「黒衣の奇術師が見せる推理ショー」ブラック・ショーマン シャルコー_Charcotさんの映画レビュー(感想・評価)
黒衣の奇術師が見せる推理ショー
今作を鑑賞した感想としては、主人公の神尾武史がマジシャンなだけあってすごく「エンターテイメント」を意識したミステリー作品だなと感じた。個人的に東野圭吾の作品は全く読まないので原作との比較はできないのですが、ストーリーは特別珍しいものではなく、身内の死の真相に迫っていく中で容疑者たちの抱える闇が明かされる的なメジャーなもの。また私は察しが悪かったので犯人が直前までわからなかったのですが、それを考慮したとしても犯人が判明した時はそれほど驚きは強くはなく、恐らく察しがいい方であれば消去法だけでも導き出せる印象を抱いた。そのため、特にトリックよりも人間心理の部分にフォーカスされているように強く感じた。それと、演出がすごく大げさでもちろん目は奪われるんだけど、くどさも強くところどころツッコミたくなる自分がいた。もう少し具体的に、良かった点・悪かった点について以下にまとめてみた。
・キャラクター・キャスト
神尾武史:福山雅治さんが演じられているだけあってダンディーさが際立っており、イカさま、はったり、それとマジックのスキルで常に相手を自分の手のひらの上で転がしている様がすごく痛快で気持ちのいいものだった
神尾真世:有村架純さんが演じられているだけあってすごくキャラクターの表情がよく、慣れないながらも叔父の要望に応えたり、意図せずに大きな収穫を得る姿は何とも言えない頼もしさを感じた
2人の関係性:叔父・姪コンビは、元々親戚ということで一定の関係性は構築されているいたが後半に行くにつれて、まるで親子のように息が合いだすのは見ていてよかったし、やっぱり「ガリレオ」を思い出し懐かしい気持ちにもさせてくれた。
おまけ:木村昴さんは、演技力は高いと思うのだが、演じられてるキャラクターの属性がジャイ〇ンに似すぎて、それがすごく重なった(笑)
・演出
基本的には、神尾武史のするマジックには驚かされるのだが、1人称視点になる場面で福山雅治さんと目が合う形になるのだが、その瞬間あからさまにこちらを引き込もうとする演出が個人的には少し苦手で、彼のカッコよさだけで乗り切ろうとするのはいかがなものかと感じた。それと、最後のマジックと推理の両方を披露する推理パートでは、この2つのコラボレーションは初めて見る演出だったので脳の処理が追い付かず、「そうはならんやろ!」と心の中で何度もツッコんでしまった(笑)
・テーマ
一応、学生時代に神尾真世と犯人がクラスから浮いている存在として似た境遇で描かれており、どちらも”本音”を隠してしまう性格の中で、真相が判明した時に犯人はそれが動機につながってしまうことを知る。それが最後には神尾武史に婚約者に”本音”を話すことを諭され、本音を話す流れになるのだが、犯人とは対照的な分岐が示され、改めてコミュニケーションの大切さを実感させられた。
・総括
ミステリーとエンターテイメントのまさかの融合ということで、今までに見たことのないミステリー作品がご覧になられたい方であればおすすめの映画だとは思う反面、純ミステリー作品だを求めている方が鑑賞すると受け止め方がネガティブなものになりかねないので、その点については心の準備が必要だと思う。個人的は、楽しめたとは思うが、ミステリーとエンターテイメントがよい塩梅でコラボレーションできていたかどうかと聞かれれば何とも言い難い(笑)ただ、このシリーズは続いてほしいと思っているため続編を期待したい。
共感ありがとうございます!
新シリーズの初作という事でどんな展開になるのか不安があったのですが、手慣れたフジテレビのスタッフが監督・製作をしているので、すっきりと受け止められました。今までのキャピキャピ系から脱却して新天地を探していた有村架純も、演技の幅を拡げて居場所を見つけたような感じがして好感が持てました。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。