「信仰とは?という異常なまでの問いかけ」異端者の家 natsukiさんの映画レビュー(感想・評価)
信仰とは?という異常なまでの問いかけ
(※以下、宗教、信仰について自分の感想を書いていますが、あくまで個人的な思いなのであしからず!)
面白かった!
予告を観て、ヤバいおじさんによる女性の監禁、そして家に隠された危険な仕掛けの数々、この家から脱出することはできるのか?といったアクションスリラーを想像していたのですが、公開後に宗教に関する話が主題だという口コミを読んで「なるほどそっち系か」と想像を改めていました。
しかし、今回本編を観て、宗教・信仰というテーマ性のあまりの濃度とグロさ・怖さが想像以上で驚いた!
そのサプライズがとても興味深く、自分は楽しむことが出来た。
自分だったらあの地下への階段降りれないかもしれないなぁ。
朝扉があくまで待ちます、ここで話しましょうとか言うかも。
あそこを降りる覚悟はないな。
預言者には心底ビビりました。
私は特定の宗教を信仰していないので、この映画の主軸である「信仰とは何なのか?」「絶対の宗教とは何か」「何が真実なのか?」といった部分への理解度は十分と言えない。
理解しきれないところがとても残念で、ここの知識や接してきた経験があるともっとこの作品の核を味わえたのだろうと思う。
ただそれでも、映画を観終わったとき、「現代の宗教という“システム”はあまりにも不完全で支配的、ただし信仰は極個人的なものであり、きっかけや始まり、目的が何であれそれは誰にも否定できないものなんじゃないか」という自分なりの解釈をした。
自分で考えたのか?自分で本当に選んだのか?そこにもしかしたら不正解はあるのかもしれないけど、正されるべきは都合良く人々を搾取する宗教という器で、信仰はただそこにあることが全て、間違いも正解もないというか。
だから、そういう意味で言えばあの男の個人的な信仰も誰にも否定できるものではないのではないか。彼こそ信仰というものを突き詰めた結果、あの形をとるまでに狂ってしまったのかなとか。
最期、祈るシスターに息も絶え絶えに近づいたとき、彼女を殺そうとしていた行動ではあるんだけれどもどこかすがるような、祈りの力を信じたいような、そんな姿にも見えて、彼がここまでくる過程に何があったのか、何を知ったのか、何に絶望したのか想像をめぐらせたりした。
ふたりのシスターを探しに来た教会の男がついでに冊子を渡そうとしたとき、何とも皮肉を感じて、その時のヒュー・グラントの表情も含め印象に残ったワンシーンだった。
また、宗教をモノポリーで例えるところも好き。深い歴史と精神世界をもつ宗教のはずが、商業的なひとつのゲームで例えられる。「なんなんだろうな、この世界も人間も」と思ってしまった。
ヒュー・グラントがこういう役をやってくれることが嬉しいし、これからも色んな姿を見せてほしい。
少し頼りなく世間知らずだったシスターが最初と最後では別人のように変わったことも、彼女の表情、演技ともに素晴らしかった。
映画を観終わった後にちょうどネットニュースで「新教皇が“家族は男と女の結びつきに基づいている”と宣言した。」という記事を読んで、そこについた様々なコメントを読み、またこの映画について考え込んだりなどした。
その宣言の内容がどうこうという話ではなく、神への信仰とまでいかずとも、何を信じてどう行動するのか、常々自分で決めることが大切なのだろうなと。
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