「テレビと思って観れば楽しい(映画としては…)」ブラック・ショーマン SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
テレビと思って観れば楽しい(映画としては…)
ベタのオンパレード。
変人の無愛想な探偵役と頼りなさげだが真の通った常識人の助手役。初対面では嫌なヤツだが実はいい人。それぞれ事情のありそうな登場人物たち。一番あやしく無さそうなやつが真犯人。最後に関係者全員集めてショータイム。自殺しようとする犯人をとめて、最後は良い話でほっこりまとめ。
ガリレオの焼き直しみたいだが、リアリティレベル低め、コメディレベル高め、シリアス低めにチューニングしてあって、気軽に見れるテレビ向け。
途中まで主人公がマジシャンである意味ほとんどないじゃん、と思ってたが、最後の犯人当てショータイムがド派手でこれのためかー、って感じ。この辺もテレビ向け。
こんなんリアリティもくそもないが、テレビだと思ってみれば楽しい。あり得ない展開につっこみまくって楽しく観るのが正解だろう。
そもそもマジックって言っても口からカード出すとか携帯盗み見るとか花降らせるとか、ほんと大したことはしてない。この辺は主人公がマジシャンとしては成功することができなくて、舞台演出を利用したショーで生計を立てていることと対応していると考えれば、深い設定と言えなくもない。
主人公は福山雅治ではまり役だと思うのだが、おじさんと呼ばれたくない、なんて役柄にしては歳をとりすぎてるような…。もうすぐ60にもなろうという人がおじさんと呼ばれたくないとか言うかね。
ベタだけで構成したみたいな作品だったけど、面白くなかったかといえば面白かった。さすが東野圭吾原作なだけあって、構成が見事。全ての伏線がきちんきちんときれいに回収されて、無駄な柱が一本も無い美しい建造物のよう。
ただ、ガリレオと比べてしまうと作品やキャラの魅力は落ちる。マジックを使う探偵役ということで、ガリレオよりできることは多いはずなのだが、今回の作品ではこの設定を活かした展開ではなかった。
また、ガリレオは研究者としての矜持だとか哲学が主人公にあって、それが作品に深みを与えていたのだけど、今回の主人公にはそこまでの人間的魅力が無く、フィクションによくいそうなキャラの一人としか思えなかった。
この作品で一つだけ、「これはすごい」と思ったことがあった。それは、「漫画のアイデアノート」のリアリティ。下手な絵というのは、なかなかねらって下手に描こうと思っても描けないものだけど、ほんとうに高校生が頑張って描いたみたいな絵とか、整理されてないメモ書きとか、何度も書き直して消しゴムの跡がついた紙とか、いったいどうやってこんなリアリティのあるノートを作れたのかと感心した。すごい職人がいるんだなあ。
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