劇場公開日 2025年1月10日

「わずか60分の映画なのに最後まで見るのが苦痛」デヴィッド・ボウイ 幻想と素顔の狭間で たけさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0わずか60分の映画なのに最後まで見るのが苦痛

2025年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

全編を通して、古臭い映像と編集だな~と思っていたら、2007年の作品。
ん?ということはボウイがまだ生きている… ならばなぜ、その時点での本人のインタビューや映像が一切出てこないのでしょう?何か揉めたりしたのかな…
18年前の作品が今になって公開されたのは、その辺の特殊な事情があるのかもしれませんが、そういうことはHPなどでも、もちろん本編でも全く触れられていません。
そういう疑問は置いておいたとしてもこの作品、あらゆる部分でセンスが感じられないし、退屈意外に形容できない映画でした。しかも60分しかない(それが果てしなく長く感じられる)。それで通常と同じ値段とは… 久しぶりに「金返せ~」と思いました。
まず、こういうミュージシャンの映画をインタビューだけで構成していくのは非常に難しい、というのは「トノバン」でも思ったこと。で、間に挟み込まれるのは古い写真と、テープだかなんだかのイメージ映像、時折ライブ映像。
前半、バンドメンバーが、ボウイと仕事を一緒にすることになるいきさつを話すところは、本当にただ思い出話をそのままつないでいるだけで、構成も何もない。こういうのは監督が面白いところをちゃんとチョイスして、見ている人を飽きさせないように編集しないとダメでしょう。演奏シーンをはさむことなくダラダラとインタビューが続くのは苦痛以外の何物でもありませんでした。
今回の映画、何となく「ジギースターダスト」の制作秘話みたいなものが中心となっているのかなと思っていました。なので事前に「ジギー」のアルバムを聞きこんで、この名盤がどのように生まれたのか、そういう期待で映画館に乗り込んだわけです。ところが…
「5年間」は、ライブでみんなが歌える曲を作ってほしい、という元妻・アンジーの依頼でボウイが作ったんだ…みたいな話は出てくるのですが、結局、それだけ。しかも、「5年間」をボウイが歌うシーンも流れるのですが、一番みんなで歌えそうな最後の盛り上がる部分は登場せず。
そして他の曲の話はほとんどされないまま、その後のカバー・アルバム、そしてバンドメンバーの解雇、という話になってしまう。そこでメンバーたちの「最初の頃が一番楽しかったよね」というインタビューが出てきても、何だかな~というか、共感しづらいんですよね。
とにかく…こういうカリスマミュージシャンを扱うドキュメンタリーは、まずはライブ映像やボウイ本人の過去のインタビューなどをある程度、揃えたうえで、それを補足したり反論したりする関係者のインタビューを加えていく、とか様々な工夫が必要なはず。
制作時期の古さ、上映時間の短さ、編集・構成の拙さ、映画としての退屈さ、あらゆる意味で今、こういう形でお金を取って上映されるべきではない作品だったと思う。

たけ