劇場公開日 2025年6月13日

「超絶技巧な本歌取りの名作」リライト 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5超絶技巧な本歌取りの名作

2025年6月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

舞台は尾道の学校。主人公は女子生徒で、物語はタイムリープを軸に展開していきます。さらに、ラベンダーの香りをきっかけに異変が起こったり、地震が発生したりと、あらゆる点において、筒井康隆先生の原作と大林宣彦監督による映画『時をかける少女』へのオマージュが随所に散りばめられていました。いや、単なるオマージュというよりも、むしろ本作のタイトル通り、“リライト”された作品と言ったほうがふさわしいかもしれません。

特に印象的だったのは、『時をかける少女』を“リライト”することで本作『リライト』が生まれたという構造だけでなく、劇中で池田エライザ演じる美雪が書いた小説が“リライト”されるという展開が物語の鍵になっていたこと。このように、「リライト」というモチーフが物語の構造と内容の両面に二重三重に織り込まれており、まさに見事な“本歌取り”だと感じました。

正直、鑑賞前はそれほど期待していなかったのですが、思いがけず超絶技巧に満ちた作品で、深く感激しました。

俳優陣の演技も非常にレベルが高く、池田エライザをはじめ、高校時代と10年後の姿を自然に演じ分けていたのは見事でした。最近出演作をよく観に行く橋本愛も、謎めいた雰囲気を纏った雨宮友恵役を好演。彼女はこういったキャラクターを演じると、ゾクゾクするほどに本当に巧みです。

また、『時をかける少女』をはじめ尾道三部作でおなじみの尾美としのり、そして新・尾道三部作『ふたり』で主演を務めた石田ひかりの二人が登場することで、松居監督が徹底的に大林作品へオマージュを捧げていることが伝わってきました。

そんなわけで、思いがけず見つけた掘り出し物に出会えた喜びも加わり、本作への評価は★4.6とします。

鶏
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