劇場公開日 2025年3月22日

「ユウチャの絵世界物語」光る川 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ユウチャの絵世界物語

2025年4月20日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

幸せ

癒される

2025年映画館鑑賞37作品目
4月19日(土)フォーラム仙台
リピーター割引1200円

監督と脚本は『すみれ人形』『アルビノの木』『リング・ワンダリング』の金子雅和
脚本は他に『外科室』『笑う大天使(ミカエル)』『リング・ワンダリング』の吉村元希

舞台は長良川流域
時代は1958年と江戸時代?
ロケ地は郡上市中心に岐阜県各地

粗筋
山間の集落で暮らす少年ユウチャと家族
紙芝居屋が丁寧に地元で古くから伝わる山奥の青い淵の話
若い里の娘と山を転々と歩いて旅をする林業の若い男の叶わぬ悲恋物語
山奥から流れてきた木製の器を拾ったユウチャ
祖母に迷信で唆されユウチャは古めかしい格好にコーディネートされ1人で天候が悪いというのに明け方に山奥の青い淵まで木製の器を返しに行ってくるハメに
青い淵に辿り着くとユウチャは紙芝居に登場した朔やお葉に出会う

ユウチャの冒険は欧米的価値観では子供に対する虐待だと批判がありそうだが正論だとしてもこれはファンタジーだから無視して良い
今もなおとても危険な長い道のりで登下校する児童が世界にはたくさんいる現実もあることを忘れてはならない
欧米かぶれはバカボンのママの古い友達で充分

ユウチャがなぜかお葉の弟にそっくりで朔に間違わられる
バッチャからの喋ってはいけないという忠告と枝郎の喉の怪我が偶然にも重なる
ユウチャの登場でバッドエンドがハッピーエンドに
ドラえもんの「しあわせな人魚姫」みたい
ユウチャはドラえもんと違って一言も喋らずに改変したけど
理屈っぽい改変って嫌だな
安部浩之(おまえ誰だよ)創作の「泣いた赤鬼つづき」の黒鬼みたいで興醒めしてしまう
オチも手伝ったドラえもんの方はコメディとして楽しめるがディズニーの方は偽善で嫌味で挑発的で寛容の不寛容を強く意識した悪ノリしたリベラルの押し付けが半端なく印象は決して良くない
高飛車で狡い大人は子供のためと正当化するがバッドエンドの物語を受け入れず胸糞悪いからといって作者の思いを踏み躙り勝手に改変してしまう昨今の風潮は我慢ならない

朔を演じた葵揚の体格が素晴らしい
あの腕っぷしは超高校級スラッガーを彷彿させドラフト1位かドラフト2位の前半の方で指名される逸材
新宿をブラブラ歩いていたら「君いい体してるね。自衛隊に入らない?」とスカウトされそうな肉体

古舘寛治主演『逃亡』にも出演していた足立智充
あっちとこっちでは全く別人
役者だなあと感心してしまう

結核にでもかかったのか寝たきり状態の母アユミを演じたのは山田キヌヲ
『カラッと解決 乾太くん』のCMの人である
チョイ役のイメージが強い彼女の芝居をこれだけじっくり観たのはこれが初めて
キャリアが長いだけあってやっぱりお上手
山田キヌヲの出番がもっと多い作品も観てみようと思った
主演作もあるらしいし

配役
里の娘のお葉に華村あすか
木地屋の若者の朔に葵揚
お葉の弟で喉を怪我して声を出せない枝郎に有山実俊
お葉の父親の常吉に安田顕
枝郎とそっくりな少年のユウチャに有山実俊
ユウチャの父親で林業を営むハルオに足立智充
ユウチャの母親で病弱なアユミに山田キヌヲ
1人水飴付き5円で商売をしている紙芝居屋に堀部圭亮
ユウチャの祖母のバッチャに根岸季衣
木地屋の長の松に渡辺哲
木地屋の男の楷に松岡龍平
木地屋の男の栃に平沼誠士
木地屋の男の梗に星野富一
木地屋の女の棗に石川紗世
お葉と結婚したい庄屋の息子の金平に髙橋雄祐

野川新栄