「『生』」木の上の軍隊 hiroさんの映画レビュー(感想・評価)
『生』
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第二次世界大戦下の沖縄県伊江島での実話をベースにした舞台の映画化。
木の上に取り残された上官と兵士を通して、『生』を繊細に描き出す。
戦争作品だが、エンタメ色を強めたことで起承転結がハッキリし、纏まりが良く見やすい作品となっている。
作品の大部分を占めるのは、上官と兵士の会話となるが、堤真一と山田裕貴の演技は素晴らしい。堤真一演じる上官は、戦時下の情報制限の中での日本第一の盲信的な思考。一方、山田裕貴演じる兵士は兵士、故郷、現在としての『生』で揺れ動いていく。
また、上官の持つ盲信的な思考は他人事ではないと感じる。見たいもの、聞きたいことを選択でき、閉鎖的なコミュニティになりやすい、現在のSNSを中心とした社会にも通じるところがある。自らが信じたものと違う情報は聞かず、自らの考えを押し付け他者を攻撃する。この作品の上官と兵士の関係と似ている。 彼らは戦争という極限の状況下での被害者だか、我々は…。
だだの戦争作品としてではなく、他者との関わり、思考の変化、柔軟性といったメッセージも心に留めておきたい。
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