「戦場の友情と消えない傷跡」木の上の軍隊 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
戦場の友情と消えない傷跡
◾️作品情報
監督:平一紘、主要キャスト:堤真一、山田裕貴。井上ひさし原案の舞台を全編沖縄ロケで映画化。
◾️あらすじ
太平洋戦争末期の1945年、沖縄県伊江島は米軍の侵攻により壊滅的な状況に陥っていた。宮崎から派遣された少尉・山下一雄と沖縄出身の新兵・安慶名セイジュンは敵の銃撃を逃れ、大きなガジュマルの木の上に身を潜める。連絡手段もないまま援軍を待ち続けた二人は、終戦を知らぬまま2年もの間、木の上で孤独なサバイバル生活を送ることになる。極限状態の中で彼らの関係性も変化していく。
◾️感想
終戦から80年という節目に、これまであまり知られることのなかった、沖縄の孤島でひっそりと「孤独な戦争」を続けた日本兵の実話に着想を得て映画化された本作。終戦を知らずに身を隠して戦い続けた日本兵・小野田さんや横井さんの話は聞いたことがありますが、この山下と安慶名の物語は全く知りませんでした。
米兵に追われ、やむなく木の上に身を隠した山下少尉と新兵の安慶名。性格も年齢も異なるこの二人の兵士が、木の上という限られた空間で繰り広げるやり取りは、極限状態における人間の生命力や、ささやかな日常の輝きを感じさせます。特に、正直で穏やかな安慶名の言動は、時にコミカルにも映り、戦争の最中でありながらも、ほのぼのとしたものを感じさせ、これが山下の心にも沁みていくのを感じます。敵の目を欺き、飢えと戦いながらも、しだいに心を通わせていく彼らの姿は、観る者を温かい気持ちにさせてくれます。
しかし、物語が終盤に差しかかるにつれて、その雰囲気は一変します。終戦を知った安慶名が漏らす「帰りたい」という一言に胸を締め付けられ、涙があふれてきます。家族や親友を失い、自らの手も血に染めた、そんな戦争の忌まわしい記憶が、美しいはずの故郷の思い出を上書きしてしまう現実に、言葉を失います。安慶名の「帰りたい」ところは、ただの場所ではなく、大切な人たちと美しい思い出に彩られた、戦前の故郷なのです。平和が訪れたとはいえ、全てが元通りになるわけではない、失われたものは二度と戻らないのだという残酷な真実を突きつけられます。
私たちに改めて平和の尊さ、そして戦争の愚かさを痛感させてくれる本作。山下と安慶名という二人の兵士の姿を通して、戦争がいかに多くのものを奪い、人々の心に深い傷を残すのかが鮮烈に描かれています。観終わった後も、彼らの声や表情、そしてガジュマルの木の上の静かな日々が、心に強く残り続けます。
共感ありがとうございます!
今年は「この世界の片隅に」のリバイバル上映もありますし、大東亜戦争関連の映画が多数鑑賞できますね。今年は戦後80年の節目で戦争反対を声高に叫ぶ人が多くなりそうですが、当時の日本は拳銃をちらつかせた強盗に囲まれて、勝ち目は無くても包丁を持って戦うしかなかったわけで、日本という「みんなの家」を守るために命を落とした英霊に感謝する夏にしたいです。
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