「この大作に限りない賛辞を贈ると同時に、半端なき喪失感にどう立ち向かおうか。」ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
この大作に限りない賛辞を贈ると同時に、半端なき喪失感にどう立ち向かおうか。
シリーズの総括。
始まりの『ミッション・インポッシブル』からの小ネタが膨らみ、『M:I:Ⅲ』の、あのエピソードをこう使うか!!!
(鳩は出てこなかったな。あ、でも、炎まみれや、敵ボスが過去の因縁相手と言うのは『M:I-2』のオマージュ?)
ついでに、『トップガン』(空母)まで取り入れちゃって、私はホクホク、ニタニタ、ハイテンション!
「人生は選択の連続」
最初は、「あの時の、お前の選択で、今の危機がある」と、さんざ煽っておいて、他のシーンでは、「否、貴方のおかげで不運な運命と思ったら、そのおかげで最高のものを手に入れた」と、感謝のエピソードもあり。イーサンに思いっきり肩入れしている身には、心がぎゅっと苦しくなったり、うるっと来たり、気持ちもジェットコースタームービー。
そして、ある人物のもう一つの選択。
イーサンたちが、危機回避に奔走しているのはいつもの通りだが、それを信じ切れずに行動に出たら、イーサンたちの努力も水の泡。その見事な選択に狂喜乱舞してしまった!
物語は、多少、都合の良い展開で進むのはご愛敬。
『フォールアウト』での因縁のある元CIA長官が、USA大統領になっているので、イーサンの実力・人柄は旧知。便宜を図ってくれる。その為、空母でも潜水艦でも、悶着なく、協力が得られる。
そう、あの時のあの選択で、人の信頼を得て、事を為していく。勿論、誤解している面々もいるけれど…。でも…。
コメディ感は少なめ。
ここは笑わそうとしているのに違いない、と思える箇所は幾つもある。「ゲーム台」とか。気胸治療場面とか。ここで北極海に飛び込んでどうするんだとか。でも「はは」ぐらいは笑えるのだけれど、映画全体に流れる雰囲気に巻き込まれて、いつものように笑えない…。
昨今、現実的になってきたAIの脅威。
それも、怖かったが、もう一つの脅威・狂信者たち。あんなところに、こんなところに、潜んでいたアサシンが…。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
いつもなら、トム様大絶賛の言葉が並ぶ。
勿論、この映画でも、並べ立てたい。因縁あるガブリエル相手に、でもその気持ちを抑えて、世界危機回避のために奔走する。その過程で、大切な人を亡くし(ネタバレ回避)、その喪失感から気持ちも沈みながら(大統領からの言葉に胸をぎゅっとつかまれ)も、とにかく奔走する。心が弱っているから、いつもより、一つ一つの行動も、身に沁みる。冷たくたって、元気パワーで跳ね返しているみたいなそぶりはなく、打撃を受ける。そんな、いつもと違って、元気MAXハイテンションではなく、心の痛みを引きずっている様が、愛おしい。抱きしめたくなってしまう。
という演技だけではなく、勿論、アクションも半端ない。
潜水艦。これまでは、如何に侵入するのが大変かというアクションが多かったような気がするが、侵入した場所からの脱出の方が今回は難しい。素人目には「ありえないでしょ」という演出もあるが(決行前の危険度を煽る前振り何だったの)、絵が美しく、満足。
複葉機。命綱つけていたのか?機から機へ飛び移るのって…。小さなパラシュート仕込んでいたのか?ブルジュ・ハリファも軍用輸送機もヘイロージャンプもヘリコプターのらせん降下もバイクでのジャンプ他諸々、危険なスタントは数々あったが、その中でも、このシーンが肝が冷えた。(あ、『ゴーストプロトコル』での、部屋へのジャンプを失敗したシーンも肝が冷えたが)
だが、それよりも、今回感嘆したのは、ストーリー構成。
元々、アクションが目玉のシリーズだが、ことに『ローグネイション』~『デッドレコニング』は、先にアクションがあって、そのアクションをどうつなぐかという脚本のように感じていた。『ローグネイション』の冒頭アクションなんて、話に収まり切れなかったから、ここに持ってきましたみたいな。他のアクションも、その設定、そこまでする?こじつけみたいな面もあったような。でも、とにかく、目見張るシーンで、なかったら、〇〇のない珈琲みたいだけれど。
けれど、この作品は、最初にストーリーがあって、そこにこんなシーン入れたらどうかと言うような自然な構成になっている(ここまでするかと言うのは置いておいて)。脚本は監督とジェンドレセン氏が書いていらっしゃるが、それを膨らませる時に、皆でアイディアを出し合ったのだろうなと思う。そして、それを実現するべく段取りを組む人々。
そして、役者。
今までのアクションは、トム様一人でやっている印象が強かった。『フォールアウト』ではカビル氏がイーサンと一緒にヘイロージャンプやヘリコプターの操縦もやっているように見えるけれど、スタントが行っているシーンとカビル氏が行っているように見えるシーンとのつなぎ合わせが見て取れる。だが、モラレス氏は、前作では列車の上でバトルを繰り広げているし、今作では複葉機の中でバトルしている。どう撮ったのだろう?モラレス氏もスタントしたのかな?モラレス氏とトム様同い年。役柄は、すました感じの悪と、下卑た悪を混然とさせる役で、怖さでは『M:I:Ⅲ』のホフマン氏に軍配が上がり、不気味さでは『ローグネイション』『フォールアウト』のハリス氏に軍配が上がるが、すごい役者無駄遣いの多いこのシリーズの中では印象的な敵キャラ。もう少し攻防を観たかったな。
他には、前作では他人は使い捨てと思っていたグレースが、子犬のようにイーサンに絡む変化が、その生き様に涙する(つい、イルサの格好良さと比較して、「チッ」と思っちゃうけれど。う~ん、やきもち・やきもち)。
パリスは、イーサンに助けられて、ベンジーにも仲間扱いされて、どう振舞ったらよいのかと迷いながら行動している姿がかわいい。
ダンローは『ミッションインポッシブル』よりダンディーになっていて(笑)。初め判らなかった。奥様のタピーサが、師匠と仰ぎたくなるほど格好良い。
ルーサーはちょっとやせた?前作では「”それ”の攻略のために潜る」と言っていたのに、その潜伏先の仕様・姿は?でも、相変わらず、イーサンの心の支え。私の心にも響く。こんな風なメンターがいたら頑張れるなあ。
ベンジーは頼もしくなり。憧れの人にあった時のミーハーぶりがいい。フランス語にも堪能なのが、ちょっと意外。ゴメン、ベンジーm(__)m。
そして、キトリッジはキトリッジだった(笑)。
ブリッグスはちょっとこじつけ?『デッドレコニング』で触っておいてくれたら、設定活きたのに。
ドガとリチャーズは、どうしても『マーベリック』を引きずってしまう…。
女性大統領とか、ニーリー海軍少将とか、今回は女性の活躍が多い。イーサンや大統領をあのシーンで助けるのも女性だし、「サー、ご武運を」と声をかけるのも女性(ここ、『ジャック・リーチャー』ぽかった)。
そして、モブシーンには中国系が多いのはスポンサーの意向か。人種的にも気を使って役者を配置したのかな?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
映画は、新しいチームを予感させるようにして終わる。
ブリッグスも入ったら、最初?オリジナルに戻る感じになるのに。
かっては、映画ごとに監督とチームが変わっていた。
元々、ルーサーは犯罪者で、IMFの職員ではない。けれど、『ミッションインポッシブル』でイーサンにリクルートされ、『M:I-2』『M:I:Ⅲ』では、イーサンの友達として関わったのではなかったか。
そんなスタイルに戻るのだろうか。
とはいえ、失ったものが大きすぎて。
パリスが刺されても生きていたんだから、イルサもと願ってしまう。
そして、あの方だって…。
ブラントは、IMFの長官として、カメオ出演してくれないかな。
唯一無二のメンバーに会いたい。
そんな風に続編を期待してしまう。
半面、手放しで乞う!と言う感じにもなれない。
複葉機のスタント、本当に怖かった。トム様が死んでしまうのではないかと。
保険会社から断られたって、そりゃそうだと言うほどのクレージーさ。
特別映像で、命綱を始め、ああ、ああやって撮ったのかというのは判ったけれど。
トム様のスタントもすごいが、それを支える方がた、映像に収める方がた、機材を開発される方がたがいらっしゃって成せる業だと、すべての方に感謝したいけれど。
命綱があったって、絡んで死に至ることだってあるし。
もし、続編が作られるのなら、これ以上のアクションを為さるのかと思うと、もう、これで打ち止めでもいいと思ってしまう。
演技だけでも、最高なのだから。
この映画を成し遂げたトム様はじめ皆様に感謝申し上げるとともに、
ご無事をお祈りではなく、切に乞いたくなりました。
木下監督作品『陸軍』の母の気持ちになってしまう。
トム様はそこにいて下さるだけで、元気をいただけるのだから。
印象:興奮・ドキドキ→驚く・泣ける・悲しい→興奮・ドキドキ・驚く→癒される
三つでは足りない。
IMAXレーザー字幕にて鑑賞
(言葉は、思い出し引用。間違っていたらごめんなさい)
2025/8/4追記。
コメントありがとうございます。
イーサンは不死身ですがトム様は生身なので危険なアクションも納め時が来るとはわかっていながら、再びを願ってしまいます。
ホワイトウィドウが好きなので、また出てほしいです。😄
こんにちは!とみいじょんさん!
いつも共感、ありがとうございます。フォローいただいた時にすぐにに何か返信すれば良かったのですが、「トップガンマーベリック」が面白すぎて勢いでレビューを書いた為にコメントの書き方などもわからずそのままになってしまいました。
その後、コメントをいただいた方にポツポツ返信をしていましたが皆様の情報量、知識に圧倒され、さらにコメントも控えめになっていましたが少し慣れてきましたので、フォローしてくださった方々でまだ一度もコメントを返していない方に書いています。
いつも私のコメントを読んで共感をくださりありがとうございます。
--ここまで皆様同文です。--
本当に人間離れしたトム様には恐れ入ります。でもラストはもしかしたら、リターンズあるかもな予感がありましたね。