「ロケーションが素晴らしい」光る川 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
ロケーションが素晴らしい
「リング・ワンダリング」の金子雅和監督の新作ということと、ポスタービジュアル(福永壮志監督の「山女」を思い出した)に引かれて観た。
まず何より長良川上流域でのロケーションが素晴らしい。清流の青、奥山の緑が、この暑い時期だからこそ一層涼やかに目に染みる。川のせせらぎ、森を渡る風、斧、草笛など、音響も良い。滝や洞窟も実際のものとのことだが、茶碗の水をこぼさずに通り抜けるのはさすがに酷な気がするが…
山の民のことはいくらか知っていたが、木地師のことは全く知らなかった。美濃地方では明治まで実在していたそうだ。金子監督や福永監督の作品では、現在の私たちが、過去(大文字の歴史というより習俗、伝承といったもの)から繋がって存在していることを、改めて思い起こさせてくれる。
主演の華村あすかは、初めて見たが、ほのかに色気があって、前髪アップのおでこがきれい。これから注目していきたい。安田顕、根岸季衣、渡辺哲も、出番は少ないながら、物語を締めていた。
前作では、現在、近過去、過去という3つの時間軸を見せることで、よりトリッキーにテーマを浮かび上がらせていたが、今作では現在パートがない分、ノスタルジックで見やすくなっている。高度成長期以降の課題は、今も続いているということか。
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