「ファンサービスムービー」ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング ケビン・スミシーさんの映画レビュー(感想・評価)
ファンサービスムービー
ミッションインポッシブルの1作目を劇場で鑑賞した後の高揚感は、30年以上経った今でも心に刻まれていて、娯楽としての映画の楽しさを教えてくれた作品であるので、続編が公開される度に劇場に足を運ぶことは自分にとってもはやルーティーンになっていたのです。
ちなみに個人的には「M.I.Ⅱ」のみが微妙な出来だと思っていますが、その他に関しては全てアベレージ以上の出来をキープしており、毎回前作を超える見せ場を作っている点に関しても、トムクルーズとスタッフの映画製作への並々ならぬ意気込みを感じていました。
でも前回のデッド・レコニングでほんの少し感じたマンネリ感が、今回の映画にも残念ながら影を落としており、それを突き詰めて考えると、良くも悪くも最近の作品はトム・クルーズとクリストファー・マッカリー監督のタッグが続いていた為、明らかに映画のトーンにこちらが慣れてきているのが分かったのです。
元々このシリーズは毎回監督を変える事と、主人公のチームメンバーを一新する事で新陳代謝を図って新鮮さをキープしていた感があり、それぞれの作品の繋がりはありながらも独立した作品とした魅力があったのだけれど、クリストファー・マッカリーが連投する事により、各キャラクターの深堀は出来たかもしれないけど、いい意味での裏切りや驚きの要素は減少してしまったように感じるのです。
そのせいか今回は集大成にこだわってしまった為、ファンサービスよろしく過去とのリンクを色々こじつけてみたり、いつもであればサラッと流すシーンをこれでもかというくらいに長回しにしてみたりと、今までは少し物足りないくらいの見せ方をわざと行う事で観客にちょっとした飢餓感を与える方式を変えてしまった為、本来のスタイリッシュさも失われてしなった風に思えてしまいました。
勿論他の映画と比べても全然見劣りしないし寧ろアベレージ以上の作りではあるのは分かるのですが、往年のシリーズを観てきた1ファンとしては、もう少し余白を残していつも通りの作りでも満足出来たのは?と感じました。
これも客観的な意見にはなってしまうのですが、所謂傑作と言われる映画はやはり観客が想像できる余地があり、或る程度不親切な作りでもそれが想像力を喚起出来る魅力があるのであれば、勝手にあれこれみんなが想像して自分の作品像を作り出して満足するので、今回のように全てに決着を着けて大団円にしなくても良かったと思ったのです。
まぁなんだかんだいって続編があれば、文句言いながらも劇場に足は運びますけどね。
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