「今週の本命枠には来そうなものの。」ブラック・ショーマン yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
今週の本命枠には来そうなものの。
今年188本目(合計1,729本目/今月(2025年9月度)7本目)。
結局のところ、サスペンスもの(犯人探しもの)の類なので、その好き嫌いはあるかなといったところですが、不合理な部分はないですし、まぁそこまで傷はないのかなぁ…という気がします。
一方で、解釈を厳密に取ろうとすると結構大変で、そこそこの知識を要求してくるので(刑法における「かすがい現象」などまで知らないとわからない部分もある。もうこんなレベルは一般知識とは言わない)、どこまでの厳密さを映画に要求するか?という部分に多々多々の部分が帰着されそうな気がします。
および、多数の方が指摘されている通り、過剰に思えるほどのマジックショー的な演出も、作品の趣旨を考えれば必要だったのかもしれませんが、この映画のストーリー的にある程度抑えないと、どういう趣旨で見るかが怪しくなってしまうので(男優さん、女優さんのファン枠で見るという部分もありましょうが)、そこは配慮が欲しかった部分です。
採点は以下まで考慮しています(ネタバレになりうる範囲は全て省略)(4.3を4.5まで切り上げたもの)。
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(減点0.2/心裡留保の対抗要件の解釈が雑に過ぎる)
心裡留保の相手方は相手方の意思表示(の理解)につき善意無過失なら、第三者には善意であれば対抗が可能です(身分行為を除く。そもそも身分行為には心裡留保の適用はない)。この部分の解釈が雑な部分があります。
(減点0.2/刑法総則の知識を要求する部分がある)
「犯人が取った行動」にかかるところですが、いわゆる「かすがい現象」というものを知らないと、理解ができない部分が一部にあります。ここは典型論点ではあるのですが、そんな「かすがい現象」なんていう語句は普通使いませんし、配慮が欲しかったところです。
(減点0.3/事務管理と無権代理)
事務管理の管理者にはあらゆる代理権が与えられているのではないので、勝手に第三者と法律行為をしても本人の追認がないかぎり帰属しません(緊急事務管理においても同様/判例/無権代理か(条件を満たすなら)表見代理になるかのいずれか)。
(減点0.1/「組合」についての考察が雑なところがある)
この映画内で登場する「組合」は、民法上のものですが(商法が定める匿名組合は必ず金銭出資を必要とします。これがダイレクトに登場するのが、例えば競馬の一口馬主など)、この場合、脱退の自由は常に存在しますので(判例)、やや解釈が微妙な部分があります(ただ、それをどうこう言い始めるとストーリーが成立しなくなるため、採点幅は微妙)。
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