劇場公開日 2025年8月8日

「こだまは出てきちゃダメ!」近畿地方のある場所について セッキーかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 こだまは出てきちゃダメ!

2025年8月12日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

驚く

主人公はオカルト雑誌の編集者。同社内で、ある編集者が突如失踪した。その編集者が担当していた特集記事を引き継ぐこととなった主人公であるが、その特集内容を調査していく中で、不可解な出来事が次々と発生することになる…。

原作は未読で鑑賞した。類似作品であるネット発ホラー系小説「変な家」の原作は非常に面白かったので、本作は期待して鑑賞した。

第一の感想としては、ストーリーの組み立ては素晴らしいが、“見せすぎ”てしまっていると感じた。

編集者が様々なヒントから、仮説を組立てて真相に迫っていくところがワクワクする。前任者が残した資料を元に、散らばっていたピースが徐々にはまり、全体像をつかんでいく。

伏線回収も見事であり、観賞後に前半のフリがこういうことだったのかと腑に落ちるタイプの映画である。

しかし、本作にはどうしても惜しいところが存在する。それは“みせすぎ”なのである。ホラー要素は実態を見せすぎると冷める。さらに、それが現実とかけ離れているとなおさらである。本作は、モキュメンタリー形式をとっており、リアリティーがあるほど観客は現実なのかフィクションなのかわからなくなり、恐怖心が増大する。本作は、“みせすぎ”によってそれを完全に冷ましている。

終盤のボス出現シーンはもちろんであるが、たとえば、子供の首が上に曲がってしまうシーンは正面から首がないようにし、無機質に止まっているだけほうが恐い。ほかにも、目が黒くなったり、電気がチカチカなど、使い古されたネタを追う必要はまったくない。むしろ演技らしい演技を排除し、一企業のドキュメンタリーとしたほうがよっぽど恐いだろう。

しかし、全部見せることでいいこともある。それは、観客を置き去りしないことである。考察の余地がないので、見てるほうは楽だし疲れない。

分かる人にだけ分かる作品が好きな私は上記のような感想を抱いた。見せ方をかえれば、間違いなく星一つは増えるだろう。

どうしてもモキュメンタリーというと、TXQが想起される。あれと比較されるのも可哀想であるが、あれぐらい振り切ってしまってもよかったかもしれない。

セッキーかもめ
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