劇場公開日 2025年7月25日

「旧日本軍の歪さと戦争の愚かさ」木の上の軍隊 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 旧日本軍の歪さと戦争の愚かさ

2025年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

7~8月恒例の終戦関連映画であり、戦争の愚かさ、当時の軍の在り方の歪さを今に伝えたいという意図がよく伝わってくる、よい作品だと思いました。

原作自体、原案・井上ひさし、舞台化・井上真矢親娘によるもので反戦色が強い。
それを、沖縄生まれ・現在も在住の平監督によって、沖縄出身の新兵・安慶名セイジュンを主人公に据えた「沖縄人(うちなんちゅう)視点」の沖縄戦を描いた本作だけに、派手な銃撃戦や自己犠牲による美談など一切なし。

前半は、理不尽に戦力として男性を徴兵、農地を軍用に徴収、残った女・老人に軍事教練を強制しながら敵襲においては民間人を盾にして司令部だけ洞窟内の防空壕に逃げ込むなど、いかに沖縄を軍が蹂躙したかを描き。
後半は舞台からの映画化らしい、堤真一と山田裕貴の会話劇。
堤真一演じる、本土出身の山下少尉(局長)の命令がいかに体裁と自尊心を守るためだけの狂人の戯言(たわごと)なのかが露わになっていくのがいたたまれない。

少し単調と言うか、前半は恐怖・後半は飢えという戦争定番の表現が続き、眠くなったところもあり。

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コージィ日本犬