Playground 校庭のレビュー・感想・評価
全32件中、1~20件目を表示
不安・恐怖・成長の追体験に誘う“子供の情景”
被写界深度をごく浅く設定したカメラで撮影した映像が特徴的。主人公の7歳の少女ノラの目線の高さにカメラを合わせ、ノラの表情や彼女が見る対象をフォーカスが丁寧に追い、それに伴い周囲の視界がボケる。本作が長編デビューとなるベルギーのローラ・ワンデル監督の狙いは、ノラが目にする世界を観客に体感させること。それはすなわち、誰もが通ってきた幼少期の、幼稚園や小学校に入り見知らぬ大勢の中に放り込まれたときに感じる不安や恐怖を追体験させることでもある。幼い頃は余裕がなく、身の回りの見える範囲が“世界のすべて”だったことを思い出させる。フランス語の原題「Un monde」の意味はずばり「世界」だ。
冒頭からノラは心細くて泣いている。コミュニケーションが苦手のようで、仲間外れなどの軽いいじめにあう。だがより深刻なのは3歳上の兄アベルのほうで、心身のダメージを伴う攻撃を数人から受けている。大好きな兄が校庭や校舎内でいじめられているのを目撃したノラは、なんとか兄の力になろうとするのだが……。
演技を感じさせない子供たちの自然な表情と言葉(もちろん監督の演出の賜物でもあるだろう)が、ドキュメンタリーを観ている錯覚さえ起こさせる。多少なりとも人付き合いに苦手意識がある人、新しい集団に馴染むのに苦労した経験がある人なら、ノラの心情にきっと共感するはず。そして、泣き虫だった彼女がつらく苦しい体験を経て成長する姿に、不安や孤独を克服した幼い自分を思い出して重ねるに違いない。
25-043
子供たちは皆んな大変なんです、。
小学校の時の記憶などほぼないが、あまり楽しいことは無かったと思う。
人はいわゆる大人になり、広い意味で社会と関わることができて初めて生きている実感が持てるものだと思う。だから大人になるまでの嫌なことや小さい頃のイジメや仲間はずれの記憶は忘却の彼方に追い払うようにすべきだ(勿論その為にはそれなりの努力は必要)。
だが、そんな事を言ってもリアルの子供たちは大変だ。ベルギーじゃなくてもどんな国でも。
映画はノラの目線からカメラがひたすら追う。余計な音楽もなく校庭や教室やプールの生の音を拾う。まるでドキュメンタリーを見ているようだ。7歳のノラは初登校では学校という別世界に放り出され心細くてしょうがないので涙ポロポロ。唯一の頼りは兄アベルだが、学校内ではかまってくれない。それでも頑張って靴紐の結び方など色んなことがひとりできるようになり友だちも出来た。これはノラの成長物語と思いきや、アベルが壮絶なイジメを受けていることを目撃。そこから親や先生や監視員などの大人が絡み物語は動き出しアベルはイジメから解放、。なんて簡単にはいかず今度はアベルがイジメをする側になり、衝撃のラストになる。
72分の比較的短い映画だからよかったが、長く観ていることがちょっと辛くなる映画だった。
だが、観て良かった。独特の映画作りが斬新だったし、社会、学校、子供たちに色々と思いを馳せらせることができた。教育に関わる全世界の人々に見て欲しい映画である。
誰もが正解を導き出せないはず
中学生の時に軽いいじめにあい、そのとき強く暴力的に反発したことでいじめから抜け出した経験がある。だから、大人になってもしばらくはいじめには暴力で反発するしかないと思い込んでいた。本作のノラのように。でも、向き不向きもあるし万能な対策ではない。いじめは本当に複雑な問題だと思う。
本作は、妹ノラの目線で描かれる。ノラの目線で、ノラの周辺しかスクリーンには映らない。それこそ、原題のようにノラが感じている「世界」を描いているかのよう。小学生なりのデタラメな知識や思い込み、表層的な理解による偏見も存在するし、大人から吹き込まれた嫌な情報もあったりする。子どもの世界って、そんな不確かなものに日々左右されていくんだよなと改めて感じたりする。その怖さを感じる内容だった。
家庭環境や学校の実情(先生の事情とか)はほとんど語られない。あくまでノラが感じる世界の話だから。だから、兄に起こっている事柄よりも、ノラにとっては自分が孤立する状況の方が深刻だったりする。そんな描写がとてもリアルだった。
あくまでノラの目線で語られているのに、こちらの捉え方は大人目線になってしまう。校庭に監視員がいるんだ!とか(またこの監視員が役立たず)、そこ順番が違う!とか、お父さんはその対応でいいのか!?とか、先生が辞めることになった理由は何?とか。でも、そんなことを考えている自分に正解を導き出せるわけでもない。それくらいいじめは難しいってこと。
ラストは何か解決に向かいそうな気もするし、何にも解決しない雰囲気も感じる。でも、現実を切り取った映画として深く胸に刻まれることになった。自分みたいにどんよりした気分で劇場を後にする人が多いんだろう。それだけでこの映画の意味はある。
兄妹愛
もう子ども時代には戻りたくない😆
とにかくテーマが重い作品だが、観て良かった。
いわゆるベルギー版小学校いじめ問題だが、とにかくテーマが重い。
妹ノラの視点で描いた作品だが、兄のアベルがいじめられるシーンは観ていて
辛かった。図書館とか逃げ場所があるはずなのに。色々、考えさせられた。
自分もこの作品ほどではないが、いじめに合った事がある。アベルの気持ちも
分かるし、ノラの気持ちも分かる気がした。観てよかったし、色々考えさせられた。
ラストシーンは微かな希望か。観た感触は昨年公開のありふれた教室と同じ感覚だが、
ありふれた教室以上にテーマが重いし胸に残る。もし、自分だったらどうするか。
観てよかったし見事な作品。
難しい、けど子供は大人の言動見て育つから
作品中、担任の先生もノラに語りかけたように、どこまで介入すればよいのか?どの時点で見極めればよいのか?
とても難しいですね。
ただ、子供たちは何の意識も無いまま、家庭内の夫婦の会話や大人同士の会話を聞いていて、子供間でそのままを口にします。行動だってきっとそうですよね。
そう考えるとやはり大人の責任て物凄く大きい。
そんなこと考えながらスクリーンを眺めていましたが、監視員って人はほとんど用をなしていなくて、それが腹立たしかったな。
結果、作品のエンディングと同様、学校の数だけ、いや、子供の数だけ世界はあって、正解なんかどこにもない、でもみんなが心を砕いて向き合わなければ世界はますます荒廃してしまいそうですね。
愛が必要だ。
それにしても子供たちの演技は凄かった!
7歳の 世界(un monde=原題)
接写が最後までずっと続きます。妹ノラの目線なのですが、視覚だけでなく感情の揺れもカメラに常に乗っています。
ベルギー版「だるまさんが転んだ」のような本来微笑ましいはずのシーンもあるのですが、実際は常にゾワッとした感情に支配され過呼吸になりそうでした。
本作の監督が「学校は読み書きだけでなく、他者との関係を学んでいく場所」とコメントしています。確かにそうなのですが、7歳のノラにとっては学校が外の世界の全てであり、厳しい関係性をいきなり咀嚼しなければいけないのはとてもハードルの高い体験だったでしょう。それでもラストの兄への行動と体温が感じられるような抱擁に、彼女の素晴らしい成長が見えたような気がします。
ノラ役のマヤ・ヴァンダービーク この方何者なんですかね!とにかく凄い。もはや演技という概念を超越していたと思います。
見るのは結構つらい
ドキュメントにしか見えないくらい、 うまくできた映画 疑問を感じる...
ドキュメントにしか見えないくらい、
うまくできた映画
疑問を感じる流れもあるけど、
色々感じたり考えたりできた
全然関係ないけど、
同じ日に見た別の映画(フライトリスク)でも、
この映画と全く同じビニール袋の使い方をしていて、
あまりのシンクロに驚いた
よく出来てるんだろうけど気分わるい…
彼らの世界
小学校に入学するもなかなか馴染めずにいた少女が、ある日学校で兄が虐められている姿を目撃してしまい…。変わりゆく複雑な兄妹関係の物語。
初っ端から今生の別れかと思ってしまいそうな初登校場面から始まり、あれよあれよと言う間に兄アベルの辛い姿を目の当たりにし…。
軸として描かれているのが虐められている兄ではなく、その現状を見守る妹であるという点が斬新ですね。
自分の子供時代を思い出せば誰にでもすぐ分かると思いますが、子供の社会も大人が思う程単純じゃないですよね。
ノラ自身は当然何も悪いことをしていないのに、アベルのこともあり…子供の無邪気さは時に本当に残酷だ。
パパもねぇ…心配になるのは勿論だが、その干渉の仕方を間違えば事はより複雑に…。
そんな感じで、とにかく子供社会の残酷さをリアル過ぎるほどに描いていて目が離せない。そして終盤には…おいおいどうしてそうなっちまうんだよ…。
結局誰も彼も、見下し虐める相手がいることで自分を保っていられるのか。まぁ、大人でもよくあることか。
リアリティいっぱいに描いている点が良かっただけに、最後はちょっとある意味映画っぽすぎてアレだったけど、誰しもが没入できる狂おしさをヒシヒシと感じさせてくれる良作だった。
インパクト強い
ドキュメンタリーの様な作品。見る価値ありました。
全32件中、1~20件目を表示