「隠しきれない「ロケ地に使ってやってる」感と作り手の傲慢さ」名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック) joさんの映画レビュー(感想・評価)
隠しきれない「ロケ地に使ってやってる」感と作り手の傲慢さ
制作陣の誰一人も長野県に足を踏み入れさせられないくらい、制作費がないのでしょうか。いえ、ただ単に、自然への畏敬も、科学技術への敬意も、それらを踏まえて作品を作ることの矜持も何もない人たちが、この映画を作ったというだけのことなのでしょう。
都会から来た一般市民だけでなく、県警の警察官でさえ、薄手のコート×マフラー帽子なし。逃げる方は革靴で雪の中入っていくし、探す方は足跡さえ追わない。しかも「川」が凍るほど厳しいシーズンのはずなのに、オープンカーで疾走したところでの身体反応的な涙が一つも流れなければ、逆に、タンクトップ姿のままおっさんに雪の中で感情の涙を流させる。そもそもロケ地関連のリアリティを離れたとて、拳銃にあそこまで射程は果たしてあるのか?……あれこれのツッコミどころがあり過ぎて、物語がぜんぜん頭に入ってこず。ここまで行くと、原作者にも失礼なレベルではないでしょうか。
ラストシーンで現存の施設を使った描写がありますが、たいした意味づけもなくあそこまで簡単に壊しますか……ノンフィクションとしての丁寧さも、フィクションとしての説得力もどちらもなく、正直、固唾を呑むどころか、虫唾しか走りませんでした。
製作陣は警察組織に関する描写ばかり目がいっていて(それも実に中途半端)、TVシリーズのかわいらしさや定番キャラの魅力も躍動してなければ、かといって劇場版としてのスケール感もほとんどない。物語的にも、(脚本はともかく演出として)サスペンス的なドキドキもミステリー的なワクワクもかなり減じられている。中途半端さばかりが目立つ作品。
ただ映画を楽しむ人としての意見ですが、アニメ映画は実際とは違ってもいいのでは?と思います。特に、コナン「映画」は「アニメ」にくらべてありえないことのオンパレードです。確かに服装、移動距離に対する時間の経過などおかしな点があり、長野を知らなさすぎると思うかもしれません。ですが、風景は実写と間違うほどにそのままだったと思います。また、服装ですが、コナンの非現実的な動きをするには厚着し過ぎると無理なのではないかと思います。アニメに現実と同じものを求めすぎると面白くなくなりますし、そこを楽しみながら見れると面白いと思います。知り合いにコナンの映画と現実を混同させちゃう人がいるのですが、そんな人のためにも現実とは違うところがある方がいいのではないでしょか。
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