「君たちに過去の責任はないが繰り返さない責任はある」ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女 ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
君たちに過去の責任はないが繰り返さない責任はある
アメリカでジャズ歌手になることを夢見たステラ。
冒頭のシーンで、ジャズ仲間と演奏の練習をしているシーンがとても爽やか。
それなのに・・・・・・
ユダヤ人として生まれたばっかりに、ナチスに追われ、工場で働かされ、ナチスに拷問を受
ける。夢も希望も一気に吹っ飛び、家族も仲間も、アウシュビッツ送りの運命を背負うことになる。
彼女が生き残るためにとった手段は、同じユダヤ人の居場所を密告すること。
もちろん彼女が望んだことではない。誰が生き抜くためとはいえ、密告者になるだろうか。
ナチスからも同じユダヤ人からも罵倒され、生き延びることが居場所を失うこととイコールになる。何ひとつ自らが悪いことをしようとは思っていなかったのに、いつのまにか戦犯呼ばわりされ、裁判にかけられる。
最近のドイツ映画は、そんなナチスの理不尽極まりない世界を、これでもかと剥き出しにする。
君たちに過去の責任はないが
繰り返さない責任はある
ラストのテロップに映し出された、強制収容所からの生存者の言葉が胸に響く。
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