「「殺しの葛藤」と「頭脳戦の詳細」、どちらを期待するかで評価は変わってくる」アマチュア Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
「殺しの葛藤」と「頭脳戦の詳細」、どちらを期待するかで評価は変わってくる
2025.4.11 字幕 イオンシネマ京都桂川
2025年のアメリカ映画(123分、G)
原作はロバート・リテルの小説『The Amateur(1981年)』
妻を殺されたCIA暗号分析官の復讐を描いたスリラー映画
監督はジェームズ・ホーズ
脚本はケン・ノーラン&ゲイリー・スピネッリ
物語の舞台は、ラングレーにあるCIA本部
暗号分析官のチャーリー・ヘラー(レミ・マレック)は、優秀な人材として、日夜暗号解析の仕事にあたっていた
彼には愛する妻サラ(レイチェル・ブロズナハン)がいて、彼女は出張のためにロンドンへと出向くことになった
5日間の孤独だったが、着いて早々にチャーミングな電話が掛かってきた
チャーリーには、元KGBの工作員と称するチャット相手「インクワライン」がいて、彼から依頼されたデータの解析などを行なっていた
また、CIAエージェントのザ・ベアことジェイソン・オブライエン(ジョン・バーンサル)は、命の恩義を感じていて、専属で解析依頼をしてくるほどだった
その後チャーリーは、インクワラインからの重要なデータを解析し、どうやら同盟国へのドローン攻撃を事故だと見せかけている文書を発見してしまう
そのことを同僚のカルロス(エイドリアン・マルチネス)に話すものの、胸の中にしまっておけとだけ言われてしまった
物語は、チャーリーが映像などを解析し、犯人の4人を特定する様子が描かれ、同時に上官であるムーア副長官(ホルト・マッキャラニー)に報告するところから動き出す
CIAが監視している建物で起こった事件ということもあり、ムーアは拙速に動こうとはしない
そこでチャーリーは、インクワラインから得た情報を脅しの材料に使い、喪に服す休みの期間に邪魔をしないという約束を取り付ける
そして、自分自身で犯人を殺すと言い、指導者を紹介してほしい、というのである
ムーアは途中で挫折するだろうと思い、ヘンダーソン大佐(ローレンス・フィッシュバーン)の元へチャーリーを送った
銃の使い方などを教わるものの、ヘンダーソンから「お前には人は殺せない」と言われてしまう
だが、諦めの悪いチャーリーは、偽造の身分証を手に入れて、計画を遂行しようとするのである
CIAもチャーリーの脅しを確認するために彼の家、デスクなどをしらみ潰しに探すものの何も証拠は得られない
ようやく、彼の行きつけのバーにて、ディスクジョッキーの下から1枚のCDが出てきたことから、隠し場所を見つけることになった
だが、そのディスクはブラフであり、CIAは単に時間を浪費するだけになってしまったのである
映画は、チャーリーがCIAと犯人を出し抜く様子が描かれ、その頭脳でどこまで計画を遂行できるかを描いていく
チャット相手のインクワラインに助けを求めることになり、チャーリーはイスタンブールにて彼女(カトリーナ・バルフ)と接触することに成功した
だが、チャットの内容から居場所が推測されてしまい、彼女のアジトにCIAたちがやってきてしまう
物語は、4人の敵を一人づつ頭脳を使って殺していくという内容だが、一人目は偶発的な事故になっていた
どうやって殺していくかよりは、殺すことへの躊躇いなどの心理的な側面がクローズアップされていたので、「どうやって」を詳細に描いていないのが不満な人も多いと思う
プールを割る仕掛けでも、なんとなくはわかるものの、それが崩壊に至るまでもプロセスはもう少し丁寧にしても良いような気がする
減圧装置か何かを止めたから圧力低下で割れたのだが、ぶっちゃけると爆弾で爆発させた方が早いようにも思えた
いずれにせよ、何を期待するかで評価が変わる内容で、「人を殺すことへの葛藤」を重きに置くか、「頭脳戦の詳細を知りたい」かで変わっていくと思う
映画のテーマとしては、ラスボスとの対峙で示されるように「殺しへの葛藤」となるのだが、他の3人とラスボスの扱いの違いなどはサラッとしたものになっている
実際に妻を殺した男は殺さないのに、他の3人を全力で殺しにいくというのは「明確な変化」なり、「明確な動機」などを示す必要があるだろう
おそらくは、CIAの浄化をすることで自分の生きる場所を残しておくというのが目的だったと思うのだが、そこにこだわる彼の哲学というものが前半で示されれば理解しやすかったのかなと感じた
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