベルで描いている。
前半やや演出はもたついた感があるも、以上のような当時の女性の立場、障がい者の立場などがわかってくると俄然ドラマ的にも面白くなってきて、マリアとリリという障がい児を抱えるシングルマザーとして描いたあたりに深みが出てきます。
ただし、映画の性格上仕方がないのかもしれないが、終盤はやや説教臭い台詞が多く、そのあたりがドラマ性を殺いでいるかもしれません。
また、実際の障がい児が多数出演しているのも興味深いです。