「ザ・人間。ロビー・ウィリアムズ物語」BETTER MAN ベター・マン 自分BOXさんの映画レビュー(感想・評価)
ザ・人間。ロビー・ウィリアムズ物語
ロビー・ウィリアムズという人の事は全く知らなかったが、予告編で本人をチンパンジーとして描いているとゆうのを観て『自分=芸をする猿』という、えらい皮肉と自虐的主観の人なんだなぁと興味を持ち映画館に足を運んだ。
で、鑑賞してみたら、幼少期から、ずーっと『自分には才能が無いんじゃないか?』というコンプレックスにまみれた精神グラグラの人で笑った。
そんな精神グラグラの人がアイドルグループの一員として人気を博すも、自分を見失い酒とドラッグに溺れ、周りの人間を傷つけ迷惑をかけ、やがて大事な人達が離れて行くという、ある意味スターの定番とも言える醜態を、まだ本人存命中に映画にしてしまうというのはなかなか思いきったね!
アイドル人気の劣等感からオアシスに憧れてたけど、リアムとノエルからは馬鹿にされてて、しかも元カノがリアムとくっついてリアムに中指を立てられる描写とか、後々本人に会って気まずくならないのだろうか(笑)
ロビー・ウィリアムズ自身もけっこうイヤな奴として描かれているが、あれがイメージダウンにならないくらい既にイギリス本国では問題児として有名な人なんだろうと知れて面白い。
ただ、そんなイヤな奴、ロビー・ウィリアムズがポップスターとして人気を博したのが納得出来るくらい、パフォーマンスシーンが圧倒的に格好良くて説得力があった。
『才能が無い』という呪縛を植え付けた父親とステージ上でシナトラのマイウェイを唄い和解するシーンは余りにも出来すぎてて「本当かよ!」と思ったが、エンディングで実際の写真が流れたので驚きましたよ。
作中で迷惑をかけたり、傷つけた人達に謝罪し和解するシーンも美しい(アイドル時代のマネージャーとは現在も険悪らしく、作中で和解するシーンがないのは笑う)し、最後までロビー・ウィリアムズがチンパンジーの姿なのも良い。
ラストでチンパンジー姿が実際のロビー・ウィリアムズの姿に変わったら、『芸をする猿』という自虐が解けた事を示唆する一見イイ話に着地するんだろうけど、存命中の人物にそんな事をされても「どんだけナルシストなんだよ」と鼻白むだけ。
現在も自虐的な視点を持ちつつ、明け透けに自身の駄目な部分も語った『ザ・人間。ロビー・ウィリアムズ物語』として大変評価出来るんじゃないでしょうか。