「驚かされるけど怖くはないホラーで、考察しようにも限定的な可能性しか残されていない」SKINAMARINK スキナマリンク Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
驚かされるけど怖くはないホラーで、考察しようにも限定的な可能性しか残されていない
2025.2.27 字幕 アップリンク京都
2023年のカナダ映画(100分、G)
Youtubeで話題になった動画を基に作られたホラー映画
監督&脚本はカイル・エドワード・ボール
原題の『Skimanarink』は意味のない造語「Skidamarink」のカナダで流行ったバージョン
物語の舞台は、1995年のカナダのどこか
4歳のケヴィン(ルーカス・ポール)と6歳のケイリー(ダリ・ロズ・テトロー)は、真夜中に目覚めてしまった
ケヴィンは事故で頭を怪我していたが、異常は指摘されずに自宅へと帰されていた
ケイリーは父(ロス・ポール)を探すも見当たらず、母(ジェイミー・ヒル)の啜り泣く声は聞こえるもののどこにも姿はなかった
ケヴィンは下の階のリビングでテレビを見て過ごし、ケイリーは家中を探し回った
だが、あるはずのものが消えたり、消えたと思ったら現れたりと不可思議な現象が起こるようになっていく
そして、ケイリーはケヴィンを連れて、地下室へと向かうことになった
映画は、斬新なアイデアというふれ込みで、超低予算の攻めた内容だった
普段慣れているはずの自宅が怖くなるというパターンで、何か変な感じがするけどわからないという感じになっている
怖いかと言われれば、驚くけど怖いと言うものではなく、いきなり出てくるとか、大きな音が鳴るみたいな、お化け屋敷系の怖がらせ方だったと言える
母親が突然出てきて意味のわからないことを言ったり、流れるテレビ番組が不穏だったりしますが、没入させるためにはカット割が多すぎるのではないだろうか
物語性は皆無なので、とにかく不思議な映像を体験すると言うもので、人に勧める系の映画ではない
かと言って酷評というのも違う感じで、正確に表現するなら映画としての評価はできないという感じだろうか
あくまでも、映像体験という部分があるので、真夜中にスマホで観る方が怖さが増すのかなと感じた
内容が内容なので、寝てしまう人も続出する感じで、記憶が飛んでも場面が変わらず進展していないので、置き去りにされているのかどうかもわからない
寝てしまう人の寝息の方が大きいので、その度に現実に戻ってしまうように思えた
いずれにせよ、変な映画を観たいという人向けだが、展開が死ぬほど遅い(というかない)ので、ひたすら観にくい画面を凝視するだけになっていた
時折怖がらせはするものの、全編通じて5回も驚かないので、ホラー映画としてはどうなのかなと思った
ラスト付近で唐突に「572日目」と表示され、この一連の映像がどういうものかがわかるのだが、解釈が分かれるように思う
個人的には、ケヴィンは重篤な事故に遭い、意識不明の状態がずっと続いていて、その最終日にあの世に行くまでの間に見たものを映像化しているのだと感じた
パパやママの声が少ないのは、おそらくは仕事に行っているか何かで不在が多く、姉のケイリーが頻回にそばについていたからなのかなと思った
もしくは、全員死亡のエンドで、ケヴィンだけが最後まで生き延びていたのかもしれないが、そのあたりは色んな解釈ができるのかな、と感じた