「なんだかんだとマイウェイ」BETTER MAN ベター・マン 流離いのオオハシさんの映画レビュー(感想・評価)
なんだかんだとマイウェイ
最初から最後まで主人公の姿が猿。
見た目猿だが表情は人間そのものなので、どこか気味悪い。
わざと驚かせるような露悪趣味的な表情のアップが続く。
ただのイケメンミュージシャン伝記映画にはさせないぞ、という製作側の強い意思を感じる。
憂鬱になる場面が多い中、Take Thatのミュージカルシーンは最高。
この場面だけでも何杯でもお代わりしたい。
歌い踊り才能ある若いイケメンはすべてを凌駕する。
まあ一人はお猿なのでやはりクセある絵面ではあるが・・・
ロビーは親とうまくいかず劣等感こじらせ自分勝手で人を傷つけ周囲から嫌われ、
ドラッグに溺れ、もう○ぬ?フラグが立ちまくっている。
だがなんだかんだと地獄から生還するので、どうやら体も悪運も強い模様。
自己評価が低い彼だが、そもそも有望なボーイズグループのメンバーに選ばれたり
最終的にソロで大成功を収めているのだから魅力の塊のはずだ。
できれば彼をスーパースターたらしめた才能の部分についてももっと知りたかった。
有名にはなったが幸せそうではないロビー。
しかし映画終盤、彼はいつのまにか更正し、
かつての仲間に謝罪し、ボロクソ言っていた親とも和解。
この辺りはちょっと駆け足ですっ飛ばし。
もろもろ端折ってラスト、
スポットライト浴びながら父と息子で朗々と歌い上げるマイウェイ。
父に思うところあっても、ロビーの音楽的ルーツは父無しでは語れない。
シナトラを唄うことは父と自分の負の過去も含め受けとめること。
ロビーの人生、山あれど谷多めで辛く苦しい出来事が多かったが
マイウェイは全てを包み込んでくれる。
それがマイウェイ・・・
Take Thatメンバーの映画なのに
マイウェイの往年の圧倒的な曲の強さに感嘆せざるをえない、そんな作品であった。