劇場公開日 2025年3月28日

  • 予告編を見る

「実在ミュージシャン映画として十分楽しんだ」BETTER MAN ベター・マン kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0実在ミュージシャン映画として十分楽しんだ

2025年4月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

テイク・ザットは聴いてこなかった。イギリスでボーイズグループなんて珍しいなと思っていた程度。さすがに「バック・フォー・グッド」くらいは知っていたけど。だから、その元メンバーで後にソロで活躍しているロビー・ウィリアムスの映画は観るのに少し躊躇していた。クイーンやエルトン・ジョンやドアーズ、ホイットニー・ヒューストンみたいに好きな曲が満載というわけにはいかないから。
でも聴いたことのある曲もそれなりにあって安心した。カバーが多いこともその理由の一つ。でも、ソロも含めてこれらの曲が売れていたんだなと実感する。テイク・ザットといえばゲイリー・バーロウだよな、なんて思っていたから、彼へのリスペクトと嫉妬が混ざったロビーの感情に納得。そりゃそうだ。
基本の話としては、ポップスターにありがちな酒とドラッグと女性に溺れていく流れだから特段珍しくはない。特別な感じがあったのは両親や祖母との関係性くらいか。それでも、最後はいい終わり方だったし、ライブでのシングアロングなシーンも感動的。ミュージカルは好きじゃないのに、中盤の「ROCK DJ」でのダンスは圧倒されてしまった。音楽映画として十分すぎるくらいに楽しんだ。
個人的には、オアシスのギャラガー兄弟やトム・ジョーンズが出てきたことが嬉しかったし、彼らが微妙に似ているのも笑える。特にギャラガー兄弟は見た目だけじゃなくて話し方もそっくり。このまま彼らでオアシスの映画を撮ってほしいと思うくらいだ。
どうしても気になってしまうのはロビーが猿だった点。裸になったときの毛むくじゃらな体は違和感しかない。頭髪をそるシーンでは、頭だけ剃ってどうする?という気持ちになってしまう。多くの人が思ったようになんでこうした?という疑問が残る。でも、ロビーの声を本人が演じていたり、プロデューサーの中に彼が入っているのをエンドロールで見て少し理解できた。幼少時代以外は自分が演じたかったか、自分が猿に似ていることをジョークとして貫いたのか。猿にしたことで若干ファンタジーな雰囲気をまとうことになり、どこまでリアルな話なのかをぼかした印象になった。意図しているかどうかはわからないが、そのあたりで無理やり納得することにした。

kenshuchu