「史実100%の映画は、ただのドキュメンタリー。そこに少々のフィクションを加えることで、観る人の心を大きく揺さぶる作品になる。」雪風 YUKIKAZE おつろくさんの映画レビュー(感想・評価)
史実100%の映画は、ただのドキュメンタリー。そこに少々のフィクションを加えることで、観る人の心を大きく揺さぶる作品になる。
今年は戦後80年の節目の年なので、例年より様々な切り口で大東亜戦争を扱った作品が封切られていますね。本当は日本だって戦争という「血で血を洗う外交手段」には手を出したくなかったはずなのに、国際的な立場上どうしてもそうせざるを得なかった。
戦後の極東国際軍事裁判(東京裁判)では、戦争国の一方的な審理と一審性の裁判や事後法による開戦前の日本の動向まで罪状に加えるなどとても酷いもので、開戦前の日中関係に開戦の原因があると指摘された時、証人の石原莞爾が「日本に対して強硬に開国を迫って不平等条約を締結したペリーが被告になるはずだからここに呼んで来い」と言い放ったのは有名な話。
これから封切られる戦争関係の映画を鑑賞する時は、是非とも自虐的にはならずに公平な目線で鑑賞して貰いたいと思います。祖先を悪者扱いするのは、巡り巡って結局自分自身を否定する事になりますからね。
で、本作は非常に幸運な確率で最前線の戦場においても撃沈を免れた駆逐艦のお話。複数の艦船が集団を作って戦闘を繰り広げる訳で、沈没した船があれば無事だった船が被災者を救出するのは当然のことで、その当たり前な史実にドラマ性を持たせた展開になっています。
私見ですが、終戦まで大きな被害がなく不沈の記録を続けたのは、単に運が良かっただけではなく、作品中でも描かれている「操船の上手さ」があると思います。戦艦だけでなく民間の輸送船や病院船でも攻撃されて多くの犠牲者を出した記録は多数残っていますが、無事に生き残った船舶も意外と多くあります。病院船としての任務中に三回の機雷の被災で中破した氷川丸などがありますが、太平洋航路を航行していた美しい貨客船の形を留めて、現在でも重要文化財として山下公園に停泊しています。
ご存知かと思いますが、夜間の艦内見廻のエピソードや三角定規の着弾予測操船指示、操舵手の肩を蹴って方向指示した事等は歴代艦長の菅間良吉や寺内正道が実際に行っていたものです。
コメントありがとうございます。
全く仰る通りですね。本作の監督と助監督兼任脚本を担当した方々は長年映画業界に携わってきたベテランも含まれます。歴史考証もかなり深く行っている事がエンドタイトルを観ると判ります。編集や構成、脚本か製作的な問題があったのかもしれません。俳優陣は一流の方々ばかりであったのでとても残念ですね。
共感&コメントありがとうございます
戦争映画でありながら、生きることにフォーカスした人間ドラマでした。雪風が終戦までほぼ無傷だったのは、幸運だけではありません。操舵技術が優れていたこともありますが、雪風の乗り組み員たちは他力本願ではなく、自らの力で困難を乗り越えようとしたしたことが一番大きいと思います。戦時下であればなおさら、自分たちで考え行動することが大切です。生きることも同じです。
戦時下であっても当時の人々が今を懸命に生きることで命が脈々と繋がれ今があると思います。
では、また共感作で
コメントありがとうございました。駆逐艦のことを知らなかったから勉強になりました。本作はよく調べ上げた上で分かり易く作られた映画なんでしょうね。予算がもっとあればより良い作品になりましたね。
と、おつろくさんのレビューに出会えたお陰で私までちゃっかり「シベハスさん」のコメント、レビューを拝読する事が出来ました。
とても貴重なご意見で、作品の印象まで変わりました。
本作を通しての繋がりに感謝です。
こんばんは。
コメントありがとうございます♪
あ。
やっぱり制作費の問題なんですかね。。
何でこんな画ばっかなんだろーって、監督の狙い?意図を考えていて内容が入って来ませんでした汗
古庄監督はずっと助監督をされていてやっとこ本作で長編デビューのようですが、、、
この題材はハードルが高過ぎた?
予算ないと厳しいですよね。。
でも劇場予告で竹野内さんが出ていたり、二つ折りのフライヤー(これがカッコ良かったし、よく出来ている!)もお金かかっていそうでした。。
映画に回して欲しかったデスorz
コメント&共感どうもありがとうございました😄
悲惨な描写や残虐な映像が苦手という層はけっこういると思います。
そういう人たちでも見れる反戦映画も意義がありますね。
コメントありがとうございます。
フィクションをどう入れるか、そこが脚本と演出の見せどころなんでしょうが、自分にはイマイチピンときませんでした。
アップの場面と引きの場面のアンバランスというか、予算がないからかチープさを感じたし、もう少し工夫してもらいたかった。
東京裁判は8月15日に鑑賞したばっかりで、史実を知るためには素晴らしい作品でした。
自虐史だけじゃなく、高い志を持ってアジアの植民地解放をしたという事も史実だと思うので。
本作と離れたコメントになったかも。
おつろくさん、共感とコメントありがとうございます。父の乗った駆逐艦花月は、秋月型の中でも新鋭艦だったため、主だった海戦に間に合わず、輸送船の護衛や、湾の掃海、潜水艦の探索など、地味な作戦が多かったようです。なので戦歴を調べても、なかなかその名を見つけることがありません。唯一見つけたのが、天一号作戦に途中まで帯同したが、練度不足により返された、という全く不名誉極まりないものでした。もちろん過去に見た映画の中でもその姿を見ることはありませんでした。ところが今回、伊藤長官役の中井貴一さんの口から「花月」と発せられ脳天まで電流が走りました。映画では事前に花月の回航は決まっていたかのようですが、実際には全く青天の霹靂だったようです。それだけ伊藤長官も迷われていたのかもしれません。もし花月が坊の崎海戦で沈められ、雪風にも助けられなければ、今の私はなかったのです。そう思うと8月15日は自然と靖国に足が向くのです。今年も20年前に亡くなった父の名代として上がりました。それに水兵といえば聞こえはよいが、多くは10代の子供たちだったそうです。彼らのおかげで今があるのだと思います。自虐史観はやめにして正々堂々と前を向いて生きていきたいものです。それが彼らへの恩返しだと思っております。この日は東艦長と父の写真を懐に入れて鑑賞したのですが、良い供養になりました。もう1回。見に行くつもりでおります。
共感&コメントありがとうございます。
「普通」とか「当たり前」とかって、案外に誰かの努力や苦労によってもたらされていることが多いですよね。それを忘れないようにしたいですね。
コメント・共感ありがとうございます。
おろつくさんの、レビュー、
とても共感します。
負けた方が一方的に悪い・・・原子爆弾を落とした方も、
非常に悪い。
コメントで触れられていたタランティーノ監督。
「イングロリアス・バスターズ」も「ワンスアポンア・・ハリウッド」も、
歴史を改変したタランティーノらしい作品ですね。
私は山崎貴監督に期待を感じています。
ゴジラー1.・0は完全に反戦映画として戦中・戦後を描きました。
「オッペンハイマー」のアンサーの映画を必ず撮る・・・と、
クリストファー・ノーランに約束していますので、
きっと何かしらのアンサーを出してくれると思っています。
ですよね、ドキュメンタリーじゃないので、どういう風にフィクションを入れて楽しませるかが映画だと思います。
雪風が戦争を生き延びたのは、幸運だけではなく、三角定規を持って着弾位置を即座に目測する艦長の操船と、先任伍長の怠りない備えと乗組員の働きがあってこそ、と私も思います。彼らの有能さが気持ちが良かった。面舵か取り舵か、艦長が操舵士(?)に知らせる方法に笑ってしまったけど、めっちゃいい方法でした。
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