「ド迫力の疾走感が最高にエキサイティング! 50年前に世界を唸らせた日本発パニック映画の大傑作をNETFLIXがリブート!!」新幹線大爆破 Jettさんの映画レビュー(感想・評価)
ド迫力の疾走感が最高にエキサイティング! 50年前に世界を唸らせた日本発パニック映画の大傑作をNETFLIXがリブート!!
1975年のオリジナル版は小学生ぐらいにTVで観て以来、これまで何度も観てきたお気に入りの作品で世界中のアクション映画人がリスペクトし最も有名なところではヤン・デ・ボン監督の『スピード』(1994)の元ネタとして超有名、それを現代の特撮の第一人者と言われる樋口真嗣監督がNETFLIX資本で撮るというニュースを聞いてからずっと公開を心待ちにしていました
結果、メチャクチャ面白かった
世界中に数多のファンがいるレジェンド的作品のリブートということで想像を絶するプレッシャーがあったかと思いますが、それに見事に打ち勝った樋口監督の手腕は素晴らしいと思います
ホームシアターでも充分迫力が伝わってきましたが、これは劇場で観たかったなと心から思える、大スケールで全編ド迫力の映像と緊張感、子供の頃よく観た和製パニックアクション巨編の風格を備えた傑作だと思います
日本ってまだまだやれるじゃん!って心底勇気と感動をもらえました
前半分は1975年オリジナル版の山場を現代のCGやVFX技術を使ってアップグレードして魅せる感じ、そして後半分は本作のオリジナルな展開だけど、前作を絡めたサスペンスフルな展開で続編という印象の構成、“リブート”と前面に出してたけど、これは宣伝側のミスリード作戦でしょうね、ある意味プチサプライズで楽しかったし、結果最高に面白かったから何でも許せちゃいます
オリジナルは当時国鉄の協力が得らえずセットやミニチュアを駆使して本物に見せたりと苦労がありましたが、本作はJR東日本に全面協力してもらえ、めちゃくちゃリアルでエキサイティングなカッコいい映像で彩られています
加えて全面協力とはいえ、さすがに実物の車両を大爆破はできず、樋口監督の十八番である1/6スケールのミニチュア列車を準備して爆破させたということで、やはりその辺はCGやVFXに頼らずリアルに爆破させる方が本物感と迫力は出るので、そういった作り手のこだわりがひしひしと伝わってくる最高純度の完成度に達しているとも思いました
オリジナルの新幹線車両は0系で味のあるレトロなビジュアルでしたが、本作では50年の時を経て大進化したE5系の「はやぶさ」が登場し新青森から東京駅に向けて疾走する姿に大興奮、更にオリジナルへのオマージュシーンとも思える はやぶさへの物資補給で別な車両が下り車線を使って並走するのに使われるのがJR東日本の次世代高速試験車両「ALFA-X」というのもメカが好きな自分にとっては最高にエキサイティングな展開でした
オリジナル同様、キャスティングもすごく良かったですね
主人公の高市車掌を演じる草彅剛さんの確かな演技は安心感があり、真っ直ぐで毅然としたキャラクターがすごく合ってて良かったです
それ以上にハマり役でカッコよかったのが運転士の松本を演じるのんさん、新幹線を運転する姿や指差呼称の姿がメチャクチャ似合っててすごく魅力的でした、間違いなく彼女の代表作になったと思います
そしてオリジナルでは宇津井健さんが演じた役に相当する新幹線総合指令所の笠置を演じる斎藤工さんも宇津井さんと同じくレトロなストップウォッチを持って新幹線爆破の危機を救いながら、時に政府高官と対峙する熱い男を演じメチャクチャかっこ良かったです
その他にも尾野真千子さん、要潤さん、松尾諭さん等々の芸達者な方々が集まりドラマとしても見ごたえがありました
ストーリー自体は所々?なところが否めず、特に本筋となる爆破犯の動機やバックストーリーがいささか弱い、そして犯人についても ああやっぱりか、という様な先の読めるカットが所々に入ってたりして割と分かり易い、この脚本をもうちょっと頑張れたら本当の意味で大傑作になっていただろうなとちょっとばかり残念でした
しかもあの犯人は・・・ちょっと無理がないかい?
と、気になる点はあるものの、新幹線大国日本だからこそ描けるスピード感あふれる上質なサスペンスフルなドラマと最高の演出、総じて素晴らしい“リブート版”だったと思います