「Audibleで聴こう。」奇麗な、悪 uzさんの映画レビュー(感想・評価)
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瀧内公美の台詞の抑揚やちょっとした仕草の表現が見事。
先日鑑賞した『敵』とはまったく別種の(エロスではない)色気を見せ、声色の使い方も素晴らしい。
自分が感じた本作の魅力は、それだけ。
独白シーンをワンカットで撮るとか、館の中だけで完結してればまだマシだった。
中途半端な長回しを継ぎ接ぎし、屋外を歩く場面や微妙な演出を挟んだことで尖った作品にもなりきれていない。
髪の留め解きがカットで繋がってない意図も不明。
過去のカウンセリングの再現のように女が生涯を語るが、惹きつけられる内容でもない。
登場人物をTだのSだのにしてるせいかイメージも湧きづらく、ひたすら退屈で眠気を誘う時間が続いた。
終盤に「全部ウソ」とか言われても「え、どっち!?」ともならず、もはやどうでもいい。
普段は苛立つ観客のイビキも、今回ばかりは同情と共感が勝った。
もっと大仰な台詞回しや身振りをつけて、舞台でやった方がまだ映えるのでは。
中身はオーディオドラマで十分な話だし。
いや、むしろ音声だけの方が、集中できたしイマジネーションを刺激されたかもしれない。
瀧内公美を見せたいにしても、もっと凄味が伝わる演出があったのでは。
「実験的作品」というのは便利な言葉だが、せめて興味を惹く段階まで進めてから公開してほしい。
実験の実験を観させられるのは、正直苦行です。
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