満ち足りた家族のレビュー・感想・評価
全106件中、1~20件目を表示
精緻な構造で魅せる家族劇
ホ・ジノ、ソル・ギョング、チャン・ドンゴンが組んだ本作は、タイトルやビジュアルから想像できる通りの家族の崩壊劇でありながら、まるで舞台戯曲がベースにあるかのように(実際はオランダ生まれの小説が原作)、細部と細部が噛み合ってカチッと音が響くほどの構造の精密さが光る。あらゆる要素を現代韓国へ綺麗さっぱり置き換えた翻案ぶりも見事。そこからは静かな衝撃が続くのだが、目を覆いたくなる、というよりは、むしろどんどん瞳孔が開き、目が釘付けになっていく展開というべきか。正反対の性格の兄弟が盤上の駒のようになす術もなく運命に突き動かされていく過程は、このメンツだからこその見応え感がたっぷり。さらに妻役の二人をはじめ、多彩な表現力で胸の内をあらわにできるキャストがずらり揃ったことによって、役柄的には不揃いな個々が、その実、驚くほど効果的に機能し合いながら、物語の全体像を不気味で秀逸な最終形へと至らしめている。
ケレン増し増しが韓国流。“信頼できない語り手”の妙味は薄れたが
オランダ人作家ヘルマン・コッホが2009年に発表した小説「Het diner」(邦訳題「冷たい晩餐」)は、“信頼できない語り手”の手法を用いて、語り手の家族が関わった深刻な事件と語り手自身の問題が徐々に明らかになる知的スリラー。40カ国語以上で翻訳されるなど世界的ベストセラーになった。映画化は2013年のオランダ版、2014年のイタリア版(邦題「われらの子供たち」)、2017年の米国版(同「冷たい晩餐」)、そしてこの韓国映画「満ち足りた家族」で実に4度目となる。
小説では、語り手が弟の元歴史教師、その兄が著名な政治家で、兄には実の息子のほかにアフリカ系の養子がいる(この養子が事件発生後の問題にも関わってくる)。こうした主要人物の設定は米国版でほぼ忠実に引き継がれ、未見ながらオランダ版もネット検索で調べたプロットや配役を見る限り同じようだ。他方、イタリア版では弟が小児科医、兄が弁護士に職業が変更されたほか、兄の家族で事件に関わるのが息子から娘に置き換えられた。さらに、路上で起きた事件で重傷を負った子を弟が手術し、兄が加害者の弁護を担当する設定が追加されている。イタリア版も未見ながら、人物設定などの共通点を見る限り韓国版は実質的にイタリア版のリメイクと言えそうだ。なお日本では過去の3作品のうちイタリア版と米国版が限定的な上映、米国版がDVD化されたのみで、現在はいずれも鑑賞困難。この韓国版劇場公開を機に他の3バージョンも配信で視聴できるようになれば、比較する楽しみが増えるのだが。
さて、最新作の「満ち足りた家族」は、先述のようにイタリア版の影響を受けているものの、冒頭の危険運転から生じた死傷事件、被害者の手術と加害者の弁護をめぐる兄弟の葛藤、そして2組の夫婦の子供たちが犯した重大な罪、さらに原作から改変された衝撃の結末など、韓国映画が得意とする外連味たっぷりのサスペンスに仕上がっている。とりわけ深刻な事件を起こした子供たちの罪の意識の希薄さは、本作の“胸糞悪さ”に大いに貢献している。
ただし、韓国版では弟の視点に加え、その妻、弁護士の兄の視点からの語りを行ったり来たりして、2つの家族の状況を俯瞰することでわかりやすくなった一方で、原作の語り手である弟の次第に明らかになる精神面での問題や、ある遺伝的な傾向についての苦悩、過去に起こしたいくつかのトラブルが回想されるにつれ裏の顔が徐々に見えてくるといった読者の知的好奇心を刺激する仕掛けが、相対的に弱まったのが惜しい。米国版では、“信頼できない語り手”の妙味はかなり再現できているのだが、改変された結末が唐突な終わりを迎えて投げっぱなし(その後を観客の想像にゆだねるエンディング)なのが難点。結末に関しては、韓国版のほうが派手でインパクトがあり、ある意味きちんと終止符が打たれている。
さらに韓国版での変更のポイントを挙げるなら、弟の妻が認知症の始まった義母の介護で疲弊するくだりなどは原作にない要素で、日本を含むアジアの観客の多くに共感を得られそうな改変点と言えるだろう。
最後にトリビアを1つ。原作者コッホは2005年12月にスペインのバルセロナで起きた実際の事件に着想を得ている。冬の夜ATMのブースにいたホームレスの女性ロサリオ・エンドリナルさんが、未成年1人を含む若者3人に揮発性溶剤の入った容器を投げつけられてから放火され、重度のやけどを負い2日後に死亡。3人は逮捕され、裁判で懲役刑の判決を受けた。犯行の様子は監視カメラに収められ、ニュース番組で流れて世間に衝撃を与えた。この監視カメラの映像と、被告らが裁判を受けている様子を収めた映像が、YouTubeで現在も公開されている。「De neefjes van Herman Koch」(ヘルマン・コッホの甥たち)というフレーズでウェブ検索して、これら2本の動画を埋め込んだ記事(ジャーナリストEdwin Winkelsの個人サイト)を閲覧すると手っ取り早い。監視カメラ映像の中で、ホームレス女性を攻撃する若者たちは薄ら笑いを浮かべている。そのことがフィクションの小説や映画よりよほどおそろしい。
面白かった
・エゴイストだらけの映画だった。金持ちの苦悩っていう感じかな、と思ったら息子と娘が暴力沙汰を起こしてから、ぐっと身近な感じがした。倫理と感情とのはざまで、当事者の二人は全然悩んでなくて、それが実子でこれからこんな子供とどうやっていけばいいんだって思うと怖くなった。自首をさせようとした弟をいさめた兄が、そのあと二人が命を軽んじている事実を知って自首をさせることにした都合の良さに激昂した弟との会食シーンで、自首をさせることが唯一の正しい事なんだっけ?とわからなくなっていった。その後、弟が兄貴を車でひき殺した。結果、自首したのかどうか、家族たちのが末路は想像にお任せって感じで終わった。答えのない問いの話でとても面白かった。
・認知症の母親を弟が施設に入れるのを拒んだ際に、兄だったかが世間体を気にしてるのか?に対して、気にしてないのか?っていう返答に驚いた。自分だったら施設に入れられるならすぐ入れたいと思った。
・一時の感情で路上生活者の命を奪った金持ちの息子と娘がゲラゲラ笑ってあんなの死んだって仕方ないっしょって笑いながら話している事が恐ろしかった。
・父親の最後の自首の決断が妥当だと思った。子供のために起訴された方がよいと思う側だけれど自分には子供がいないので今はそう思うだけかもしれない。実際居たら自首しなくてもって思うかもしれない。
・家族間でのコミュニケ―ションを取ってこなかった代償っていう感じに見えた。自分も金はないけどあんまり変わらない気がした。
どこまでが罪なのか考えてしまう
映画自体はよく練られていて完成度が高い。
(イノシシのCGは雑だったが)
思わせぶりな表現がないので見やすい。
弟夫婦は最後まで(自身が罪人になってまで、息子を守ろうとしたという意味で)善良な市民だったと思う。
「子どもに罪を償わせなければ」という至って真っ当な親の良心。
「今気づかなければ手遅れになる」
兄が言ったこの言葉、子ども達ではなく、自分達自身に当てはまると気づかぬのは世の常。
人を殺して何食わぬ顔で生きるのはダメなのだ。
じゃあ、人の人生を変えるほどイジメをして、部下を怒鳴り散らして、部下に仕事の責任を負わせて、妻に自分の母親の世話を押し付けて、金の為に罪人を無罪にするよう働きかけて、弁護士なのに飲酒運転をして、何食わぬ顔で生きるのはダメじゃないのか?
正しくない世の中で正しくない事をしておきながら、子どもには正しさを求め続けた歪みが露呈した結果と言わざるを得ない。
リメイクでもやっぱり韓国映画
子供の振り切ったゲスぶりを産み出した親の絶望の描写が潔い。
弁護士の兄ジェワンは、最初、世間体故に娘の犯罪を隠蔽しようとする。
弟の小児科医ジェギュは、逆に、最初は、正義感から息子を自首させようとする。
ところが最後になって立場が逆転し、兄は娘のために罪を償わせるために自首を、弟は息子を守るために隠蔽を画策する。
そのチェンジのタイミングはそれぞれの親が自分自身のスタイルや信念でなく、直の子供と向き合ったあとのことだ。
兄ジェワンは娘の人としての更生を願い、弟のジェギュは息子の涙の反省で子の真実を悟る。そしてそれは簡単に裏切られるのだ。
子供と向き合い理解したという想いは幻想だったのだ。
それぞれの親が理解したと思った子供の真実は、ゲスの極みである子供の言動で打ち砕かれる。
兄のジェワンは最後に人としての尊厳を取り戻したかに見えたが、弟のジェギュによってその信念は破壊される。
最初の富豪の三男のゲスぶりもそのままで何も回収されない。
子供たちのゲスはまったく回収されない。
この絶望は深い。
親はもはや「まともさ」を留めた最後の世代かもしれず、ゲスを生み出したあとに滅びるしかないのだ。
全体に分かりにくいところ、不自然な展開はまったくなく、全てが予定調和で展開する。
エンタメとして破綻なく、謎めいたこともなく、それでも深いところに届く描写は韓国映画ならではなのかもしれない。
父を亡くした放蕩娘、人殺しになった父と人殺しの息子。
このまま子供たちの罪が罰せられるか、隠蔽されるか。もはやどうなるかわからない。
この後子供たちはどうなるかの視点はもはや無い。
なかなかにえぐい。
映画のポスターの「満ち足りた家族」の後ろの英語の表題は「A Normal Family」。
あの、およそ庶民とはかけ離れた生活、レストラン、下層の人たちとの対比を、どちらも「A Normal」(これが普通でしょ)と言ってしまう韓国の絶望を他人事と私たちは言えるだろうか?
悪魔の子ダミアンと悪魔の娘エミリー・ローズ‼️
あと4日で上映終了というタイミングでギリギリ鑑賞できました‼️ホントに観てヨカッタ‼️歴代の韓国映画の中でもTOP 10に入る最高傑作の一本‼️道徳よりも利益を優先する弁護士の兄ジェワンは、年下の2人目の妻ジスや10代の娘とともに豪華なマンションに住んでいる。一方、道徳的で良心的な小児科医の弟ジェギュは、年長の妻ヨンギョンと10代の息子とともに認知症の母の介護をしながら暮らしている。正反対の兄弟は月に1回、それぞれ妻を伴って高級レストランでディナーを楽しみ、ぎこちない会話をする。そんなディナーが行われた夜に起こったある事件のために、衝撃の結末へと家族は爆進する・・・‼️最近の韓国映画にありがちな残酷描写を売りにするのではなく、あくまで人間の巧みな心理描写を見せ場とした濃密なエンターテイメント・ドラマ‼️今作は自分たちの息子と娘が、悪魔の子ダミアンと、悪魔の娘エミリー・ローズだった親たちの物語‼️まず冒頭、交通トラブルからの死亡事故。犯人の弁護をするジェワンと被害者である娘の主治医であるジェギュ。ジェワンはジェギュに早期の示談を被害者に受け入れるよう助言を頼む。そしていとこ同士である息子と娘が、遊びの帰り道に酔った勢いでホームレスに暴行、ホームレスは意識不明の重体、隠し撮りされた動画がSNSで拡散される‼️事実を知ったジェワンは世間体を気にした隠蔽、ヨンギョンは息子が可愛すぎる故の隠蔽、ジスは静観、ジェギュは息子に責任を取らせようとする‼️しかしホームレスが亡くなった事で、反省するどころが安心したと訴える娘の態度に、ジェワンは自首させようと決心し、息子の反省したフリの芝居に騙されたジェギュは一転、息子を守ろうとする‼️この辺りの微妙な親心の演技がソル・ギョングとチャン・ドンゴンは絶妙に上手いですね‼️特にソル・ギョングは、冒頭の死亡事故の犯人のまったく反省してない人間性と、知ってしまった娘の本性を重ね合わせた時の表情の演技は見事です‼️そして息子を守るために我を忘れてしまうヨンギョン役キム・ヒエも素晴らしい‼️そして息子と娘を演じる子役たちの悪魔のような存在感‼️ホームレスを殺害した事などまるで気にせず、娘はジェワンに車をねだったり、息子はジェギュに涙がかった芝居で反省のフリをする‼️あぁホントに恐ろしい‼️そして終盤のディナーの席での、冷静に娘を自首させると言い放つジェワン夫妻と、激昂して反対するジェギュ夫妻‼️このシーンでの4人の演技合戦も今作の白眉なのですが、続くジェワンが見せる携帯の動画のカタルシスかと思いきや、ラストのワイルド・スピードなドンデン返し‼️雨に濡れながら泣き崩れるジスのファイナル・カット‼️その凄まじすぎる衝撃‼️ホントに素晴らしい、見事ですね‼️息子を守るためのジェギュの凶行が、息子や娘を含めた家族すべてを崩壊させてしまったラスト‼️その恐ろしさにゾクゾクさせられてしまったエンディングでした‼️
リメイクの快作
個々人の善悪の併せ持ち
最初の人物設定から段々各々の心境が極限の状況から変化してゆき、驚愕の結末に至った。人間の多面性や置かれた状況によって、如何様にも変わることを改めて思った。韓国の競争社会も反映した描写を感じた。パラサイトを思い出させる洗練されたキレの良い演出だった。レビューや予告画像で面白そうと思っていたが、劇場鑑賞できてよかった。シネクイントは駅から近くて快適なシートだった。
凄まじい演技合戦!
Another ethical issue movie、ココに。
なーんか終始ずっとモヤモヤさせられる。
クローディア・キム/キム・スヒョン演じるジスさんのまともっぷりに救われる。
人の良し悪しって決して歳とってるから正しいとか若くて経験少ないから違うとか一概には言えないってことを気づかせてくれる。自分も気をつけよ。
最後の最後の伏線回収にゾワった。
(余談)
全速力で走った後のチャン・ドンゴンの嫁役の女優さんの佇まいに並々ならぬ色気を感じてしまった。介護生活に疲れくたびれてる主婦を上手に演じていたけど、全速力ダッシュの直後には演じきれず、色気がダダ漏れになってしまった模様。
チャン・ドンゴン、今回ちゃんと見たの初めて。かつての四天王よね。流石です。かっこよかった。でもフロントガラスは早よ直すのをオススメするぞ。
観客は試される
さあ、自分がこんな事態に陥ったら、どうする?と試されているような気がした。
監督にはそんな意図はなく、2組の親の心理描写に注力した作品だとは思うが。
問題の事件は割と早い段階で発生。如何にも現代的な展開で明らかにされる。
そこから、ずっと続く重苦しい2組の親の心理・感情の移り変わり。
終盤にきて態度が逆転する兄と弟。
一貫して冷静な兄嫁と感情的な弟嫁。
罪の意識のない子供達。
それらを俯瞰して観られる立場にある私は、さあ、あなたはどう思いますか?あなたならどうしますか?と問いかけられ続けている気がした。
そう思えば思うほど、更に引いた視点でこの2組の家族の行き着く先を冷めた目で観ている自分がいた。
大人達は振り回されるだけ振り回されて、ズルズルとどん詰まりの自滅の袋小路に勝手に入り込んでいく。「怖い」という感覚ではなく、むしろ滑稽な悲劇の舞台を鑑賞しているかのような感覚に陥った。要するに、冷めた目で観ていた。逆説的に言うと、冷めた目で観られたので、心理描写、心象風景の描写が上手いな、と純粋に役者の演技や演出に目を向けることができた。
認知症、介護、大学受験、ネット、金が物をいう社会という、現代的な問題を散りばめてはいるが、こうしたことは主題ではないと思う。やはり人間の心の揺れ、脆さ、強さ、そういったものを描くことがこの映画の主題だ。
ラストの結末だが、兄夫婦が店を出て、兄嫁が携帯を取りに店に戻った時点で想像がついてしまった(兄が車道に出た時点で、序盤の伏線回収で死亡フラグが立った)。ここがちょっと惜しかった。最後に観客をあっと言わせる演出があれば、「やられた!」と思えたかも。
とはいえ、ホ・ジノ監督の演出と4人の役者の演技を堪能できた。
殺人をしても罪の意識のない子供達をそのままにして、親だけ悲劇の結末というこの胸糞悪さも、この作品の味わいでしょう。
満ち足りているように見えていただけの家族
冒頭の轢き殺し犯は俗にいう"上級“なわけで、パパに頼んで腕利きの弁護士雇えば金でどうにかしてくれる、と反省したふりでしれっとしている。
隠蔽か自首かで意見が割れるのも、親なら無理はない。
逮捕されて刑務所なり少年院なり入って終わりというわけではなく、親のキャリアも周りの扱いも一変するだけに、保身というのも分からないでもない。正直なところ、自分ならどうするか想像もつかない。
過保護な母親、娘に気を遣う継母、家のことは母親まかせの父親。早いうちに子どもの問題に向き合わず、金さえあれば満ち足りていると思い込んでいた家族の末路。
子供たちがまったく罪の意識を持っていないことが恐ろしい。
親の力だけでは更生しないと兄の覚悟がせめてもの救いだったのに。
結末は読めてしまったけど、あんな伏線の回収の仕方をするのかい
全滅。
中々面白い。親子と言う関係をいろんな方向から検証、観る人にあなたならどう判断するか問いかけてくる構造になってます。少々ヤバい案件もこなす売れっ子弁護士の兄と病院勤務で人道主義の医者の弟、そしてその家族が両家の子供達が起こした事にどう向き合って行くか?揺れる判断がエモい。
ソルギョンが抑制が効いていて感情爆発して暴れそうな話の流れをを引き締めている。
関係ないけどキムヒエ見てて長澤まさみもこんな風にカッコ良い役者に育つと良いなぁ、とふと思った。
役者もいい感じだったけど個人的に残念だったのは絵がいまいちだった事かな。絵でもっと観てる人に圧力かけられた気がする。
落ちは形勢が逆転した時予想できるけど、納得のエンディングです。会社の子に勧められて滑り込んだんだけど見てよかったわ。
時に並行し時に交錯する“2つ”の物語
利益を優先する弁護士の兄ジェワンと人助けを信念とする医者の弟ジェジュ。
相容れない二人は月に一度、妻を引き連れて食事会を行っていた。
ある交通事故に際して、加害者の弁護を担当するジェワンと被害者の手術を担当するジェギュ。
そんな中で起きた親としての真価が問われる事件に、二つの家族は崩壊していく。
韓流サスペンス要素増し増しのこれぞ韓国映画!な一本。
冒頭と結末が結びつく何とも秀逸なストーリーラインに感動した。
車というキーアイテムを使って、他人事が自分事に置き換わる様を描くのはこれ以上無いんじゃないだろうか。
結局何も解決していないが、「お前らが全部悪い。後のことは知らない。」と言わんばかりに突き放すラストには清々しさすら覚えた。
冒頭からのシバルセッキの応酬には少し笑ってしまったけれど、その言葉通り本当にクソ野郎しか出てこない。
兄弟の二人の印象が逆転するのも見事だが、子供想いに見えるヨンギョンよりも、美を保ついかにもな年下若妻ジスの方がよっぽどまとも、という点が何よりも皮肉。
「正しさ」とは一体何なのかを、見た目の印象で決めつけがちな我々にも問いかけている。
そして、子供たちの存在。
親として、「夜遊びさせないようにすべきだった」とか「すぐに自首させるべきだった」とか色々あるかもしれないが、もうあのモンスターを作り上げてしまった時点で親失格。
利益だとか道徳だとかそんなことの前に、目の前の存在に気づけなかったことこそが最大の問題である。
少し前にあさイチで今作が紹介されていた時に華丸さんが「韓国の作品でワイン飲んでる人は悪いやつで焼酎飲んでる人は良いやつ」と仰っていたのを聞いてなるほどなと思った。
ちなみにこの映画では両者とも、ワイン→焼酎→ワインだった。
善悪揺らいでる感じがあってあながち間違ってない。
あー、つかれた
まず、小6の子を持つ親として、自分の身に置き換えてずっと考えさせられた。
自首させるのは当然として、他人にケガを負わせることがあったらどう振る舞うか、暴力を自制できる子にどう育てるか、万が一、ケガを負わせて平然と正当化・隠蔽するような子になったらどう相対するか…そして、妻と考えが対立したら…。妻と話してみたくなった。
という教育的作用がまずあって、エンタテインメントとしては、娘のイカれっぷりが抜群だった。良質の娯楽作品は観客の心をかき乱す存在がどれだけ違和感なくキャラ立ちしているかが大事。その意味で満点だったろう。どうせバレるのになぜ父親に後輩のこととして相談を?と思いはしたが、あれは弱さだ。弱さと打算が同居する、どこにも居そうなイカれキャラが一貫してて、見てる方は怒りが収まらない。そこへ高学歴兄弟の揺れ方が哀れでもう…。
どのキャラクターにも違和感を抱かない。人物像が深いところまで作り込まれてる。話の展開も、外国作品なのに苦なくついていけた。隣国で、やはり無意識的なところで文化を共有しているということだろうか。
ラストだけは唐突で(予想はしたが)、?と思いはしたが、娯楽作品としてそういうオチにしたのだろう。
どうでもいいが、チャン・ドンゴン老けたなあ。青学大の原監督に見えて仕方なかった。で、兄の後妻が山岸舞彩、チャン・ドンゴンの妻が大塚家具の娘社長。どーでもいいことです。
「イタリア版を撮影する」
全106件中、1~20件目を表示