劇場公開日 2025年2月7日

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ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女のレビュー・感想・評価

全48件中、41~48件目を表示

4.5関連作品を見ていれば理解が進むかもしれない。

2025年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年46本目(合計1,588本目/今月(2025年2月度)9本目)。

 見る方によってかなり解釈が分かれるのはあるとしても、現代タイトルの英語版(ドイツ語版)は、「ステラ、一人の(女性の)生涯」程度の意味合いで(多少こなれた訳にしています)、「ユダヤ人同胞を売った」というような語はどこを引っ張っても出てこず、ここは彼女の評価につき賛否両論ある現状において、できるだけ平等な立場であってほしかったです。

 実在する人物を描くこと、歴史通りに進むこともあり、淡々と進む部分はどうしてもあります。そして映画内でも示される通り、彼女は被害者でも加害者でもあります。

 彼女がある程度こうしたナチスドイツと接近できた理由として、いわゆる容貌の良さで当時の重役に気に入られたことがあげられますが(このことは、このサイトの映画短評でも触れられている)、人種問わず、ナチスドイツによる政治があったドイツのこの当時はいわば戦争末期であり(だから、ドイツが空爆等されるシーンがいくつか出る)、もはやナチスドイツと言えども「使える人は人種関係なく起用する」という考え方がありました。一方で、ナチスドイツがいうところの「使えない人」は容赦なくガス室送りにされたのは周知の事実です。

 映画内で、「ドイツ人は人種で差別するが、私たち(ユダヤ人)は頭で勝負できる」という趣旨の発言をする方がいますが、色々なテクニックを駆使してベルリンに多くの「知識層」であるところの彼ら彼女らが潜伏して偽造パスポートの作成に尽力して命を救ったり(一部の意味で「命のパスポート」と似る)したところがあります。この点は、本映画で登場する「偽造パスポート」の点で登場するツィオマに焦点を当てた「ヒトラーを欺いた黄色い星」(2018。アマゾンプライムでは見られる)ではそちら視点で描かれており(もちろん、本映画の主人公であるところの彼女=ステラも出る)、色々な観点で見るのがよいのかな、といったところです。

 個人的には「やや被害者面が強い、加害者的な観点は否定できない」程度の見方です。

 採点に関しては以下まで考慮しました。

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 (減点0.2/原題タイトルの翻訳時に、一つの思想を押し付ける行為)

 上述通り、現代タイトルに「同胞を売る」とか「裏切り」といった語句は含まれていませんので、この点は忠実であってほしかったです(特に、ナチスドイツを扱う映画においては、史実に即してありのままに描くことが大切だと思います)。

 (減点0.2/ドイツ語の字幕がないところがある)

 もっとも、「アウシュビッツ」や、英語との対比で推測ができる部分も多々あり(この映画で「アウシュビッツ」等一部の語句は常識扱いでしょう)、ある程度は仕方がないですが、字幕について配慮が欲しかったです(もう少しきちんと看板など翻訳が欲しかった)。
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yukispica

3.5生きるか死ぬか

Kさん
2025年2月7日
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鑑賞方法:映画館

被害者であると同時に加害者でもあるステラ。
アメリカでジャズシンガーを夢見るも
時代がそうはさせない。

生き延びるためには究極の選択を
しなければならない現実。

波瀾万丈、濃密な121分でした。
主演のパウラ・ベーアさんの
熱量ある演技に釘付け。

覚悟を決め、着飾りながら街中を歩く姿は
罪悪感と悲しみが見え隠れしていました。
「戦場のピアニスト」でもそうですが、
列車のシーンは悲しみを誘います。

ラストも衝撃的…!
メッセージを受け取れた実話ベースの作品。
「君たちに過去の責任はないが、繰り返させない責任はある。」

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K

3.5究極の二択

2025年2月7日
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kinako-cat

4.0ある女の一生

2025年2月7日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

彼女も一人の弱い人間に過ぎません。
時代や人種に翻弄された一人の女の一生。
彼女が密告に手を染めるまでの経緯が濃密で、それを選択するしかなかったと、善悪では測れない妙な説得力がありました。

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myubyon

4.5パウル・ベーアの緻密で肝の据わった演技と勇気が圧巻

2025年2月7日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

難しい

列車に乗せられること、アウシュヴィッツ始めKZ行きは死を意味する、それがそんなに明らかに当時において既に知られていたことにショックを受けた。

夢があるステラはドイツから出たい、死にたくない、生きていきたい。あれだけの激しい拷問を受けたら私はどうするだろう?

ステラのジャズシンガーとして賞賛を浴びる夢、承認欲求と上昇志向、それゆえこの映画を見た観客は複雑な気持ちになる。ステラにシンパシーを持ち難いからだ。目立つ美しい金髪に青い目、ステラは何度自分の顔を鏡に映したことだろう、化粧しただろう。ステラはたまたまユダヤ人だった。自分でどうしようもないこと故に捕まり拷問を受け地獄のような恐怖を覚える。痛みと恐怖から逃れるには「同胞」を列車に送り続ける密告者になるしかなかった。

パパに点子ちゃん(Puenktchen)と呼ばれていたステラは、小さい時にエーリッヒ・ケストナーの『点子ちゃんとアントン』のお話を読み聞かせてもらったか自分で読んだのだろうか。点子ちゃんが好きだから、またはステラは点子ちゃんみたいに小柄で可愛いからパパはそんな風に呼んだのかも知れない。パパはドイツ人として戦争に出かけた、自分はドイツ人だと言っていた。ケストナーも自分はドイツ人だと主張しながら、反ナチであり反ファシストでケストナーの本は焚書の対象になった。

ナチに翻弄された人は山ほどいる。それは複雑で簡単にわかろうとしたりわかった気になることは到底できない。ステラが実在の人物であることをこの映画で初めて知った。その人物を見つけ出し映画にしたのがドイツ人監督であることの意味はとても大きい。

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talisman

2.0"金髪の毒婦" より質問です... 時期が悪すぎた?

2025年2月7日
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Paula Smithy

3.0ドイツ

2025年2月5日
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完

2.5被害者なのに加害者になってしまう悲劇

2024年11月27日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

単純

アメリカでジャズシンガーになることを夢見ていたユダヤ人女性のステラだったが、ナチスに囚われ、生き延びるために密告者となり…
ユダヤ人として生まれたがために背負わされる過酷な運命。つい最近『ブルータリスト』や『リアル・ペイン』と、ユダヤ人が主人公の作品を立て続けに観たこともあり、ホントにユダヤの民っていつの時代も虐げられてしまうのかと気の毒に思ってしまう。
色んな意味で観ているのが辛いし、被害者なのに加害者にもなってしまった彼女を一概には責められないだろう。というか我々は責める立場にない。
本作の監督キリアン・リートホーフは、パリの同時多発テロ事件で妻を亡くした男を主人公にした『ぼくは君たちを憎まないことにした』を撮っている。憎悪から得るものは何もない、というメッセージが込められたこの作品と本作の根底が一緒なのが興味深い。
ただ蛇足だが、本作といい『ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男』といい、分かりやすくする為とはいえサブタイに「ヒトラー」を用いるのは少々短絡すぎないか。

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regency
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