劇場公開日 2025年7月25日

「「安慶名、、、安慶名ぁー!」日本人と琉球人の沖縄戦」木の上の軍隊 Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「安慶名、、、安慶名ぁー!」日本人と琉球人の沖縄戦

2025年7月27日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

斬新

2025年公開、配給はハピネットファントム・スタジオ。

【監督・脚本】:平一紘
【原作】:こまつ座
【原案】:井上ひさし

主な配役
【上官殿 山下一雄少尉】:堤真一
【地元徴用兵 安慶名セイジュン】:山田裕貴
【セイジュンの親友 与那嶺幸一】:津波竜斗

1.元は井上ひさし原案の舞台劇

2013年に初演。
藤原竜也らによる三人芝居。
井上ひさしは、新聞記事で元ネタを読んで以来、構想を練り続けたが、ついに上演することなく他界した。

原案・井上ひさし、とあるが、
題名と設定の2行しか遺していない。

仕上げたのは、劇団モダンスイマーズの蓬莱竜太。
実際に二人の兵士が過ごした樹を見に行くなど、
取材を重ねてストーリーを構成した。

こまつ座の看板の一つになり、
今回、映画化にこぎつけた。

2.日本人の沖縄戦と琉球人の沖縄戦

監督の平一紘(たいら かずひろ)も沖縄出身。
スクリーンに日本人と琉球人の違いを巧みに散りばめている。

戦場になり、すべてを失うことになる伊江島出身の新兵(山田裕貴)と、
本土(宮崎県)から来て一人十殺(いちにんじゅっさつ)が口癖の歴戦の上官(堤真一)。

生き方、習慣、価値観のまったく異なるふたりきりの隠遁生活。
宮崎と沖縄、近く感じる人も居ると思うが、共通点は台風の通り道だということくらいだ。

明治になるまで「日本」ですらなかった沖縄。
その沖縄が日本領として猛攻撃を受け、10万人を超える県民が死亡した。

本作のふたりは、
日本と琉球の代理戦争を演じているように感じた。

3.ストーリー展開

◆前半(米軍上陸前)の描写
竹槍訓練中の空襲シーンの臨場感。
知り合いが目の前で亡くなる喪失感。
いずれも、素晴らしい。

◆後半(新兵の台詞以降)の描写
山田裕貴の独白
「思えば僕も上官も最初から狂っていたのかもしれない」
からトーンが変わる。

援軍を待つという口実で、樹上の隠遁生活を続ける。
良く言えば、すごく丁寧に描いている。
悪く言えば、展開が少なく平板にも感じる。

2年を表現するため必要な構成なのかもしれない。

4.まとめ

堤真一、山田裕貴、与那嶺を演じた津波竜斗、
3人共に素晴らしい演技だった。

全体として事前期待を大きく超えた。(事前期待が低すぎたかもしれない、と反省)

「安慶名、、、安慶名ぁー!」
海岸ではじめて新兵の苗字を叫ぶ上官。
繰り返し繰り返し呼び続けるのが印象的だ。

是非、子どもたちにも観てほしい作品だった。
☆4.0

Haihai
かばこさんのコメント
2025年7月30日

コメントありがとうございます。
日本と琉球の関係、沖縄は今でも微妙に本土から隔てられているようです。
沖縄なら犠牲にしても良い、という暗黙の意識があるようです。
太平洋戦争の時代から、意識的にはあまり変わらないような気がします。
ラストの山下と安慶名のように、心から相手を大事な存在と思えるようになれればよいんですけどね。

かばこ
ゆり。さんのコメント
2025年7月28日

共感ありがとうございました。山下はずっと安慶名を「おい、」と呼んでいたのに、最後の何度も転びながら走っていって「安慶名、安慶名~」はちょっと泣けました。与那嶺の顔と名前も実はちゃんと覚えていたし、わずかな食料を安慶名に多めに渡したし、戦争が無ければ良い上司だったんだろうなと思いました。

ゆり。
おつろくさんのコメント
2025年7月27日

共感ありがとうございます!

三谷作品の「おい、太宰」もそうでしたが、物価高の影響か少人数のキャストで小さなロケ地での撮影が多くなってきましたね。アニメも3年毎に製作していた細田守作品が、今年の年末に4年かかって公開予定になるなど、経費のミニマム化が気になっています。

おつろく
ノーキッキングさんのコメント
2025年7月27日

共感ありがとうございます。
沖縄戦の悲劇までは描ききれていませんが、2人の熱演は良かったとおもいます。

ノーキッキング
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