雪風 YUKIKAZEのレビュー・感想・評価
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人として
一人の人としてどう生きるかを問われた映画でした。
私の知る帝国軍人の生き様とはまるで異なる、個を重んじる先人たちの生き方を観せてもらった思いです。
決して苦難から逃げず、問題を正視し、最善の行動を取る。
艦長以下、今なら青年と呼ばれる若者たちが方向すら分からない大海原で、何時遭遇するかも知れない連合国軍と対峙する。還暦を過ぎた私には尊敬の念しかありません。
戦後80年、表面上の平和は当たり前となり私たちから思考する事を奪ってきました。
映画冒頭と後半の万博の映像は平和の象徴。
巻末の呼びかけは『俺たちはこうやって生きてきたけど君たちはどうだい?』と若いじいさんに問われているような清々しい気持ちになりました。
派手な戦闘シーンが無いからこそ登場人物一人々に深く入り込めた気がします。
今を生きる私たち、到底受け入れ難い事に対し毅然とした態度が取れる自分で在りたいと思います。
戦争を知らない世代で本当に良かった
悪くは無いと思うけどな
歌舞伎だと思えば
静寂で伝える、生きるということ
戦争映画というと、身内が亡くなる、仲間が亡くなる、栄養失調など他の原因で人が亡くなる、始めて人を殺める苦しみ、ひたすら理不尽な中生きる、また、生きたことを咎められるという内容が多く、暴力的な作品が苦手な私には不向きなジャンルではあるのですが。
戦後80年、戦争を知っている92歳の祖母も認知症が進み、本当に語り継いでくれる人が減っている今だからこそ、観ておこうとの決意で拝見しました。
そうした視点からの感想としましては、
史実を一般常識レベルで知っていればわかる、
わかりやすい脚本でした。
また、竹野内さん、玉木さんという、良い声の俳優さん方を始め、荒っぽくがなるような話し方をする方がおらず、目立った悪役もおらず、ただ生きるために生きる人の姿が見られました。
多くを語らない武士のような艦長。
でも、先任伍長や乗組員の姿から学びながら
一人でも多く、一日でも長く生かすことに
精一杯生きる。
竹野内さんの声も好きですが、
語らない演技に惹きつけられました。
個人的には中井貴一さんの演じられた戦艦大和の艦長の選択が印象的でした。
そして、作品公式ページで中井さんが語られている「『戦いにいく』ことより『人を救う』ことを考えた艦はやはり生き残るのです」というメッセージこそがこの"幸運艦"から学ぶことだと思いました。
やはり戦うために作られた駆逐艦でも、故郷でただ普通に過ごしたい、家族を守りたい、根底に"人を救いたい"という想いがある"人"が乗る。
自分も仲間も、国の資源も無駄にはできない。
国がいかに愚かな決断を続けたとしても、
その国の未来を考える。
実際に上官の命令に立てつくことができたのか?
どこまでが事実かはわかりませんが。
生きることから、平和の大切さ語る語り口は私のような戦争映画が苦手な方でも見やすい表現方法でありがたいと思いました。
エンドロールもその静寂さが私は好きでした。
生きるという視点で戦争の悲劇を捉えた異色作
夏休みに公開される太平洋戦争における日本の悲劇を描いた作品の中でも、本作は生きるという視点から戦争の悲劇を捉えている異色の秀作だった。
本作は太平洋戦争当時、出撃する度に人を助けて無事に帰還することから『幸福艦』、『不沈艦』と言われた、軽量で機動性に優れた駆逐艦・雪風を舞台にした物語である。戦況は徐々に悪化していくが、それでも雪風は寺澤一利艦長(竹野内豊)を中心に知力を駆使して戦っていく。撃沈した船の乗り組み員も救出する。そして戦死者も出たが不沈のまま終戦を迎える・・・。
戦時下の合間に母港の呉港に帰港した時の艦長と義父との会話での義父の言葉が出色である。戦時下ではいつ死ぬかわからないからこそしっかり今を生きるべきという主張は現代にも通じる生きる心構えだと感じる。また、九死に一生はあっても十死に零生はないという言葉は当時の日本の玉砕攻撃にかなり踏み込んでいて迫力がある。生きるという視点で太平洋戦争を見事に捉えている。
何度も登場する撃沈した船の乗組員の救出シーン。綱梯子を使って必死に甲板に這い上がろうとする人たちの手を雪風の乗組員たちがしっかりと握って甲板に引き上げる光景は映像的には派手さはないが静かな緊張感がある。助けられる方も助ける方も懸命であることは画面からひしひしと伝わってくる。命は一つだけだからこそ救える命は全て救うという雪風の乗組員たちの信念が際立っている。
終盤。1970年開催の太陽の塔に象徴される華やかな大阪万博の映像が流される。戦時下にあっても一つしかない命を脈々と引き継いできた日本人の懸命な努力が焦土と化した日本を大阪万博が開催できるまでに復興させたことを如実に物語っている。
時代を逆行させないためには、現代史の教科書などに本作の様な作品を紹介するのも一考だろう。
本作は、単に戦争の悲劇を描くだけでなく、生きるという普遍的な視点を通して、命の大切さと平和の尊さを問いかけている。戦後80年を迎えた今こそ、本作の提起したメッセージに着目したい。
雪風の歴史がよくわかる
コメントしにくい作品
目的を持って生きる
雪風ハ沈マズ
軍事オタク的に細かいことを言えば、映画ポスターの上方から見たCG雪風の左右が反転しているとか、沖縄水上特攻の艦隊輪形陣(りんけいじん)の艦艇配置がおかしいとか、3万mの超長射程距離を誇る旧日本海軍の九三式酸素魚雷を持つ雪風がなぜ危険距離8000mまで撃たないのかとか、SBDドーントレスが爆撃行程に入った時にダイブブレーキ(急降下制動板)が開いてないとか星の数ほどあります。また姑目線で見れば中井貴一太ったなーとか農作業の妹のリップが戦時中なのに赤くて艶々なのは気に食わないよとか。
でもこの映画はそんなことではないんだなあ。
例えば「雨が降っていない」ということを映像で表現するにはどうすれば良いでしょうか?外の風景を写しますか?するとそれは晴れているということであり、あるいは風景が綺麗だなあであり、あそこに可愛い子がいるであり、雨が降っていない、ことを伝えてることにはなりません。
では「普通がいいな」を映像表現するにはどうすればよいでしょうか?
海に投げ出された友軍を救助する激しい戦闘から一転、艦上で先任伍長と語りあう日常、艦長が呉の自宅に帰り妻と語りあういっときの平和な時間にコチコチコチと聞こえる柱時計の音、エンドロールの砲撃の音が消えた海の静かな波の音。戻ってきた普通の日々。
その影には先任伍長が戦死し遺品が帰ってきても、海軍には白木の箱の中に入れる骨代わりの戦死場所の小石すらない痛ましさ、戻ってこない普通の暮らし。
そして最後の別れのメッセージ。「俺たちはここまでやったのだ、あとは頼むぞ」とひとつの時代が終わる寂しさ、去り行く者たち、去り行くあの日、あの日の普通への愛惜。3年間同じ学校で過ごした友達と卒業で分かれる時のあの気持ちかな。
「雪風」は血湧き肉躍る大スペクタクル戦争ロマンではないけれど、普通の日々はいいね、また明日から頑張ろうと思える佳作。
良い映画だったけど、
柱時計コチコチの静かな時が流れる場面から終盤の「九死一生はあっても十死零生という戦法はない!」までガサガサバリバリむしゃむしゃのポテチの音を盛大にたてていた女の子にはディズニーを見てて欲しい。
命への誠意
雪風の存在を初めて知りました
戦争は悲しい
色々言われていますが
「雪風」を観て、「宇宙戦艦ヤマト」を想う
太平洋戦争中、何度も戦地へ向かい生還した駆逐艦雪風を舞台に描く群像劇。
海軍って密閉空間で寝食を共にする為か、仲間意識が強い気がする。
この映画を観ていて、不謹慎だけど、船上での男たちを観てると、世代的には「宇宙戦艦ヤマト」を思い出す。甲板で仲間どうしふざけていたり、戦闘シーンでの指示を出していたり、命がけで決意したりと、そういうシチュエーションではどこか熱くなる。
とは言え、この作品がヤマトに似ているという訳ではなく、ヤマトという作品にまだ戦後のにおいが漂っていたのだろう。戦争を経験している世代の人達が作品を作っている為のリアリティなんだと思う。
リメイク版のヤマトが、よく出来ているけど、何か物足りなかったのは、圧倒的にこの部分が足りなかったんだろうな。
あ、「雪風」の話⋯。
何だか断片的で急にとんだり、いま、何年何だろう?と思う部分もあって、勿体ないな、と思った。
#雪風
教育テレビかな?
予告が気になって鑑賞
終始年齢設定の違和感が邪魔をする…
実際の年齢の俳優さんを揃えたら重厚感は出ないんだろうけど…
戦時中、神風が当たり前の時代、部下を仲間を命を守る事がどれほど大変だったか。二度と戦争をしないよう後世に語り継ぐ事は大切であるとストーリーで演技で伝えて各々で改めて考えてほしかった。
あの甲板のシーン必要でしたか?道徳の授業のビデオ見てたっけかな?と思って急にがっかり。伝えたい事は大切だし俳優さんも素晴らしいんだけどな…
今だからこそ日本人全員に見てほしい
あれ?伍長って陸軍の階級じゃ…
のっけから考証がいい加減だなあ…と思ったら、艦内のまとめ役として先任伍長という役職があるのだね。後のシーンでちゃんと階級は兵曹長とあった。大変失礼しました。
CGがいまひとつとかラストの蛇足感など確かにあるが、日本映画にありがちな変に自己犠牲に陶酔したり極端に自虐的な訳でもなく、戦場という職場でしっかりと職務を果たすチームしての軍隊をニュートラルに描いている。普通の職場と違うのは今まで談笑していた仲間や上司が突然いなくなり、それでも仕事は当たり前に続いていくという事。実はあの当時の軍人たちの死生観に一番近いのではないかと感じた。
なんせ大和に匹敵する有名艦だから何かと物申したくなる人も山ほどいるのだろう。その意味では気の毒な評点。自分にとっては良作だった。
ところで唐突にあの人が登場した「10年後」とはいつから数えてなのか。戦後としても万博後としても計算が合わん気が…。(ってそれこそが蛇足か)
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