トレンケ・ラウケンのレビュー・感想・評価
全2件を表示
いやすごい
アルゼンチンはブエノスアイレス郊外の街 トレンケ・ラウケン (「丸い池」という意味らしい)。そこで失踪した女性ラウラの謎を追う、パート1、パート2、各2時間強の、衒学的でスリップストリームな物語。
目立つのは女性たち。パート1では二人の男性がラウラを探すのだが、物語を駆動するのはラウラを始めとする多くの女性たち。男性二人はただの傍観者に過ぎない。
そして、視点が変わるパート2 においては何をかいわんや、男性たちは遠い背景と化し滑稽ですらある。
何の確証も無いのに真実らしきものを語り、騙る二人のパート1。それを置き去りにして、全く別の層、別のラウラで話が進むパート2。
ナレーション多用ながら、その扱いがスマートで全く興がそがれない。最後の最後、2段階の映画的趣向が待ち受けるラストも見事。
『TWIN PEAKS』や『アンダー・ザ・シルバーレイク』といった考察系とも違う (「そういうのがやりたい訳ではない」というのが監督のインタビューからも伺える)、南米お得意のマジック・リアリズムとも違う、もっとアップデートされた何か。
奇妙な味わいを演出するクラシック音楽使いも、音響も、編集も、全てがハイレベル。
終映後に残るのは、昨年の『王国 (あるいはその家について)』の様な、何かとんでもない物を観てしまった感覚。
ただ『王国』同様、長いのと、これでもかという長回しの多用が玉に瑕。全体で3時間に収まっていたら文句なしの年間ベスト級。しかし、『王国』もその長さゆえランク外にした昨年の過ちを、今年は繰り返すまい。
終映後に、国内上映の企画化と字幕を担当した 新谷和輝 氏 (ラテンアメリカ映画研究者) と、山中瑶子 氏 (映画監督)とのトーク・セッションあり。初の生 山中瑶子 監督にちょっと感激。
プチ情報:
「カルメン」役で監督の ラウラ・シタレラ が出演。「チーチョ」役を演じるのは監督の夫。
未確認〇〇
ある日同僚に車を借りに来て、離れた場所に車を預けて姿を消した女性と、彼女を捜す彼氏と同僚の話。
Part1とPart2に分けての上映だったけれど、第1章〜第7章がPart1、第8章〜第12章がPart2として元々分割して作られているんですね。
あらすじ紹介には平原がどうとかあるけれど全然そんなんじゃないし、とりあえずいなくなったラウラと車をラファエルとチーチョが捜す始まりだけど、背景説明が全然なくて、そこは何処?その人誰?の連続。
まあ、一応それは終盤繋がるけれど謎にする様なことでもないし。
いなくなる前のラウラのエピソードも、寧ろ関係ない人の手紙の秘密の話しで、だからどうした?
Part2になって、今度はモノローグだとしたら随分話しをまとめるのが下手だし、何を伝えたくてそれをその人に残した?な訳わからん90分に、オカルト?カルト?からの結局消えた理由なくなってない???と何を言いたいかわからないままエンディング。
ゴディバ夫人伝説も今更語って何の意味が?
まさか男から離れたかっただけ?
1/3ぐらいの尺で作れそうな話しを、後出し祭りでこねくり回して余計なもの足して、タラタラタラタラ…自分には面白さが全然わからなかった。
全2件を表示