BETTER MAN ベター・マンのレビュー・感想・評価
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評価の基準は、ただ一つ「なぜサルなのか?」を受け入れられるか否かかも
もう何度観たか分からないほど、大好きな映画ーあの「グレイテスト・ショーマン」のマイケル・グレイシー監督作品とあり、否が応でも期待したくなる本作品。予告編から若干の不安を感じさせる主人公がサルという事実に蓋をしながら、公開初日の映画館へ足を運びました。
観終わった率直な感想は
うん、言いたくないげどもやっぱりそこひかかっちゃうよね🙄
「主人公がサルである必要性」あった?というただその一点。
本作品はイギリスの世界的ポップ歌手ロビー・ウィリアムズの波乱に満ちた人生を、主人公を猿の姿で表現するという奇想天外なアイデアと斬新な映像表現でミュージカル映画化した作品です。
製作にあたって他の伝記映画から差別化する新しいアプローチを探していたグレイシー監督は、ロビーが自分自身をしばしば“パフォーミング・モンキー”だと評していたことに着眼したのだそう。そうした制作意図を知っておいて鑑賞したら、あと星0.5は増えていたかもしれません。監督のチャレンジ精神には感服致しますが、高い映像技術と高価な制作費をかけた割には、その狙いが効果的に観客に伝わったのかは謎です。そもそも世界的には有名だというロビー・ウィリアムズを私はよく知りませんでしたので、どこぞの俳優がカッコよく人間的に演じたところで、本人に似ているとか似ていないとか思わずに鑑賞できたと思います。あの映像技術は凄いとは思いますが、他は全て人間の中で主人公だけサルというのは正直キツイ😅カッコいいって思えない…。これは私の感想ですので悪しからず🙄
映画の中での楽曲やストーリー全て含めて、私の中では圧倒的に
「グレイテスト・ショーマン」>>>「ベター・マン」でした🙄
本作品を鑑賞される方は、あらかじめグレイシー監督の制作意図だけでも知っておくかロビー・ウィリアムズの楽曲を知っておくなどの少しの準備をしておかれると、もっと楽しく鑑賞できるかもしれません♪
あらすじ見た方がいい作品
やらかした…とても…
今回はあらすじ読んでないとだいぶキツイ映画になってしまった。
なぜ猿なのか…なんで猿なのに会話できるし、みんな普通に接してるの意味わからない。なんで?という状態が2時間続いてしまった。
猿と決めつけて見えてしまっている自分がダメなのか…1人の人間として観るんだという製作側の想いなのかと思ってた😂
そしてエンドロールで主人公のロビー・ウィリアムスの自伝だったことを知り、時間を無駄にしてしまった。
せめて、本人を知っていれば😭
しかも本人が本人を演じてた。ファンにとっては嬉しすぎるのではないでしょうか。
結局なんで猿なのかが分からないままだから、話が入ってこなさ過ぎてナニコレ…となったし、主人公に全く感情移入ができなかった。
というか脳内にBruno MarsとあのMVがチラついて集中できなくてしんどかった笑トゥルルトゥルル〜🎶🐒
結局、ロビー・ウィリアムス自身が自分をパフォーミング・モンキーと評価していたからそこから猿を取ったみたい。
有名になりたいと言いながらもミジンコなみのメンタルの弱さ。その弱さを隠すためのキャラを演じてきた彼。それすら観ててしんどかった。というかイライラしてしまった。
ただ、本人を知らなくてもTake Thatと同じ状況になったボーイズグループやガールズグループ、ジャニーズやアイドルと重ねて観てました。
私の好きな1Dや5H、Little Mixも人気すぎてメンタルやられたり方向性が違ってきたりとして脱退や活動休止しているし、グループじゃなくてもJustin BieberやSelena Gomezと同じ状況だったんだろうなと思った。
人気になるにつれファンが増え、ファンに応えるために自分を偽り隠しと人気者ならではの悩みをこの映画では共感することができなかったけど、私の好きなアーティストたちに夢を与えてくれてありがとうと敬意を払うことができた。
またグレイテスト・ショーマンと同じで有頂天になると大切なものを無くすよと言うメッセージ性を感じた。
そして流石ミュージカルでヒットした監督。音響が配給会社のイントロロゴから素晴らしい。役者の立ち位置と聞こえてくる音がしっかりと一致していたところもよかった。遠距離の音の強弱もよかった。
そして行き来したり舐め回すようなカメラワークがとても好みだった。
猿ももちろん舞台もほぼCGでリアル感もない。ただ、キラキラした世界や鮮やかな街並みはとても綺麗で私もこんな綺麗な世界に行きたいって思った。
エンドロールより、いろんな国で撮影していたみたいだけどその国で撮影したというのが感じられなかったな、、、思い返してもCGの世界観しか出てこない、、、
彼を知っているか知らないかで評価がかなり大きく分かれそうな作品だなと思いました。
武勇伝にも捉えられるし、今までの言い訳にも捉えられてしまうなと思った。
こんなストーリーとはしらず…
主人公が猿に扮装した謎⁈う〜ん、気になる…
主人公の人生を描くに当たり、そのまま人間で良いのに、猿に扮装し、演じた謎を私なりに論じようと思う。私の勝手な考察なので、信じなくても良いし、反論もしないで下さい。
結局『オレは猿回しの猿だったのさ。』ということを表したかったのだと思う。
IDOLは昔も今も作られるものだが、そのIDOLとして、作りあげられ、あちこちに引きまわされ、客を喜ばせ、歌え、踊れと見世物扱いされた人生だったのさってことなのかなぁ。
歌った中にはヒット曲もたくさん在る、地元でNO1も取った。オレらがステージに立てば、女どもが喚き、気絶する。それに舞い上がって舞い上がって、大気圏まで飛んでって、空中分解したのさ。空は果てしなく続くって嘘だ!飛べる空には限界があったのさ!
歌は奴が作っていた、オレらが作った歌じゃない。奴の歌はヒットする!奴の歌じゃなきゃランキング外落ち、オレらはもう落ちれないよ奴の歌はいつ届く、何故、奴の歌を彼奴らが歌ってるんだ、なんでこっちに回ってこない!
奴の歌は麻薬!手に入らなきゃ死にそうだ!
なあ、お前は一体誰だったんだ!
オレらを狂わせたお前は一体誰だったんだ!
なあ、教えてくれよ、なあ。
彼の声が、響き渡っているような映画だった
彼に答えを教えてあげようと思う。
そう、それは、わ・た・しだ!
けれど、私には誰に私の歌を渡すかの権限はなかったのだ。あなたに意地悪をしたわけではない。私の歌は金を産む。だから、より金を生み出すことができる歌手に私の歌は手渡されたのだよ。私はただ作り、その歌を売った。
しかし、私もバカではない、歌の所有権限に制約を設けたのだ。だから、一定の期間を経て、私の作った歌は私の元に戻ってくるようにしたのだ。
そう、ちょっと前から戻ってきている。あなたも、それは知っているだろう⁉︎
実在ミュージシャン映画として十分楽しんだ
テイク・ザットは聴いてこなかった。イギリスでボーイズグループなんて珍しいなと思っていた程度。さすがに「バック・フォー・グッド」くらいは知っていたけど。だから、その元メンバーで後にソロで活躍しているロビー・ウィリアムスの映画は観るのに少し躊躇していた。クイーンやエルトン・ジョンやドアーズ、ホイットニー・ヒューストンみたいに好きな曲が満載というわけにはいかないから。
でも聴いたことのある曲もそれなりにあって安心した。カバーが多いこともその理由の一つ。でも、ソロも含めてこれらの曲が売れていたんだなと実感する。テイク・ザットといえばゲイリー・バーロウだよな、なんて思っていたから、彼へのリスペクトと嫉妬が混ざったロビーの感情に納得。そりゃそうだ。
基本の話としては、ポップスターにありがちな酒とドラッグと女性に溺れていく流れだから特段珍しくはない。特別な感じがあったのは両親や祖母との関係性くらいか。それでも、最後はいい終わり方だったし、ライブでのシングアロングなシーンも感動的。ミュージカルは好きじゃないのに、中盤の「ROCK DJ」でのダンスは圧倒されてしまった。音楽映画として十分すぎるくらいに楽しんだ。
個人的には、オアシスのギャラガー兄弟やトム・ジョーンズが出てきたことが嬉しかったし、彼らが微妙に似ているのも笑える。特にギャラガー兄弟は見た目だけじゃなくて話し方もそっくり。このまま彼らでオアシスの映画を撮ってほしいと思うくらいだ。
どうしても気になってしまうのはロビーが猿だった点。裸になったときの毛むくじゃらな体は違和感しかない。頭髪をそるシーンでは、頭だけ剃ってどうする?という気持ちになってしまう。多くの人が思ったようになんでこうした?という疑問が残る。でも、ロビーの声を本人が演じていたり、プロデューサーの中に彼が入っているのをエンドロールで見て少し理解できた。幼少時代以外は自分が演じたかったか、自分が猿に似ていることをジョークとして貫いたのか。猿にしたことで若干ファンタジーな雰囲気をまとうことになり、どこまでリアルな話なのかをぼかした印象になった。意図しているかどうかはわからないが、そのあたりで無理やり納得することにした。
すごく猿だけど猿だからこそ
えごに塗れて
ミュージカルシーンは確かに素晴らしい
音楽関係に疎い自分はロビー・ウィリアムズの名前を聞いてもピンと来ない。
多分どこかの店に入ったときとかBGMとして聞いたことはあるのだろう。
劇中の何曲かは歌声やメロディーに何となく聴き覚えがあった。
自分はどれほどの大物か存じ上げなかったけれど、知る人ぞ知る彼を猿の姿で
描いた半生記だった。正直に言ってしまうとあまり感銘を受けなかった。
良かった部分ももちろんあるが全体として期待以上ではなかった。
粒状感がありセピア調の独特な映像。幻想的な雰囲気を出したかったのかも
知れないが、好みではなかった。
要所要所で本人のナレーションが入る。そこまで興味を持っていない人の
自分語りを聞かされるのもなんだかなぁ。結構口が悪い人だったし。
あと、心理描写のために現れる○○も余計だったと感じる。登場人物の会話と
歌と踊りがあればそれで十分なのにいろいろな要素を付け足してくどい感じがした。
躍動感あるミュージカルシーンがこの映画の一番の見どころ。というか
良かったのはそれだけとも言える。
ロンドンのリージェント・ストリートを封鎖して撮影されたワンカット風の
ミュージカルシーンが圧巻。
撮影のために巨大なヨットのセットを作り上げたという、船上のダンスシーンも
ロマンティックで良かった。
ドラマ部分はよくある出世物語といった感じ。裕福ではない家庭で育ち、10代で
ボーイズ・バンドのメンバーになったことで生活が一変。あっという間に
売れっ子の一員となる。しかし自己顕示欲が強くて生意気な彼は疎まれ、
脱退を余儀なくされる。その後ソロ活動を始めて再び人気者になり、ついには
元いたグループを追い越す存在となる。何でも手に入るようになってから
堕落して酒と薬物に溺れる。堕ちるところまで堕ちたら今度はあるきっかけで
リハビリ施設に入り治療を受ける。
人の性格はそんなに簡単に変えられるものではないが、生活習慣の改善や
心掛け次第では健康を取り戻すことも人間関係を修復することもできる。
彼は過去には嫌な奴だったり堕落した人間だったかもしれないが自分の意志で
過ちを正しBETTER MAN(良い人)になろうとした。そして現在の彼がいる。
家族との関係が割としっかり描かれていた。特に父の影響が大きかったようだ。
父と息子のドラマが主軸といっても良いくらいだった。ラストもあの締め方で
上手く収拾した感じ。
良いことだけでなく悪いことも赤裸々に描き”ありのまま”のロビー・ウィリアムズ
を人々に伝える映画だった。
歌い踊る場面以外はそれほど惹かれる描写はなく、場面によっては一瞬寝落ち
しそうになったりした。でもとりあえず大きなスクリーンでミュージカルシーンを
堪能できたのでちょっと甘めの採点となった。
この人全く知らなかったけど観て正解
全く知らなかったミュージシャンの半生。
フレディマーキュリーやディランは世代じゃなくても有名だし
人間味を描きつつもやっぱりレジェンドはここが凡人と違う!と思わせるようなものだったが
ベターマンは人間味100%、ロビーが全てをさらけ出している叫びのような作品で圧倒された!
1番共感したのは、幼少期の経験から、ロビーが何をしていても不安があり自信を持てないこと。
楽しい時間や、成功に対しても
次の瞬間には裏切られるとか、どこか虚構なんじゃないかという考えがチラついて没頭できない感じ分かる。
ロビーほど有名になってお金持ちになっても
自分で自分を克服出来ずずっと辛そうにしている様子は
エンタメ映画なのにめちゃくちゃ現実を突きつけてきて
ショックだった。
自分を裏切った張本人のお父さんが舞台に上げてもらえてるのは、見ている方は何か納得いかなかったけど
ロビーが自分の辛さを克服するためにそれが必要だっていうのも分かる。
つくづく繊細だったり不器用な人は生きるのが大変だよねと共感しつつ
この映画でそういう所を全部さらけ出しているロビーは勇気あるすごい人だと思ったし、とても元気付けられた。
共感できたと言えば、ライブのシーンでロビーが過去の自分をめちゃくちゃやっつけるシーン。
あれも凄くわかる!あの妄想やる!
観ててすごく爽快だったし、ロビーいけー!と思いながら号泣してしまった。
本人がチンパンなのも割と納得。
幼少期→青年期→現在で別の俳優がやるより違和感が無かったのと、
自分の事を一人前の人間だと思えないロビーの内面がとても良く伝わる表現だ思う。(決してチンパン差別ではありません…)
特にすごく曲が好きとかでは無いし、これで超ファンになったわけじゃないけど、
まずは名前を覚えて、これからの動向はチェックしていこうかなと思った。
もちろんミュージカルの場面の完成度はスゴい。
見ていて超楽しい!
あとちょっとしか出てこないリアムギャラガーが最高。
相変わらず嫌なやつで面白い。
猿はサル
予告編の時から「なぜ猿?」という思いがあって、公開後の作品紹介やレビューとか読んでてその理由は理解できたのですが、実際に鑑賞してみると、やはりどうしても「猿」にしなければならなかったのか?と疑問が残りました。レビューなどでは「観ているうちに猿というのが気にならなくなる」と書かれていたりもしましたが、気にならなくなる、というより、もう「猿」が主人公の作品として受け入れざるを得なくなる、という感じでしょうか。
ストーリーはごくありふれていて、子供の頃からスターになるのを夢見ていた1人の男の子が、紆余曲折を経てスターになったはいいが、ドラッグや仲間との確執でいったんは落ちぶれるものの、再び復活する、といったスター物語の王道路線。歌やダンスのシーンなど見所はありました。特に中盤でのワンカットで繋いで行くところ。ここは本当に評判通り見ものです。
ただ、やっぱり「猿」が良い演技してるな、としか思えない。猿なのに、細かい感情の機微を表情でうまく表現できていて、CGの進歩というのは本当に凄いな、と、妙なところで感心する始末。どれだけいい演技をして歌って踊っても猿は猿なんです。
そもそも、自分自身洋楽好きではあっても、テイク・ザットには興味がなかったですし、ロビー・ウィリアムスも名前ぐらいしか知らなかったので、あまり思い入れがなかったのも事実で、それがこの作品に入り込めなかった原因なのかもしれません。
ありきたりではない何か新しい表現をしたかった監督の意図は理解できますが、やはり猿でなくても良かったのでは?と思いました。
開始20〜30分後のデビューしてからのRock DJ (Regen...
開始20〜30分後のデビューしてからのRock DJ (Regent Street)辺りから超盛り上がる。
何も知らない人がいきなり観ても多分大丈夫だと思います。
※テイク・ザット(TAKE THAT):1990年にマンチェスターで結成されたイギリスのポップグループ。
※ロビー・ウィリアムズ:1974年生
1990年から1995年、2009年から2011年の間までテイク・ザットのメンバー。
イギリス国内売り上げ2000万枚で英国人ソロ・アーティストの国内売り上げ最多記録者。
※ブリット・アワード(Brit Awards):毎年イギリスで開催される音楽の祭典式。
※オアシス:イギリスのロックバンドで1991年結成・2009年解散(2024年再結成)
ノエルとリアム・ギャラガーはメンバーで、2人の兄弟喧嘩は有名。
※オール・セインツ(ALL SAINTS):ロンドン出身の4人組女性音楽グループで1990年代にイギリスで最も成功したポップ・グループのひとつ。
※ニコール・アップルトン:オール・セインツの1人で、ロビー・ウィリアムズと出会う。後にオアシスのリアム・ギャラガーと結婚。
観てよかった
評価が難しい
実在のミュージシャンの人生を描いた映画は
これまで何本もありました。
今回は「ロビー・ウイリアムズ」?
当方、音楽に関しては内外問わず
名前、曲のフレーズの1部などはだいたい記憶のどこかにあるのですが
「ロビー・ウイリアムズ」も「TAKE THAT」も知らないし
サブスクでヒット曲を聞いても聞いたことがない。
マルチバースの人気ミュージシャンなのか?
その彼を猿の姿で描くという奇妙な企画です。
最新のCGで猿の表情や動きは完璧で違和感なく
感情なども伝わってきますが
CGの猿人間に感情移入できませんでした。
特に家族思いの彼と家族との交流シーンは当然家族に見えない。
さすがのマイケル・グレイシー監督なので
最後まで楽しく鑑賞できましたが
人に薦めるほどでもなく微妙。
猿じゃなければ、もう少し入り込めたけど
猿じゃなければ、観なかったでしょうね。
「グレイテスト・ショーマン」ほどではないが音楽モノはやっぱり良い
思いのほかあまり前評判は良くないようだったが、「グレイテスト・ショーマン」のマイケル・グレイシー監督作品ということと、第97回アカデミー賞視覚効果賞ノミネート作品ということで劇場で鑑賞。
結論、期待し過ぎなかった分、結構良かった。「グレイテスト・ショーマン」と比べてしまうと圧倒的に物足りなさは感じるものの、ラストは本当に泣けた。意外なかたちの家族愛にはグッときたし、音楽がやはり良い。
物議を醸し出している主役チンパンジー論議だが、一緒に鑑賞した妻曰く、人間でないところで色々な人に置き換えられるのが逆に感情移入しやすかった、とのこと。なるほどそういう観方もあるか。ちなみに私は主役を「北村一輝」さんがやればハマったかもと思う(笑)
いずれにして「終わり良ければ全て良し」といったところかな。
猿にした意味があったのか…?
MVか映画か、評価は分かれる
本作は、
【ミュージックビデオとして観るか、映画として観るか】
をどう捉えるかで評価が大きく分かれる作品だ。
【MVとして】
ロビーという成功したロックスターの内面的葛藤を軸に据え、
その感情の起伏を音楽的なリズムとビジュアルで表現する手法は見事だ。
映像と音が一体となり、
多種多様の動きの激しい人物を捉えるカメラも的確だ。
特にラストまで観客の共感を維持する力は、
大胆にも「主人公は猿」という奇襲的なアイデアが効いている。
人間を超えた存在としてのロビーは、
寓意的な深みを加え、
視覚的インパクトとともに感情の抽象性の強調は、
劣等感や疎外感をも包み込む事まで奏功している。
131分のMVと割り切れば、その実験的アプローチは成功しており、
音楽と映像の融合として十分に楽しめる佳作だ。
一方、
【映画として】
映画としての観点に移ると、評価は少し複雑になる。
端的に言うなら〈人間でやるべき緻密なシナリオ〉
ロビーの家族、おばあちゃん、
父親、母親、だけでなく、
ネイトのような幼馴染みの周辺人物、
スイカのエピソードまで丁寧に描写している点は、
物語の厚みを出す意図を感じさせる。
ここで問題が浮上する。
ロビーを「猿」として描くことで生まれる非現実性が、
映画としての人間ドラマを求める観客の期待とズレを生んでしまう。
具体的に言うと、
ロビーの〈心〉が伝わる演出、
ロビーの〈心遣い〉が見える芝居、
が、
しっかりできているので、
人間の顔だったら、
もっと伝わる・・はず。
もし家族や友人との関係性を掘り下げ、
彼らの視点からロビーの葛藤を映し出す人間らしい物語を目指すなら、
あるいは、
客席から見ている自分自身等、
ロビーは猿ではなく人間であれば感動は倍増していたような気もする。
キャラクターたちの描写は細やかだが、
感情の接地が不十分に感じられる瞬間がもったいない、
この選択はむしろ足枷となり、
観客に「何か物足りない」という印象を残してしまってないだろうか。
そんな所が、
観る側の視点次第で、
傑作にも凡作にもなり得る稀有な一本、
と言わざるを得ない理由だ。
ちなみに、
近くの座席の、
インバウンドの観光客っぽい外国の方、
嗚咽してた。
唄いたかったんだろう、大声で、
I did it m~~y wa~y
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