劇場公開日 2025年3月28日

「主人公と共に怒りまくった」マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5主人公と共に怒りまくった

2025年3月30日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

友達がモンテッソーリ・メソッドの小学校(ドイツ)で校長をしていたので教育法や理念はどんなんだろう?と思ってこの映画を見た。

そうしたら違う!この映画の主題はメソッドの創立者、マリア・モンテッソーリの人生だった。医学生時代に女子学生は彼女だけ。解剖学授業に女がいていいのかと大学で物議を醸し出した経験も経て、研究所で研究と子ども達の教育に励む真面目で我慢強いマリア。彼女は子どもの自ら学ぶ能力と力を信頼している。同僚(男でマリアの恋人でもある)は給料をもらっている。彼と同じかそれ以上に研究し成果を出しているマリアは無給であることに驚いた。当時、(良家の)女性は独身であれば父親に、結婚すれば夫に経済的に依存するものだった。マリアの同僚は恋人なんだから結婚すればいいではないかと思ったが、彼女の人生選択肢に自由と自立を奪う結婚はなかった。いずれにしてもその同僚とは結婚しなくてよかった。彼も当時の家父長制の考えをしっかり体現している男に過ぎなかった。

メソッドに戻ると、モンテッソーリでも「接神論」というルドルフ・シュタイナー(シュタイナー学校は日本にもある)の「人智学」と似たような思想がベースにあることをこの映画で初めて知った。意外だったけどそうなのかも知れない。

ジャスミン・トリンカ演じるイタリア人のマリアと、レイラ・ベクティ演じるリリ(フランス人高級娼婦)の出会いに始まり、交互観察を経て共感し、お金があれば自由を得られるというリリのアドバイス、助け合いと力づけへと繋がる信頼関係はフィクションとは言え説得力があった。

理系が好きな女の子、どんな分野であれ奮闘中の女性たちが見ると共感のあまり怒りを覚えるかも知れないが、力も得られる映画だ。

talisman